【真のデジタルマーケッターとなるために】第12回:集計と分析

公開日:2020年09月17日最新更新日:2020年10月13日JMLA 事務局

何のために分析を行うのか?

分析を行うときは、(分析を行う)目的を設定しておくことが肝要です。

戦略を立てるための集計・分析の役割は、「事実を的確に知り、課題解決の糸口を発見する」ことです。そのために身につけるとよい集計・分析の視点は大きく2つ、「1.(扱う)データの傾向把握」と「2.データ間の関係性の把握」です。

リサーチを行うことにより(第11回解説)、事業課題に対する大まかな情報は得られます。しかし、漫然とデータを見ていただけでは、勘による経営判断とほとんど変わりなく終わってしまいます。リサーチにより得られたデータを適切な手法で集計・分析する必要があります。

「1.(扱う)データの傾向把握」を行うことにより、
収集したデータから世の中や市場、商品・サービスなどの動向や傾向が読み取ることが可能になります。どのような商品が、どの位売れているのか、その勢いは数年変わっていないのか、などが見えてきます。まずは基本的な世の中の傾向を把握するのです。

次に、「2.データ間の関係性の把握」です。
「1.(扱う)データの傾向把握」を掘り下げて、データ間にはどのような隠れた関係性があるのかを見ていきます。商品やサービスはどのような人たちになぜ・どのように利用されているのか、売れている商品の共通項は何かなどを見ていきます。また予測モデルを得るケースなど、自社の課題を解決する深い洞察を得ます。

 

取り扱うデータの種類(復習)

データの種類を復習しておきましょう。

①収集目的による区分

「一次データ」と「二次データ」

「一次データ」とは、特定の目的のために新たに収集されたデータのことです。課題解決のために行った顧客調査や競合企業調査などが当てはまります。

「二次データ」とは、何かの目的のために既に収集されていたデータのことです。内部データと外部データがあります。自社商品の月別売上データなどは内部データであり、経済産業省などの官庁や大手調査機関が発行している調査データなどは外部データに当てはまります。

 

② 顧客属性(顧客の姿形)を把握する変数による区分

 

 

  • デモグラフィックデータ
  • ジオグラフィックデータ
  • サイコグラフィックデータ
  • ビヘイヴィアデータ

 

「デモグラフィックデータ」とは、人口統計データであり、年齢・性別・職業などのデータがあてはまります。

「ジオグラフィックデータ」とは、地理的データであり、住居、勤務地、位置情報などがあてはまります。

「デモグラフィックデータ」とは、心理的データであり、感性や価値観などがあてはまります。

「ビヘイヴィアデータ」とは、行動結果データであり、アクセス履歴、購買履歴などがあてはまります。

 

集計・分析方法

冒頭にお話ししました通り、集計・分析方法には、「1.傾向を把握する」ための集計・分析と、「2.データ間の関係性を把握する」ための集計・分析方法とがあります。

「1.傾向を把握する」

傾向を把握するための集計方法法には、「単純集計」や「クロス集計」などがあります。
「単純集計」は、人気ランキングや果物の生産量ランキングなどで目にしているでしょう。
「クロス集計」は、好きな食べ物の男女差や年齢別の購入頻度などの2つの要素を一度に把握する集計方法です。

 

「2.データ間の関係性を把握する」

傾向を把握できたら、次にもう少し深くデータの特性を把握するとよいでしょう。
たくさんの要因(変数)が関係していると考えられるデータの分析には、因子分析や数量化理論Ⅲ類分析など、量的データに向く分析手法と質的データに向く分析手法と適宜用います。

■量的データ 因子分析、重回帰分析による商品開発に向けた分析例

 

■質的データ 数量化理論Ⅲ類分析による顧客層別の課題解決に向けた分析例


今までランキング形式のような単純集計のみを見て判断に苦しんでいた方は、関係性の分析などを学ぶと、より正確なデータの読み込みと戦略の気づきを得られるようになります。ご自分で分析ができるようになると、情報・データの整理や問題点の把握、戦略的気づきなどが今までより格段に速く行えるようになります。是非、チャレンジしてください。

 

自らが求める目標達成には、それなりの準備と戦略が必要です。ただやみくもにやればよいというものではありません。

ビジネス社会で成功させるためには、マーケティングの知識と活用力は重要です。

皆さまも「マーケティング」に興味を持ってみてはいかがですか。

必ずご自分のお仕事に活かされますよ。

 

【真のデジタルマーケッターとなるために】シリーズ
第1回:マーケティングとは
第2回:現代マーケティングに重要なデータ
第3回:ブランドが果たす役割
第4回:マーケティングの仕組み
第5回:3C
第6回:PEST
第7回:5F
第8回:SWOT
第9回:STP
第10回:ブルーオーシャン戦略
第11回:リサーチの役割
第12回:集計と分析
第13回:戦略ドメインとコンセプト設計
第14回:競争戦略と隠れた競合
第15回:百年ブランドとなるために

 

 

参考:「3Cとは、SWOTとは」「強みを生かす!『SWOT』分析」「3C、4P、使いこなしていますか?!」「STP、ターゲティングの成功事例」「ファイブフォース分析とは」「JMLAベーシックパスポートの魅力

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一般社団法人 日本マーケティング・リテラシー協会(JMLA)は、「マーケティング」および「商品開発/事業開発」において、人財育成(認定資格講座、企業研修)および企業様の事業支援・開発支援を行っています。また、商品開発/事業開発の系統的なメソッド「Neo P7」を用いて企業の社員様が自分たちで持続的に開発を実現できるようにするための内製化支援を行っています。