アンケートの重要性と課題に対応する調査方法:調査の目的と課題、アンケートの作り方、回答率を上げるコツ、集計・分析のポイント、調査結果の役立て方
目次
- 1 アンケートの重要性とは?ビジネスにおける役割を解説
- 2 アンケートの進め方:計画から実施までの流れを解説
- 3 目的と課題の設定:上位の調査目的に対して下位の複数の調査課題
- 4 調査課題別のアンケート設計:市場調査、顧客満足度調査などの異なる調査課題に対応する方法
- 5 アンケートでよくある失敗とその対処法
- 6 アンケートの具体的な質問の作り方と注意点
- 7 アンケートの選択肢設計:MECE原則を活用した選択肢(選択項目)の作成方法
- 8 アンケートの回答率を上げる7つのテクニック
- 9 アンケートのプライバシー保護:個人情報の取り扱いと法的規制について
- 10 アンケート分析のコツ:データから洞察を引き出し戦略決定に役立たせる方法
- 11 アンケートデータの可視化:分かりやすいグラフやチャートの作成方法
- 12 アンケート結果報告書の作成ガイド:レポートの構成と書き方
- 13 調査課題に応じて、無料のアンケート作成ツールも便利です
- 14 まとめ
- 15 アンケート・調査による客観的な裏付けを効果的にビジネスに活かす【Research☆Partner】
アンケートの重要性とは?ビジネスにおける役割を解説
ビジネス環境は日々変化し、企業や組織は市場動向や顧客ニーズに敏感である必要があります。そのため、正確な情報を得るためにアンケート調査は不可欠です。
例えば、新商品やサービスの開発においては、顧客のニーズや要望を把握することが欠かせません。アンケートを活用することで、顧客の声を直接聞くことができ、商品やサービスの改善や新たなアイデアの発見につながります。
また、競合他社の動向や市場のトレンドを把握するためにもアンケートは有用です。市場調査を通じて、競合他社の強みや弱み、顧客層の特性などを把握し、自社の戦略に反映させることができます。
さらに、従業員満足度調査などの内部調査も重要です。従業員の意見や不満を把握し、労働環境の改善や組織の健全性を確保するために、定期的なアンケートが実施されます。
このように、アンケートは、ビジネスにおいて事実・実態・ニーズを把握するために重要な役割を果たす手法の一つです。
文中、「アンケート」「調査」「リサーチ」「サーベイ」という言葉が登場する可能性がありますが、ここでは、細かな定義を行わずすべてアンケートや調査という意味で用います。
アンケートの進め方:計画から実施までの流れを解説
アンケートを成功させるためには、計画から実施までの流れをしっかりと把握し、段階を追って進めることが重要です。以下では、アンケート調査の進め方について解説します。
1.目的の明確化
アンケート調査を行う目的を明確にします。何を調査したいのか、どのような情報を得たいのかを明確にし、調査の方向性を定めます。
そして、大きな目的の下に、調査課題を設定します。
2.調査対象者の明確化
アンケートの目的および課題に合わせて適切な対象者を選定します。
3.調査計画
調査を実施する計画を立てます。調査方法を選択し、アンケートの配布方法、回答者の収集方法、スケジュールなどを計画します。
4.アンケートの作成
調査目的および課題に基づいて適切な質問を設計します。質問の配置や文言、選択肢の設定などを検討し、回答者が理解しやすいアンケートを作成します。
5.調査の実施
作成したアンケートを実際に回答者に配布し、調査を実施します。オンラインアンケートの場合は、リンクを共有して回答を収集します。オフラインの場合は、印刷して配布します。
6.回答の収集
回答者からの回答を収集します。回答者のプライバシーや個人情報の保護に十分注意しながら、アンケートの回答を集めます。
7.データの集計と分析
収集したデータを集計し、分析します。質問ごとの回答を集計し、傾向やパターンを把握します。また、データから有益な情報や洞察を引き出します。
8.結果の報告
分析結果をまとめて報告書やプレゼンテーションとしてまとめ、関係者に提出します。調査結果を基に、適切な施策や改善策を検討し、ビジネスに活かしていきます。
目的と課題の設定:上位の調査目的に対して下位の複数の調査課題
