「タイパと句読点」~タイパ重視の悪影響と日本語のやさしさ~
最近、気になったニュースが2つあります。
2つのニュースを続けて読むと、日本の良き文化が社会の中で見失われ、ビジネスチャンスにも悪影響を及ぼしているような気がしたので、少し触れておきます。
1つ目は、産経新聞で報じられた「マルハラスメント」。
もう1つは、DIAMOND onlineで報じられた「メール1往復主義」です。
目次
中高年にとって当たり前の句読点が、若者にとっては心理的距離間を感じる
産経新聞が、下記のようなニュースを報じました。
LINEなどのSNSで中高年から送信される「承知しました。」など文末に句点がつくことに対し、若者が恐怖心を抱く「マルハラスメント」が注目されている。
中高年世代はガラケー世代です。
主にメールを使用していたため文章が長く、句読点が多くなる傾向にあります。
一方、若者はチャットなどでのリアルタイムでのやり取りが当たり前になっています。
短めの文章で句読点を打つタイミングで送信する傾向にあります。
そのため、「承知しました。」というような、句点「。」を使用する機会が少なく、若者は、普段あまり見かけない文末の句点に対し、「怒っているのではないか」という怖さや威圧感を感じるのでは、と記事の中で指摘されていました。
コミュニケーションツールの変化により、日本語に対する感覚が世代間により違いが出てきてしまっているということですね。
このニュースに対し、歌人の俵万智さんが、X(ツイッター)に一首を投稿されました。
「優しさにひとつ気がつく ×でなく○で必ず終わる日本語」という短歌でした。
日本語のやさしさを歌として表現されていて、改めて万智さんの感性のすばらしさに感嘆しました。
日本で生活をする人間にとって、日本語のすばらしさは忘れたくないものです。
「タイパ」がビジネスに悪影響を与える
タイパ(タイムパフォーマンス)とは
タイパとは、「時間対効果」を意味します。費やした時間に対する得られる利益・満足度を表す言葉です。
2つ目のニュースは、ビジネスのやり取りの中で、仕事の依頼を断られた時のメール対応について述べた記事です。
今までであれば、
・仕事を依頼された側が理由があり、丁寧に今回はお受けできないという理由と謝罪のメールを送信した後、
・仕事を依頼した側は、その返事を放置せず、「また何かあればよろしくお願いします。」とか、「今後ともよろしくお願いいたします。」などという文章を送るというのが常識となっていました。
つまり、メールは1往復半、送信1➡返信受領➡送信2、という具合でした。
ところが、最近は送信2「また何かあればよろしくお願いします。」とか、「今後ともよろしくお願いいたします。」というような返信が無く、1往復の場合が多くなっていると記事の中で指摘されていました。
メールで仕事の依頼を送信した側と、その依頼メールを受信した側とが、良好な関係を築こうとするならば、どちらの方が将来につながるコミュニケーションの取り方だと思いますか?
【「1往復半」あるいは「2往復」のやりとり】 or 【「1往復」で済ます】
筆者は【「1往復半」あるいは「2往復」のやりとり】の方を選択します。
「1往復」で済ますケースが増えたのは、リモートワークの普及で、リアルなコミュニケーションが減少したため、ビジネスマナーに対する意識が薄れたことによるようです。
更に、効率化を求められるビジネス環境においては、タイムパフォーマンスから見ても「1往復」は正当だと、若手社員は考えている節があります。
しかし、このタイパ重視の考え方は、会社にとって本当に得策なのか今一度考えた方が良いように感じます。
時代と共にコミュニケーション表現は変化するものですが、相手のことを思い丁寧なコミュニケーションを行う心は忘れたくないものです。『人に対するやさしさ』を忘れると、思わぬところで足をすくわれるものです。
人の心は複雑~多様な感性(KANSEI)~
これらの事実を見ていくと、便利なコミュニケーションツールや効率重視の社会環境などが大きく影響を及ぼしていることが解かります。
特に中高年と若者のギャップは大きいようですが、同じ年代でも人の感性は様々に異なります。
ビジネスにおいてはそのような様々な価値観を持つ人間を相手にするのですから、ひとり一人の価値観・感性を把握し、定性データを定量的に分析し、対応していく必要があります。
- 「このお客様は、なぜこの商品を選んだのか?」
- 「あのお客様は、何故このサービスを選択したのか?」
- 「何故、我が社の商品を買ってくれないのだろうか?」
などを分析して理解することを避け続けると、自社の商品(製品・サービス)を『もっと売れる!』ようにすることはできません。
『感性マーケティング』は顧客の感性価値を分析し「もっと売れる!」を実現する
顧客の声として、日本人の豊かな感性を(定性データを)捉えて分析し、「もっと売れる!」を実現し商売繁盛をもたらすものが『感性マーケティング』です。
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人は、意識的にも無意識にも言葉を発したり、行動をとっています。人が何かを購買するという意識決定ではそのどちらも(意識的/無意識)影響しています。したがって、表層ニーズと深層ニーズが行ったり来たりします。そのため、マーケティング戦略上、顧客や消費者の表層ニーズだけでなく深層ニーズをしっかり捉えておくことが重要です。
企業を作り手、顧客や消費者を使い手とすると、
- (顧客や消費者の立場から)「作り手の感性に共感する」
- (企業の立場から)「使い手の感性に響かせる」
両者が共創するという関係を構築できると、「もっと売れる!」を実現できます。
そのために、感性を捉えて適切に分析することが大切です。
<感性が経済価値を生む>
※上図は「感性価値創造イニシアティブー感性が経済価値を生むー(経済産業省)」を筆者が編集した図です。
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