アンケート調査をするときの10ポイント(4)調査票作成・分析計画
シリーズ最後の回は、「調査票作成」と「分析計画」です。
アンケート調査をするときの10ポイント(シリーズ)
(1)調査目的・調査課題・対象者
(2) 回収目標サンプル数・出現率/回収率
(3)調査手法・期間・費用
(4)調査票作成・分析計画
調査票の作成
調査票作成の考え方は、大きく2通りです。
1.インプットとアウトプットの形式が決まっている。
アウトプットとは、調査データの分析に用いる手法をさします。
インプットとは、調査票の設問形式をさします。
つまり、解析できる設問形式を用意するという意味です。
システマティックな商品企画「Neo P7」は、インプットとアウトプットが決まっています。
やり方は決まっていますが、そこに入れる内容は(当然)個々の開発テーマに沿って練る必要があります。
2.アウトプットもインプットも調査設計者が計画する。
この方法は、調査目的を決めてから具体的な内容を設計しながら詰めていく方法です。
具体的に詰めていく方法をご説明します。
調査設問(質問)は「とりあえず聴こう」とどんどん質問を増やすと失敗します。
調査した後データをどう見たらよいのかわからずデータに振り回されます。そして結局は無駄に。
失敗しないためには、聴きたいことをどんどん出していく方法(下図右「設問」)と調査目的から→課題→仮説→設問→分析手法と(下図左から右へ)順に具体的に落としていく方法と両方からアプローチしながら聴きたいことを整理するとよいです。
調査対象者(モニター)が見る調査票は「設問」(下図右から2列目)だけです。
2.アウトプットもインプットも調査設計者が計画する「調査票作成の方法」
調査実査が終了し、回収後のデータを分析する段階で、各設問が何のために設計されたのか事前に整理しておけば、集計・分析した結果をどう読み取るか迷うことなく行えます。
分析計画
データの傾向を把握するためには、基本集計は不可欠です。
その上で、データ間の関係性を把握し新しい因子を発見するような深い分析は、基本の集計では見いだせない有益な結果をもたらしてくれます。また、検定を実施し正確に差異を把握することで、取り組むべき優先課題が洗い出され、やり尽くしてもうやることはないと思っていなのに、気持ちを新たに事業部一丸となって次の目標に取り組むことができたということもあります。
使う手法を考えるより先に、各設問の回答から何を導き出すかを明確にし計画するとよいでしょう。
分析手法例:
集団の傾向を調べる(単純集計)、質問間の関連を調べる(クロス集計)、関連の強さを調べる(相関)、比率・平均の差を調べる(検定)、改善事項を求める(CSポートフォリオ)、予測モデルをつくる(重回帰分析)、潜在因子を見つけ特性を要約する(因子分析)、類似度を調べる(数量化理論Ⅲ類)、グルーピングする(クラスター分析)、最適な商品コンセプトを決定する(コンジョイント分析)、多変量解析で改善や新規の方向を見出したり因果関係を追求したり、その他さまざまな分析方法が適宜用いられています。
日頃から記録をとることで調査データとして活用できる
アンケート調査10のポイントの個々について概略をお伝えしてきましたが、最後に、「調査」とあらたまって企画しないで日頃の業務の中でデータを蓄積していくと調査データになることもあります。
営業日報が代表例です。
日々の活動記録をデータ化しておくだけでどんどん情報が溜まります。
顧客の属性はもとより経緯や自社商品の利用状況、顧客から聴いた他社情報などの記録は、自分たちの足で稼いで集めた貴重な調査データといえます。
数か月後には集計できるだけのデータ量になるでしょう。
「アンケート調査」にもう一歩踏み込んでみてはいかがでしょうか。
マーケティングの基本理論を使いこなすJMLAベーシックパスポート
顧客の潜在ニーズを引き出し商品開発を行う商品企画
人をワクワクさせる感動商品を想像する商品開発プロジェクト
顧客ニーズ(定量データ)からセグメンテーション→ターゲティングアナリスト
人の感性を定量的に分析し戦略立案を行う感性マーケティング
堀内香枝
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