前項の「1. 目的の明確化:~大きな目的の下に、調査課題を設定します。」とはどういうことかご説明します。
調査目的の設定
仮に事業や会社の課題が「〇〇商品の売上改善」だとします。
これまで売上が上昇傾向だったのに、ここ1、2年の売上が低迷し、売上を回復させることが課題になっているという状況だとします。
売上が低迷していることは、社内の売上実績から把握できます。
しかし、なぜ、ここ1、2年の売上が低迷したのか、原因はわかりません。
このようなとき、アンケート・調査が必要になります。
原因を把握し、売上を回復させるためのヒントを得るために、アンケート・調査を活用します。
アンケートを行う前に、「〇〇商品の売上改善」というゴールを目指して、原因を把握し売上を回復させるためのヒントを得て課題を解決するまでの、情報整理や全体をプランニングします。その際、基礎マーケティングの知識を用いるのが有用です。その全体設計に基づいて、多面的に計画的にアンケート・調査を行います。
「多面的」とは、市場・顧客/競合/自社(3Cや5F等による分析)等の側面から、アンケート・調査を多面的にアプローチするという意味です。以下にアプローチ例を4つ挙げます。
- 「〇〇商品」が戦っている市場や業界が今どうなっているのか、競合他社はどのような商品展開をしているのか?
- 自社の「〇〇商品」を購入してくれた顧客は、「〇〇商品」に満足しているか?不満はないか?不満があるとすればどのような不満があるか?
- 「〇〇商品」の説明や紹介の仕方に問題はないか?
- 「〇〇商品」が顧客ニーズに合っていないとしたら、商品改良を行わなくてはならない
調査課題の設定:上位の目的「〇〇商品の売上改善」の下に、複数の調査課題が設定される
上記の4つの例を、それぞれ整理し直し、調査課題に設定します。
- 今後の「〇〇商品」の競争優位性の方針を決めるために、市場の実態および主要な競合の戦略展開について調査する
- 既存顧客から「〇〇商品」に対する評価を得ることにより、継続点と改善点を洗い出す
- 潜在顧客から「〇〇商品」の体験評価を得ることにより、新規顧客を獲得するために必要な要素を洗い出す
- 顧客ニーズに適応した商品に「〇〇商品」を改良する
目的と課題の違い
このように、調査目的と調査課題の違いは、一つの調査目的を達成するために一つの調査課題というわけではなく、必要に応じて複数の調査課題が設定されます。
調査課題の上位に位置付ける調査目的については、事業課題「〇〇商品の売上改善」と同一の内容「〇〇商品の売上改善のための調査」と設定します。
調査課題別のアンケート設計:市場調査、顧客満足度調査などの異なる調査課題に対応する方法
前項で4つの調査課題を例に挙げました。それぞれの調査課題に対応する調査方法のポイントを整理します。
調査課題1に対応する調査方法:市場調査
調査課題1は、
今後の「〇〇商品」の競争優位性の方針を決めるために、市場の実態および主要な競合の戦略展開について調査する
でした。
対応する調査方法は、市場調査です。
市場調査では、「〇〇商品」が戦う市場の範囲、その市場規模や業界のトレンド、競合他社の商品展開や戦略動向などを把握します。
そのためのアンケート設計には、以下のポイントが重要です。
- 市場動向に関する質問: 新製品の需要予測や市場拡大の可能性を探るために、市場動向に関する質問を含めます。
- 競合他社の分析: 競合他社の製品やサービス、ターゲットに関する質問を含め、差別化ポイントや強みを把握します。
- 顧客のニーズと嗜好: 特にBtoB商材は、納入先顧客企業が求める製品やサービスの特性を理解するために、ニーズに関する質問を設計します。
調査課題2に対応する調査方法:顧客満足度調査
調査課題2は、
既存顧客から「〇〇商品」に対する評価を得ることにより、継続点と改善点を洗い出す
でした。
対応する調査方法は、顧客満足度調査です。
顧客満足度調査では、顧客のニーズや期待に対する企業のパフォーマンスを評価します。
効果的なアンケート設計のポイントは次のとおりです。
- 製品やサービスの評価:顧客が製品やサービスに対して、どのように満足しているかを評価するための質問を含めます。
- 改善点の特定:顧客が不満を抱えている領域や改善すべき点を特定するための質問を設計します。
