インドで日本の爪切りが爆売れしている

公開日:2020年10月26日最新更新日:2020年10月26日JMLA 事務局

インドで貝印の爪切りがとても売れているそうですね。

何故今突然売れ行きが伸びているのか?

その背景を考えると、貝印株式会社の的確なマーケティング戦略が浮かび上がります。

 

インドで貝印の爪切りが爆売れ

 

インドは、皆さんカレー料理でご存じかと思いますが、「手食文化」です。そのような文化を持つインドもコロナ感染が拡大し、人々の衛生に対する概念が大きく変化しているそうです。そうなると当然、手先≒爪に注目することになります。そこに目を付けた貝印さんが、PRを強化し、販売数を急激に拡大させているということです。

一見すると当然の結果で、日本の爪切りが海外で売れてよかったね。で終わってしまうかと思いますが、我々マーケッターとしては、その結果を生んだ貝印株式会社の企業戦略を正しく評価したいと思います。

 

 

 

背景にはマーケティングの基本「PEST」と「3C」が行われている

 

まず、評価したい一つ目は、インドの人々の衛生概念が変化したことを的確につかんだということです。

文化というものは国によって大きく異なります。日本人は麺類を音を立ててすするように食べますが、欧米人にとって音を立てて食事をするということは下品な行動です。今ではその文化も理解され、日本文化をよく理解する欧米人は音を立ててそばを食べることにチャレンジする人も出てきていますが、なかなか難しいそうですね。生まれ持った食習慣というものはなかなか変えられるものではありません。

インドの「手食文化」などは、その最たるものだと思います。

貝印さんは、その「手食文化」とインドの人々の爪に対する意識に常に注目されていたのだと思います。自分たちの商品を売るチャンスを常に探っていたのでしょう。その姿勢が、コロナ禍における衛生概念の変化を的確にとらえることが出来たと考えられます。

これは、マーケティングの基本である情報の分析です。理論としては、「PEST分析」と「3C分析」を行ったといえます。

※「ベーシックシリーズ第5回第6回参照」

 

自社の強みを生かす

 

そして、二つ目は自社商品の強みもいかんなく発揮されていることに着目です。

まずは切れ味です。インドの爪切りは切るというより引きちぎるに近い切れ方のものが多いそうです。一方貝印の爪切りはご存じのようにスルドイ切れ味です。インドの人にとっては異次元の切れ味だったと思われます。そして飛び散り防止ケースも衛生概念の変化にピッタリで購買意欲を掻き立てる一因となっているはずです。

そして感嘆すべきは、インド仕様として、「爪の間の汚れを取るピック」を爪切りに取り付けたことです。

 

 

インドの「手食文化」を理解しているからこそ考え付いた機能でしょう。攻めたい市場(国)の文化を的確に把握理解し、自社の技術により対応するということです。

外部環境をしっかりと把握し、そこに自社の強みをぶつける。

マーケティング戦略のうちで最も効率的な戦略です。貝印さんは、絶好の機会を逃すことなく、売上を伸ばすことに成功したといえます。

 

世の中を何気なく見ていると自社にとっても大きなヒントとなることを見逃してしまいます。マーケッターとして、常に意識をもって世の中の動きを把握することが大切です。

 

皆さまも「マーケティング」に興味を持ってみてはいかがですか。

必ずご自分のお仕事に活かされますよ。

The following two tabs change content below.

JMLA 事務局

一般社団法人 日本マーケティング・リテラシー協会(JMLA)は、「マーケティング」および「商品開発/事業開発」において、人財育成(認定資格講座、企業研修)および企業様の事業支援・開発支援を行っています。また、商品開発/事業開発の系統的なメソッド「Neo P7」を用いて企業の社員様が自分たちで持続的に開発を実現できるようにするための内製化支援を行っています。