感性マーケティング~元気をもらえる、やる気が出る、人の心に寄り添う写真ギフトのためのKANSEI分析例~
写真、特に自然風景の写真は、人の創造力や集中力を高めたり、ストレスを軽減したり、心理的な効果が認められています。
今回は、そんな写真を題材にして、「心に寄り添う写真集を、ギフトとして贈るための感性分析を行う」という場面設定で、分析例をご説明します。
目次
候補の写真16枚を抽出 写真を見てどんな気持ちになる?
この写真集づくりの目的は、長期入院などで外出が難しい方々に、外の空気を感じられる写真集をプレゼントして、明るい気持ちになってもらうことを目指している(仮設定)とします。
ターゲット:長期入院などで外出が難しい人
長期入院などで外出が難しい方々をターゲットにするので、ターゲットに合った写真を選別します。
Step1 ターゲットにヒアリングするための素材の準備
まず、スタッフ自身が撮影した数百枚の写真の中から、明るい気持ちになりそうな写真を16枚に絞りました。
(1)
(2)
(3)
(4)
(5)
(6)
(7)
(8)
(9)
(10)
(11)
(12)
(13)
(14)
(15)
(16)
Step2 準備した素材を元に、ターゲットのニーズを把握するためヒアリングする
選んだこれらの写真について、次は、思うように外出できない人たちに、写真を見てもらい、それぞれの写真についてどんなことを感じるかを聴きました。
(誰が)どの写真を見るとどんな気持ちになる? 感性分析
写真を見てもらい、感じることを聴いたところ、さまざまな意見が出ました。
16枚の写真それぞれについて、さまざま意見が出たので、情報量が増えました。
Step3 収集した情報(データ)を分析し、写真作りの企画に役立てる
いろいろな意見からニーズを理解するため、分析します。分析手法は質的データを分析することに向いている数量化理論Ⅲ類を使います。
■数量化理論Ⅲ類手法とは
質的データを要約する際に用いる分析手法です。
似たもの同士が近くに寄る特徴があり、今回の場合、「写真」と「感情」が近くに位置した関係から、どの写真を見るとどんな気持ちになるか、写真ごとの特徴を確認することができます。
分析した結果が下図です。
*ピンクの円は、写真の番号です。 *黄色い円は、写真から感じる気持ちです。
図の番号に写真を載せてみます。
写真ごとの特徴と適した写真とそうでない写真
上図の分析結果を読み取ると、下記の特徴を掴むことができました。
(1)
(5)
(13)
図の中央付近にプロットされた3枚の写真は、ほぼすべての病状の人の、
- 「癒される」
- 「元気をもらえる」
という気持ちに寄り添える写真として活用できることが読み取れます。
(3)
(9)
図右下にプロットされた2枚の写真は、故郷から離れて過ごしている人々の
- 「温かみを感じる」
- 「心が静まる」
- 「懐かしく感じる」
という気持ちに寄り添える写真として、活用できることが読み取れます。
(6)
(7)
(8)
(10)
(11)
図左下にプロットされた5枚の写真は、毎日をほがらかに過ごしたい人たちの
- 「若さを感じる」
- 「生き生き新鮮な気持ちになる」
- 「生命力を感じる」
- 「笑える」
- 「思い出して楽しくなる」
という気持ちに寄り添える写真として、活用できることが読み取れます。
(2)
(4)
(12)
図左上にプロットされた3枚の写真は、リハビリをしている人たちの
- 「着実に進もうとやる気が出る」
- 「未来を感じる」
- 「ココロが燃える」
という気持ちに寄り添える写真として、活用できることが読み取れます。
(14)
(16)
図右上にプロットされた2枚の写真は、心の健康を目指す人の
- 自分を見つめなおせる
- ココロのしこりがすっととれるように感じる
- 日常に戻ったように感じる
という気持ちに寄り添える写真として、活用できることが読み取れます。
(15)
この写真は、残念ながら、
- 「落ち込む」
- 「落ち着かない気持ちになる」
という反応が出たため、活用することは避けた方がよいことが読み取れます。