- 回答率向上の工夫:回答率を向上させるために、アンケートの長さや質問の選択肢・フリーアンサーを工夫します。
調査課題3に対応する調査方法:イベント参加者アンケート
調査課題3は、
潜在顧客から「〇〇商品」の体験評価を得ることにより、新規顧客を獲得するために必要な要素を洗い出す
でした。
対応する調査方法は、イベント参加者アンケートです。
イベントやセミナーに参加した人々に、自社の商品を直接見聞きしたり、触れたり、操作したりしてもらうことができます。
自社商品の未経験者に体験してもらいフィードバックを得ることで、今後の戦略や販売促進に反映することができます。
イベント参加者アンケートの設計におけるポイントは次の通りです。
- 商品(製品やサービス)の評価や期待: 参加者の体験評価、商品に対する期待とギャップを把握できる質問を設計します。
- 想定外のニーズ:(自社商品未体験の)イベント参加者が商品を目の前にしたときにどのような反応を示すか、記録をとるという計画も、アンケート設計に含まれます。
- イベント全体の評価:参加者がイベント全体にどの程度満足しているかを評価するための質問を含めます。
調査課題4に対応する調査方法:商品改良調査(商品開発調査)
調査課題4は、
顧客ニーズに適応した商品に「〇〇商品」を改良する
でした。
対応する調査方法は、商品改良調査(商品開発調査)です。
商品改良調査を実施する際には、商品価値の改善に向けて、顧客のニーズや要望を把握するためのアンケート設計が重要です。
以下に、製品開発調査の設計ポイントを示します。
- 現行商品の評価:回答者に、現行商品についての評価を尋ねる質問を含めます。商品の利便性、品質、価格、デザインなどに関する意見を収集し、改善の方向性を把握します。
- 改良商品の需要予測:改良商品の価値向上や新機能の開発に向けて、回答者の需要や関心度を把握するための質問を設計します。新しい価値や新しい機能の仮説・アイデアに関する、顧客の受け入れ可能性を評価します。
- 競合商品との比較:回答者に、競合商品と比較した場合の商品の優位性や差別化ポイントについての評価を得る質問を設計します。競合商品との比較から得られる洞察は、商品改良の方針決定に役立ちます。
- ニーズと要望の把握: 回答者のニーズや要望を把握するための質問を設計します。商品の使用シーンや環境などがわかると商品改良の方針を決定に役立ちます。
- ターゲット層の把握:売上を改善するためには、これまでのターゲット層から新しいターゲット層へ拡大する必要があるかもしれません。改良後の商品を購入する可能性の高い、新しいターゲットを把握するための質問を設計します。
それぞれの調査対象者について
調査課題それぞれの調査対象者は、次の通りです。
- 調査課題1の対象者は、業界団体や競合企業がメインの対象者となります。
- 調査課題2の対象者は、既存顧客です。
- 調査課題3の対象者は、未顧客がメインです。
- 調査課題4の対象者は、既存顧客およびこれから顧客にしたい想定ターゲット層です。
多面的に調査を行い事実やニーズをしっかり把握することによって、事業課題「〇〇商品の売上改善」を達成するための方針や戦略立案の精度を高めることができます。
アンケートでよくある失敗とその対処法
アンケートでよくある失敗の一つに、質問の目的が不明確であることが挙げられます。質問が曖昧だと、回答者の混乱を招き、正確な情報を得ることが難しくなります。
質問の目的が不明確になる原因は、調査の目的と課題が不明確である場合がほとんどです。
対処法は、事前にアンケートの目的と課題を明確に設定し、一つ一つの質問においても目的を明確にすることです。そのため、冒頭から4項までを割き、調査目的と調査課題の設定について、ご説明いたしました。
以降は、アンケート票(調査票)作成から調査報告書作成までの作業について、主要なポイントを解説します。ただし、上記の調査課題それぞれの作業ポイントではなく、総体的な視点での解説ですのでご留意ください。
作業に携わる方はお読みいただければと思います。
アンケートの具体的な質問の作り方と注意点
アンケートを作成する際には、適切な質問文が重要です。
具体的な質問文の作り方:
1.単純明瞭な言葉を使用する
質問はできるだけわかりやすく、簡潔に記述します。複雑な言葉や専門用語は避け、一般的に理解されやすい言葉を選びます。
