御岳山山頂の『天空芸者ナイト』マーケティング

公開日:2018年08月08日最新更新日:2018年08月08日堀内香枝

御岳山(みたけさん)商店組合の危機意識から生まれた

8月6日のJNTO(日本政府観光局:Japan National Tourism Organization)の記事、山頂のインバウンド対応「天空芸者ナイト」(https://action.jnto.go.jp/casestudy/997)を読み、考え深い内容でしたので、ここでも紹介したいと思います。

御岳山商店組合はどこに位置するか、
「東京駅から、JR中央線東京駅(約40分)→JR青海線立川駅(約50分)→JR御嶽駅→西東京バスケーブル下行き(約10分、運賃270円)→滝本駅→ケーブルカー→リフト:展望食堂」=『武蔵御嶽神社門前』(標高929mの御岳山の山頂に鎮座する武蔵御嶽(みたけ)神社の門前)に立地しています。

御岳山商店組合ホームページ情報より、
http://mitakesan.com/access.html(交通・アクセス)
http://mitakesan.com/kankou.html(観光・みどころ)

●御岳山商店組合が『天空芸者ナイト』(大変革事業)を生み出した背景について(箇条書きで)

・歴史ある『武蔵御嶽神社』によって一定の集客はあるものの、慢性的な後継者不足に悩んでいた。
・年々売上が減少する店舗が増えていく状況にあった。

↓その状況に歯止めをかけるべく

・年始の初詣
・親子昆虫観察会
・子ども体験教室
・薪神楽(たきぎかぐら)
などさまざまなイベントを実施

↓思うような成果は上がらなかった。反省を活かし

・2011年、武蔵御嶽神社が祭る「おいぬ様(オオカミ)」と関連付けて、愛犬連れの登山客や参拝客を取り込んだ「おいぬ様」事業を実施

↓国内の新しいお客様の開拓に成功。この事業を契機に

・青梅市との関係が深まる
・青梅市観光協会との関係が深まる

(並列的に)
・近年、御岳山エリアにも外国人観光客が増加傾向
・商店街の一部の宿坊では広報活動の一環として、海外の旅行サイト「Booking.com」と契約し、固定客を獲得してきた一方で、商店街全体のインバウンド事業に取り組むには至っていなかった。

(こんな思いが強まった)
◆このままの状況では、商店街の将来性が見出せない
◆御岳山商店組合の組合員が生計を立てている立地は、陸の孤島のような山の上
◆「おいぬ様」事業は一定の成功を収めたが、現状を大きく変えるものにはならなかった
◆組合長は、このままでは先がないという危機意識を持っていた

組合長の将来を見据えた決断から

インバウンド事業への気運が高まっていたところ、【天空芸者ナイト】のアイディアが生まれました。
外国人観光客が日本文化に積極的に触れてもらえるように2部構成にし、1部では芸者の踊りを鑑賞し、2部ではお座敷遊びで体験できる構成にしました。

大成功!!
この成功のおかげで、組合員の間には、インバウンド対応が商店街の将来を切り拓く鍵だという自覚が生まれたということです。

※天空芸者宴(ナイト)の詳細は、御岳山(みたけさん)商店組合ホームページよりhttp://mitakesan.com/

インバウンド事業のこれから

<インフラ構築への取り組み>
・2014年から3年がかりでFree Wi-Fiの導入を、3店舗から→12店舗まで増やした
・英語のWi-Fi案内表示も作成した
・平行して、クレジットカード決済端末の導入も進めた
・端末操作などに不慣れな商店主が多かったため、各商店主へのレクチャーを時間をかけて行った
・食事メニューの英語表記を徹底した
・メニューの写真を掲載した立て看板を作成した
☆メニューの写真を掲載した立て看板は、すぐに反応が現れ、売上向上につながった。

<集客向上方法>
・在日米軍基地(横田、横須賀など)、羽田空港、都庁の東京観光情報センターなどに日英併記のポスターとチラシを設置
・専用サイトやFacebookの開設などの広報活動

これからは、組合員の英語能力を向上させる、コミュニケーションの質を上げる取組を行っていく、専用サイトの多言語化をはじめとする情報発信の拡充も進めていく予定のようです。

事実把握と目標設定

この記事を読み、改めて「事実の把握」と「ビジョンの設定」が大事であると再認識しました。

事実を受け止めるということは、なかなか難しいことです。

そして、組合員が生計を立て続けることができる持続可能な仕組みを作る、というビジョンを持ったことで、言葉の壁も含めて「外国人観光客を呼び込む」という高いハードルを乗り越える努力し続けるエネルギーを生み出すことができるのだと思います。

ビジョンがしっかりしていると、イベントは費用をとるのか、無料にするかといった価格設定や、ターゲットに合わせてブラッシュアップする食事や宿泊、お土産といった本業の収益を得る仕組みまで総体を検討する際、判断する基準を持つことができるようになります。そのことが、躊躇して先に進めなかった状態から一歩踏み出す勇気につながります。加えて、ビジョン(目標)を設定できると、現状からどうやって階段を登って行こうか計画を立てることが可能になります。

 

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女性の感性を活かした調査設計や市場動向の分析により、お客さまの深層心理「感性」の解明を得意とします。コンサルティングファームで食品メーカー、外食産業、エステティック産業、通販企業、冠婚葬祭業、工作機械メーカーなど幅広い業種のマーケティング・コンサルティング業務を経験しました。これまで培った経験を元に、一般社団法人 日本マーケティング・リテラシー協会(JMLA)設立に参画し、感性マーケティング『マーケティング解析士』講座カリキュラム策定に携わりました。現在は、『マーケティング解析士』講座の講師活動を行っています。同時に、企業様のマーケティング課題解決のサポート活動を継続しています。