写真ごとの特徴を示す「ことば」は、あまりくくり過ぎない方が良いです。
くくり過ぎると抽象的になり過ぎてしまい、ニーズがわかりにくくなるためです。
ちょっとカッコ悪いかな、ちょっと中途半端かなと思う程度にとどめておくのが、のちの施策に役立ちます。
勿論、広告やチラシづくりの際は、この分析結果をオリエンテーションして、カッコいいキャッチコピーに仕上げます。
説明が前後してしまいましたが、回答者(人)の「属性」が無いとお気づきの方もいらっしゃるでしょう。
■回答者(人)の「属性」とは
写真を見てどのように感じるかを回答してくださった回答者の特性データのことです。年齢・病状・職業・性別などのことです。
回答者の特性を詳しく知るためには、属性情報も必要です。ヒアリングする前に、回答者属性を整えておくと、分析の際にその属性情報と写真との関係を見ることができ、より多面的にニーズを把握することができます。
まとめ ターゲットに合った適切な写真の選択で心に寄り添うことができる
今回は、「心に寄り添う写真集を、ギフトとして贈るための感性分析を行う」という仮のシーンで、写真という感性データと、写真を見て何を感じるかという感性データを、感性分析の一例としてご説明しました。
「長期入院などで思うように外出ができない人たち」の中でも、身心の状態の違いや、回復が見込まれる人とそうでない人とでは、過ごし方が違うでしょう。それぞれの人の心に響く写真は違いますよね。
このような分析結果を基に、写真集をつくると、心に寄り添える写真集が作れるでしょう。
『感性マーケティング』は顧客の感性価値を分析し「もっと売れる!」を実現する
「感性」とは、外界からの刺激を感覚(五感等)で受容し処理し表現する能力です。
よって、顧客から発せられた意見・言葉・声や、表現したもの(写真やその他)は、感性情報です。
「感性」に関する詳細はこちら:「感性とは、感性マーケティングとは」
人は、意識的にも無意識にも言葉を発したり、行動をとっています。人が何かを購買するという意識決定ではそのどちらも(意識的/無意識)影響しています。したがって、表層ニーズと深層ニーズが行ったり来たりします。そのため、マーケティング戦略上、顧客や消費者の表層ニーズだけでなく深層ニーズをしっかり捉えておくことが重要です。
企業を作り手、顧客や消費者を使い手とすると、
- (顧客や消費者の目線で)「作り手の感性に共感する」
- (企業目線で)「使い手の感性に響く」
両者が共創するという関係を構築できると、「もっと売れる!」を実現できます。
そのために、感性を捉えて適切に分析することが大切です。
<感性が経済価値を生む>
※上図は次を筆者が編集したものです。「感性価値創造イニシアティブー感性が経済価値を生むー(経済産業省)」
顧客の声、人の感性を捉えて「もっと売れる!」を実現し、商売繁盛をもたらすものが『感性マーケティング』です。
今よりさらに商売繁盛を目指してお仕事をされている方は、新しい知識『感性マーケティング』を勉強してみませんか。↓ ↓ 必ず役立ちます。
「データ分析・感性データ分析」と「マーケティング戦略」を結び付けられる力は、基礎マーケティングを理解できているかがとても重要になります。3C、4P、STP、SWOT、5F、PESTといった基本のフレームワークは使いこなせていますか? 戦略を考える立場を目指す方にとってはマストの思考です。ちょっと自信ないかなと思う方はご覧になってみてはいかがでしょうか。↓ ↓ 必ず役立ちます。
「この商品はもっと売れるはずだ」
「この商品が売れている理由がわからない」
とお考えの方はお気軽にお問合せください。
お客様の声からもっと売れるを見つけ出します。
JMLA 事務局
最新記事 by JMLA 事務局 (全て見る)
- アンケートモニターを利用できる、セルフ型アンケート8選 - 2024年10月7日
- 顧客の本音を知る!~顧客は自分の本音を理解しているわけではない~ - 2024年9月27日
- 書籍「お客さまの声から見つける売り伸ばし戦略『感性マーケティング』」を出版します! - 2024年8月15日