2.具体的な内容に焦点を当てる
曖昧な質問ではなく、具体的な内容や行動に関する質問を作成します。例えば、「どのような広告を見たことがありますか?」ではなく、「過去1週間でテレビCMを見たことがありますか?」のように具体的に質問します。
3.客観的でバイアスのない質問を心がける
回答者の意見や行動を偏らせないような客観的な質問を心がけます。特定の意見や行動を導くような誘導的な質問は避けます。
注意点:
1.二重否定を避ける
「あなたが何もしないと言っているわけではありませんか?」のような二重否定は混乱を招く可能性があります。肯定的な表現を使って質問します。
2.主観的な単語を避ける
例えば、「素晴らしい」「優れている」「悪い」といった主観的な評価や感情を表す言葉を質問文に入れると、回答者によって異なる解釈を生むことがあるため、質問文は客観的な言葉で表現するように注意します。
3.選択肢の均等性を保つ
例えば、「満足」「やや満足」「どちらともいえない」「やや不満」「きわめて不満」と書かれている場合、「きわめて不満」だけ他項目より目立ちます。選択肢(選択式の回答)を作成する際には、可能な限り均等性を考慮し、ある項目だけ他より注目されることがないようにします。
アンケートの選択肢設計:MECE原則を活用した選択肢(選択項目)の作成方法
アンケートで選択肢(選択項目)を作る際には、MECE原則(Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive:相互に排他的で、総合的に包括的)を考慮することが重要です。
MECE原則を活用した質問文の作成方法:
1.相互に排他的な選択肢を用意する
各選択肢が重複せず、互いに独立していることを確認します。例えば、Q何から情報を得ましたか?→選択肢「1.口コミ」「2.友人からの紹介」は悪い例です。口コミの意味は友人からの紹介も含まれるからです。「1.家族からの紹介」「2.友人からの紹介」というように選択肢は互いに排他的である必要があります。
2.総合的に包括的な選択肢を提供する
全ての可能性を網羅するような選択肢を用意します。漏れがないように、だからといって50項目も60項目もと膨大にならないように、精査し選択肢を用意します。
3.明確で理解しやすい選択肢を作成する
選択肢がわかりやすく、曖昧さがないようにします。人によって異なる解釈ができてしまう不明確な選択肢は、回答者の誤解や混乱を招きます。
アンケートの回答率を上げる7つのテクニック
アンケートの回答率を上げるためには、いくつかのテクニックがあります。以下に、その中から7つのテクニックを紹介します。
1.導入文で目的を明確にする
アンケートの導入文で、回答者にアンケートの目的や重要性を説明しましょう。その方が回答率が上がります。
2.簡潔な質問
質問は簡潔で明確なものにすることが大切です。複雑な質問や二重否定を避け、回答者の負担を軽減しましょう。
3.誘導的な質問を避ける
質問内容や選択肢に偏りがあると、回答者の意見が歪められてしまいます。中立的な質問を心がけましょう。
4.回答時間の見積もり
アンケートの導入文やページ上部に、回答にかかる時間の目安を提示することで、回答者の負担感を軽減できます。
5.追跡調査の実施
未回答者に対してリマインダーやフォローアップのメールを送ることで、回答率の向上が期待できます。
6.オプトアウトの提供
回答者に対して、アンケートに回答することを強制せず、回答を拒否することができるようにします。そうすることで、回答者の意思尊重が図れます。
7.謝礼の提供
回答者に対して、アンケートへの参加や回答のお礼として謝礼を提供することで、回答率を向上させることができます。
これらのテクニックを組み合わせることで、より高い回答率を期待できます。
アンケートのプライバシー保護:個人情報の取り扱いと法的規制について
アンケートを実施する際には、回答者のプライバシー保護が重要なポイントとなります。個人情報の取り扱いや関連する法的規制について十分な配慮が必要です。
個人情報の収集
アンケートで個人情報を収集する場合は、その収集目的や使用目的を明確にし、回答者に了解を得る必要があります。
匿名性の確保
個人を特定できる情報を最小限に抑え、回答者の匿名性を確保することが重要です。
法的規制の遵守
