定性データの整理方法3ポイント
定性データとは、数値化が難しく、言葉や画像などで表現されるデータのことを指します。 主観的な意見や感情、経験などが含まれることが多いのが特徴です。
例えば、下記のようなものがあげられます。
- アンケートの自由記述欄
- インタビューでの回答
- フォーカスグループでの議論
- 日記やブログ
- 商品レビュー
- 写真
- 動画
- 音声データ
定性データは、人間の行動や心理を理解する上で非常に重要な情報ですが、定量データとは異なり、統計的な分析方法を用いることができません。扱いは慣れないと難しいものです。
数値化しやすいデータを収集し、統計学的に分析する調査方法を「定量調査」と言いますが、定性データのような数値化が難しいデータを収集し、内容分析などの手法で分析する調査方法のことを「定性調査」と言います。
この記事は、Neo P7で用いる評価構造図を例に、定性データの整理の仕方の一例を解説します。
Neo P7とは?
『Neo P7』とは、マーケティングにおける定性的(感覚的、言語的)手法と、定量的(論理的、数値的)手法の両面を融合した、バランスのとれたマーケティング手法体系です。
多くの企業で実践され、経験と研究成果を生かして改良を繰り返し完成した、システマティックな体系です。
評価グリッド法を用いた評価構造図作成の例
まず、商品開発の系統的な進め方「Neo P7」の3工程目、インタビュー調査の1手法である「評価グリッド法」を利用してインタビューを実施します。
インタビュー実施後、「評価構造図」を作成します。
評価構造図を作成すると、複数ある新商品の仮説案を、インタビューで得られた評価項目を用いて評価することができます。
評価構造図の最終形の例が下図です。
「上位概念」ー「評価項目(中位概念)」ー「下位概念」といったかたちで、顧客ニーズである定性データを構造的に整理しています。
評価グリッド法を用いてインタビューをした結果は、定性データなので、まとめ方にコツがあります。
まず、上中下=②①③に、インタビューの回答を振り分けます。
※評価構造図にまとめるための評価グリッド法を用いたインタビューシート(質問票)づくりについては、こちらをご覧ください。
- 評価項目(下図/上図の中央列)
- 上位概念(下図/上図の左端列)
- 下位概念(下図/上図の右端列)
最も重要な「評価項目」(下図①)から、定性データのとりまとめを行います。
評価項目の整理方法 2ステップ
3列の中央が「評価項目」となります。
左に上位概念、右に下位概念です。
図中央の「評価項目」が最も大事です。詳しく解説しましょう。
まとめ方のイメージは下記の図の通りです。
イメージができたら、もっと細かく見ていきましょう。
評価項目は、大きく2ステップに分けて整理します。
- カテゴリーに分類する
- 各カテゴリーごとに集約して項目数を減らす
大まかにカテゴリーに分類した後、似た意味合いの複数の言葉を、代表する一つの言葉に集約し、可能な限り項目を減らします。
上位概念のまとめ方 3ポイント
次に、「上位概念」をまとめます。
- 図中央の「評価項目」と同じ方法で、似た意味合いの複数の言葉を、代表する一つの言葉に集約し、可能な限り項目を減らす
- ネガティブな表現をポジティブな表現にする
- 語尾を「~したい」の表現に統一する。
特に「~したい」という表現に統一すると、理解がしやすくなります。
下位概念のまとめ方の視点
最後に、「下位概念」を整理します。
整理の方法はこれまでとほぼ同じです。
下位概念はあまりまとめず、細かい具体的な言葉を利用しましょう。
なぜなら、新商品アイデアに追加できる「斬新な意見」が出ている可能性が多く、それを発見できたらアイデアに追加ができるからです。
整理が必要な視点は、「下位概念」と「上位概念」が逆転しているような言葉です。
非常に細かなニーズが「上位概念」に入っている場合は、「下位概念」に入れ替えてもいいでしょう。
また、その逆も入れ替えできます。
定性データの重要性
このような手順で整理を進めると、すっきりとした評価構造図に仕上がります。
評価構造図を利用すると、訂正データを整理でき、顧客ニーズについて共有・理解しやすくなります。
有用な新商品の仮説(アイデア)は複数ある場合がほとんどです。どの仮説の受容性が高いか、検証する必要があります。
検証の際、どういう評価項目で、どういう指標で、複数の仮説を評価すればよいかは、評価構造図の中央列「評価項目」を見ればよいので、社内コンセンサスがとりやすくなります。
定性データは、意味合いを理解しながら言葉を振り分け、集約していかなければならないので、扱い方に慣れが必要です。慣れることが出来れば、ツールがなくても、誰でも取り組める有用な情報となるでしょう。
定性データの扱いに慣れると、略的に非常に重要な情報を読み取れるようになります。
将来を切り開く宝を発見して有効活用しましょう!!
新しいチャレンジ、新しい人と知り合う、新しい物事を考える、そういう行動が、今、大事です。
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堀内香枝
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