定性データの整理方法3ポイント

公開日:2021年06月30日最新更新日:2024年06月05日堀内香枝

定性データとは、数値化が難しく、言葉や画像などで表現されるデータのことを指します。 主観的な意見や感情、経験などが含まれることが多いのが特徴です。

例えば、下記のようなものがあげられます。

  • アンケートの自由記述欄
  • インタビューでの回答
  • フォーカスグループでの議論
  • 日記やブログ
  • 商品レビュー
  • 写真
  • 動画
  • 音声データ

定性データは、人間の行動や心理を理解する上で非常に重要な情報ですが、定量データとは異なり、統計的な分析方法を用いることができません。扱いは慣れないと難しいものです。

数値化しやすいデータを収集し、統計学的に分析する調査方法を「定量調査」と言いますが、定性データのような数値化が難しいデータを収集し、内容分析などの手法で分析する調査方法のことを「定性調査」と言います。

この記事は、Neo P7で用いる評価構造図を例に、定性データの整理の仕方の一例を解説します。

Neo P7とは?

『Neo P7』とは、マーケティングにおける定性的(感覚的、言語的)手法と、定量的(論理的、数値的)手法の両面を融合した、バランスのとれたマーケティング手法体系です。

多くの企業で実践され、経験と研究成果を生かして改良を繰り返し完成した、システマティックな体系です。

詳しくはこちら

評価グリッド法を用いた評価構造図作成の例

まず、商品開発の系統的な進め方「Neo P7」の3工程目、インタビュー調査の1手法である「評価グリッド法」を利用してインタビューを実施します。
インタビュー実施後、「評価構造図」を作成します。

評価構造図を作成すると、複数ある新商品の仮説案を、インタビューで得られた評価項目を用いて評価することができます。

評価構造図の最終形の例が下図です。
「上位概念」ー「評価項目(中位概念)」ー「下位概念」といったかたちで、顧客ニーズである定性データを構造的に整理しています。

評価グリッド法を用いてインタビューをした結果は、定性データなので、まとめ方にコツがあります。

まず、上中下=②①③に、インタビューの回答を振り分けます。

※評価構造図にまとめるための評価グリッド法を用いたインタビューシート(質問票)づくりについては、こちらをご覧ください。

  1. 評価項目(下図/上図の中央列)
  2. 上位概念(下図/上図の左端列)
  3. 下位概念(下図/上図の右端列)

最も重要な「評価項目」(下図①)から、定性データのとりまとめを行います。

評価項目の整理方法 2ステップ

3列の中央が「評価項目」となります。
左に上位概念、右に下位概念です。

図中央の「評価項目」が最も大事です。詳しく解説しましょう。

まとめ方のイメージは下記の図の通りです。

イメージができたら、もっと細かく見ていきましょう。
評価項目は、大きく2ステップに分けて整理します。

  1. カテゴリーに分類する
  2. 各カテゴリーごとに集約して項目数を減らす

大まかにカテゴリーに分類した後、似た意味合いの複数の言葉を、代表する一つの言葉に集約し、可能な限り項目を減らします。

上位概念のまとめ方 3ポイント

次に、「上位概念」をまとめます。

  1. 図中央の「評価項目」と同じ方法で、似た意味合いの複数の言葉を、代表する一つの言葉に集約し、可能な限り項目を減らす
  2. ネガティブな表現をポジティブな表現にする
  3. 語尾を「~したい」の表現に統一する。

特に「~したい」という表現に統一すると、理解がしやすくなります。

下位概念のまとめ方の視点

最後に、「下位概念」を整理します。

整理の方法はこれまでとほぼ同じです。
下位概念はあまりまとめず、細かい具体的な言葉を利用しましょう。
なぜなら、新商品アイデアに追加できる「斬新な意見」が出ている可能性が多く、それを発見できたらアイデアに追加ができるからです。

整理が必要な視点は、「下位概念」と「上位概念」が逆転しているような言葉です。
非常に細かなニーズが「上位概念」に入っている場合は、「下位概念」に入れ替えてもいいでしょう。
また、その逆も入れ替えできます。

定性データの重要性

このような手順で整理を進めると、すっきりとした評価構造図に仕上がります。

評価構造図を利用すると、訂正データを整理でき、顧客ニーズについて共有・理解しやすくなります。
有用な新商品の仮説(アイデア)は複数ある場合がほとんどです。どの仮説の受容性が高いか、検証する必要があります。
検証の際、どういう評価項目で、どういう指標で、複数の仮説を評価すればよいかは、評価構造図の中央列「評価項目」を見ればよいので、社内コンセンサスがとりやすくなります。

定性データは、意味合いを理解しながら言葉を振り分け、集約していかなければならないので、扱い方に慣れが必要です。慣れることが出来れば、ツールがなくても、誰でも取り組める有用な情報となるでしょう。

定性データの扱いに慣れると、略的に非常に重要な情報を読み取れるようになります。
将来を切り開く宝を発見して有効活用しましょう!!

新しいチャレンジ、新しい人と知り合う、新しい物事を考える、そういう行動が、今、大事です。

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女性の感性を活かした調査設計や市場動向の分析により、お客さまの深層心理「感性」の解明を得意とします。コンサルティングファームで食品メーカー、外食産業、エステティック産業、通販企業、冠婚葬祭業、工作機械メーカーなど幅広い業種のマーケティング・コンサルティング業務を経験しました。これまで培った経験を元に、一般社団法人 日本マーケティング・リテラシー協会(JMLA)設立に参画し、感性マーケティング『マーケティング解析士』講座カリキュラム策定に携わりました。現在は、『マーケティング解析士』講座の講師活動を行っています。同時に、企業様のマーケティング課題解決のサポート活動を継続しています。