各国の個人情報保護法や関連する規制に従い、個人情報の取り扱いに関する法的な義務を遵守することが必要です。
アンケート分析のコツ:データから洞察を引き出し戦略決定に役立たせる方法
アンケート分析は、収集したデータから有益な洞察を引き出すための重要なプロセスです。効果的なアンケート分析を行うためには、以下のコツがあります。
データの整理と集計
収集したデータを整理し、集計します。質問ごとに回答をまとめ、数値データやテキストデータを分類します。
データの可視化
グラフやチャートを用いてデータを視覚化します。これにより、データの傾向やパターンが一目で把握しやすくなります。
クロス集計分析
複数の質問や変数を組み合わせてクロス集計を行うことで、特定の属性や条件による違いを明らかにし、洞察を得ることができます。
感情分析
回答に制約を設けないタイプの質問(「〇〇についてどう思いますか?」など)、つまり、オープンエンドの質問やコメントを対象に、自然言語処理や機械学習を活用して感情や意見を分析します。ポジティブなフィードバックやネガティブな意見を抽出し、製品やサービスの改善点を特定します。
重要な指標の抽出
ビジネス上の目標や調査の目的および課題に関連する重要な指標を特定し、それらに焦点を当てて分析します。特に、特定の目標達成に向けての進捗や課題がどこにあるかを把握します。
相関関係の分析
複数の質問や指標間の相関関係を分析し、異なる要因がどのように関連しているかを理解します。たとえば、特定の質問に対する回答が他の質問にどのように影響を与えているかを調べます。
比較とトレンドの追跡
過去のアンケート結果と比較して、トレンドや変化を把握します。これにより、改善された領域や悪化した領域を特定し、適切な対策を立てることができます。
洞察の発見と意思決定の支援
データから洞察を引き出し、それらをビジネスの意思決定に活用します。洞察を元に、戦略の修正や施策の改善など、具体的な行動計画を立てます。
これらのデータ解析手法を組み合わせることで、アンケート結果から有益な洞察を得ることができます。それにより、戦略的な意思決定を行い、ビジネスの成長や改善に役立てることができます。
アンケートデータの可視化:分かりやすいグラフやチャートの作成方法
アンケート調査で収集したデータを分析し、その結果をわかりやすく伝えるためには、グラフやチャートを活用した報告書が効果的です。
ここでは、アンケートデータを可視化する際のポイントについて解説します。
アンケートデータを可視化する際のポイント
1.適切なグラフの選択
データの種類や目的に応じて、適切なグラフを選択します。例えば、比較を行う場合には棒グラフや折れ線グラフが有効ですが、割合を示す場合には円グラフが適しています。
2.シンプルで明瞭なデザイン
グラフやチャートはシンプルで明瞭なデザインにすることが重要です。不要な装飾や複雑な要素を取り除き、データの内容が一目で理解できるようにします。
3.適切な軸の設定
軸の目盛りやラベルを適切に設定し、データを正確に表現します。また、軸の範囲を適切に設定することで、データの偏りや傾向を明確に示します。
4.データの比較
複数のデータを比較する場合には、同じスケールや基準で表示することが重要です。これにより、データ間の関係や差異を正確に把握することができます。
アンケートデータの可視化は、調査結果を効果的に伝えるための重要な手段です。適切なグラフやチャートを活用し、データをわかりやすく整理して報告書を作成することで、情報の理解や意思決定の支援に貢献します。
アンケート結果報告書の作成ガイド:レポートの構成と書き方
アンケート調査の結果をまとめて報告する際には、わかりやすいレポートの作成が重要です。ここでは、アンケート結果報告書を作成する際の構成と書き方のポイントについて解説します。
1.タイトルページ
レポートの冒頭には、タイトルページを挿入します。タイトルページには、レポートのタイトル、著者名、発行日などが記載されます。また、適宜ロゴや企業の情報を入れます。
2.目次
次に、レポートの目次を作成します。目次には、レポート内の各セクションや章のタイトルとページ番号を記載すます。これにより、読者はレポートの構成を把握しやすくなります。
3.序文
