マーケティングとイノベーションは両輪
新結合 ~トヨタ自動車~
トヨタ自動車の2019年3月期の連結売上高は30兆円を超えた(8日発表)と報じられましたね。
ところが、トヨタ自動車の経営環境は厳しさを増し、脱・自前主義を掲げています。
自動車業界は、電気自動車(EV)シフトの加速や、グーグルやウーバー・テクノロジーズが自動運転、ライドシェア事業へ参入するなど、100年に1度の大変革期に突入しています。
この状況でトヨタが下した方針が、『仲間づくり』。
マツダ、デンソーと電気自動車(EV)技術開発、パナソニックと電動車の電池、街づくり事業、ソフトバンクとMaaS(移動サービス)など、次々と異業種企業との協働を開始し、次の時代の(電動化、コネクテッドカーなど新しい)コンセプト創りを目指しています。
日本企業で初めて、売上高が30兆円台に乗った巨大企業が、ビジネス環境の変化に適応するために苦労して革新に向けて経営努力をしている姿は、勉強になります。
逆転の発想 ~シェア畑~
耕作放棄地・遊休地を共同農園として活用する「シェア畑」をご存知でしょうか。
農具や肥料、苗などがすべて用意され、手ぶらで畑に通えます。
野菜作りに習熟したアドバイザーもいて、まったく農業の知識がない初心者でも収穫するまで育てることができます。
手ぶらで農業を始められるので、子供連れ家族、シニア夫婦、一人暮らし層、近隣オフィスの社員、さまざまな顔ぶれが畑で交流し、コミュニティも生まれています。
運営は、株式会社アグリメディア。
「都市と農業をつなぐ」をコンセプトに新たな農業ビジネスを手がける2011年創業のベンチャー企業です。
ですので、首都圏や関西の都心近郊の遊休農地が、畑のレンタルサービスの対象となっています。
高齢で農業をやめたが土地はそのまま、人手不足で全面積を農地として活用できない、そうすると、農地が荒れてしまいますので、農家は困っていました。
そんな農地を借り上げ、農園として再生し、広い農地を細かく区切り、都心の農業に関心のある人たちを募集し、小区分単位で畑を貸す(体験できる)サービスを創出しました。
株式会社アグリメディアの経営者は、このビジネスで「都心で朝採れ野菜を食べられる豊かな暮らしを提供したい」という熱い思いを実現するとともに、2022年・生産緑地問題で税金対策などを理由に、都市部農地が一斉に不動産市場に出されることを食い止める狙いもあるようです。
共感・共創 ~AKB48~
『AKB48』のグループの総合プロデューサーを務める作詞家の秋元康氏は、市場調査や顧客ニーズ探索のようなマーケティングを一切しないと聞きます。
代わりに、秋元氏自身がファンの一人として面白いと思うものを生み出しているそうです。
多くの情報を吸収しているユーザー目線と、専門家として多数の経験・知見・実績を持つ秋元氏が、共感する一ユーザーの立場で、『AKB48』という商品をプロデュースしていることを考えるとある意味マーケティングといえるでしょう。
そして、総選挙を代表に参加型プロジェクトを行い、ファンを巻き込み当事者にしていきながら、みんなでストーリーを作っていく仕組みを創出しました。
アイドルとファンとの距離(短く)、ファン同士の結びつき(コミュニティ)、ネットとリアル(相互活用による顧客接点の拡大)などいくつも新しい仕組みを構築しました。
共創の仕組化ができたことで、次々にライバルグループや姉妹グループもデビューしました。
現代経営学・マネジメントの発明者ドラッカーが、「企業の目的は顧客の創造である」、企業の基本的な2つの機能は、顧客に対応するマーケティングと今までと違った価値を創造するイノベーションで、それらは両輪であり、どちらかが欠けても事業の成果をもたらすことはできないと説いています。
マーケティングを今から始めたいという方は、当会の基礎マーケティング講座にぜひご参加ください。
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堀内香枝
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