レポートの序文では、調査の背景や目的、調査の範囲などを説明します。また、調査の重要性や意義についても触れ、読者の関心を引きます。序文は簡潔にまとめ、レポート全体の導入として位置付けます。
4.調査概要
次に、アンケート調査の概要を示します。調査の目的、対象者の属性、サンプルサイズ、調査期間などの情報をまとめます。これにより、読者は調査の基本的な情報を把握することができます。
5.データの要約
レポートの中心部では、アンケート結果の要約を行います。主な結果や傾向をグラフやチャートを用いて視覚的に示し、数値データや注釈を付けて解説します。さまざまな観点からの分析結果をまとめ、読者が重要な洞察を得られるようにします。
6.詳細な分析
要約に続き、各質問やテーマについてより詳細な分析を掲載します。データの傾向や関連性を探り、さらに深い洞察を提供します。グラフやチャート、表を活用して、データを分かりやすく整理し、読者に情報を提供します。
7.結論と提言
そして、アンケート結果から導き出される結論や提言をまとめます。調査の目的や課題に基づいて、今後の方針や改善策を示します。読者に対して、具体的な行動計画や意思決定の支援を提供します。
8.参考文献
最後に、レポートで参照した文献や情報源を列挙します。引用した論文、書籍、ウェブサイトなどの情報を正確に記載し、信頼性を確保します。
アンケート結果報告書は、調査結果をわかりやすく伝えるだけでなく、読者にとって有益な情報を提供する重要な文書です。調査結果を理解しやすいレポートにまとめ、調査の成果を効果的に活用しやすくしましょう。
調査課題に応じて、無料のアンケート作成ツールも便利です
オンラインで回答してもらうアンケートの場合、かつ、アンケート対象者リストを保有していて、高度なアンケートシステム機能も不要で、高度な分析も行わない場合、無料のアンケート作成ツールを活用するのが便利です。
手軽に利用できるアンケート作成ツールの代表例として、Google FormsとMicrosoft Formsが挙げられます。
Google Forms
Google Formsは、Googleアカウントさえあれば無料で利用でき、豊富なテンプレートやカスタマイズ性が特徴です。
また、リアルタイムでの共同編集や自動集計などの機能も充実しており、チームでの作業に適しています。
Microsoft Forms
一方、Microsoft FormsはOffice 365と連携し、ビジネス環境での利用に適しています。
Office 365のサブスクリプションに含まれているため、企業や組織での利用が便利です。また、Excelとの連携もスムーズであり、アンケート結果のデータ解析が容易です。
使いやすさにおいては、Google Formsの方が直感的な操作性があり、初心者でも扱いやすいと言えます。一方、機能性においては、Microsoft FormsはOffice 365との統合が強力であり、ビジネス環境での利用に向いています。
選択の際には、利用目的や環境に応じて適切なツールを選びましょう。
まとめ
前半の5項までは、ビジネスにおいて事実・実態・ニーズを把握するためにアンケートは重要な役割を果たす手法であることをご理解いただきました。
ただし、アンケートでよくある失敗は、質問の目的が不明確であることが原因であることが多いため、事前に調査の目的と課題を明確にする必要があります。
目的と課題に沿ったアンケートを行うと、アンケート結果を活用することができます。
アンケート結果を活用することで、ビジネスや組織の意思決定に有益な洞察を得ることができます。
アンケートを通じて顧客のニーズや要望を正確に把握することで、商品(製品やサービス)を改善するための適切で具体的な行動を取ることができ、顧客満足度を向上させることができます。その結果、企業の収益向上に繋がります。
変化するビジネス環境を正確に捉えることや、顧客ニーズに対応するために、アンケートを効果的に活用しましょう。
後半のアンケート票(調査票)作成から調査報告書作成までの作業についてのポイントについては、アンケートに慣れた人でも、ミスしやすい点であったり、思案する点でもあります。
時々振り返りをしながら、アンケートの精度向上に役立てて頂ければ幸いです。
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