アンケート調査をするときの10ポイント(1)調査目的・調査課題・対象者
アンケート調査は準備が大切です。
「アンケートは役に立たない」とか「最初から行先を決めてしまっている」というご意見をお持ちの方には、こちらのポイントをおさえていただいて、真のアンケートの効果を実感していただければと思います。
調査市場がなくならないのは、調査が必要だということの証ではないでしょうか。
そこで、本日は調査設計についてお話しします。
文中、「アンケート」「調査」「リサーチ」「サーベイ」という言葉が登場する可能性がありますが、ここでは、定義をしませんので、すべて同様の意味合いととらえてください。
注:「アンケート」はフランス語で「調査」を意味します。「リサーチ」は英語で「研究」を意味しますが、日本では「調査」と類似する意味合いで頻繁に使用されています。「サーベイ」は英語で「調査」を意味します。
アンケート調査をするときの10ポイント(シリーズ)
(1)調査目的・調査課題・対象者
(2) 回収目標サンプル数・出現率/回収率
(3)調査手法・期間・費用
(4)調査票作成・分析計画
調査(実査)を開始する前に準備すること
- 調査目的
- 調査課題
- 対象者(誰に聴くか)
- 回収目標サンプル数(サンプルサイズ)
- 出現率/回収率
- 調査手法
- 調査期間
- 調査費用
- 調査票作成
- 分析計画
「10.分析計画」を準備段階に入れるのは、調査(実査)を始める前に分析方法を計画しておくことで、「9.調査票作成」の際、調査票に分析するための設問を設計できます。それだけでなく、「10.分析計画」があるからこそ「1.調査目的」を達成できることもあります。
調査目的と調査課題
まず、「1.調査目的」「2.調査課題」についてです。
最も大事なのは「1.調査目的」です。
失敗した調査は、100%「調査目的」が曖昧かズレていたケースと言えるでしょう。
「なんのために」
「調査をして何に役立てるのか」
調査目的を明確にするためには、その前に問題や課題の整理が自ずと必要になります。
「2.調査課題」は、「1.調査目的」の下位にあたり、1つの目的を達成するために2~5つ程度のサブテーマのイメージです。
対象者(誰に聴くか)
調査のご経験がない方は、「調査対象者」の意味がわからないと思いますので、簡単にご説明します。
飲料Aを購入したことがある人に、飲用した感想を聴きたい。
この場合の「調査対象者」は、「飲料Aの飲用経験者」です。
「飲料Aの飲用経験者」ってどうやってわかるの? とお思いでしょう。
調査は2段階で行います。
Step1 調査対象者を抽出するためのスクリーニング調査(調査対象者以外も含まれる)
Step2 本調査 調査対象者のみに聴く
このように、Step1で調査対象者を探し出す予備調査を行ってから、Step2で本当に聴きたい相手(調査対象者)に聴きます。
補足すると、女性向け商品のことを、男性に聴いても答えられませんし、60代以上が購買層のサービスを20代に聴いても聴かれた方も回答に困ります。
Step1が不要でStep2から直接始めることができるのは、例えば、自社の顧客データベースを保有していて、調査協力の許諾も得られているので、顧客を層別して対象となる顧客にのみアンケートを配信して回答を得るような場合です。
「調査対象者(誰に聴くか)」を絞るメリットは、聴くターゲットが明確になりシンプルな調査票を作れることです。
ただし、あまりに狭いターゲット設定は、「出現率」(ある条件・調査対象者に合致する人がどれくらいいるか)が低くなり、
せっかく調査しても「代表性」(一部の偏った意見ではなく調査対象者全体の意見を的確に反映できている)に問題が生じます。
次回、「出現率」や「代表性」についてお話しする予定です。
ここでは、「調査対象者」を決めることがシンプルで良い調査ができるということをお伝えしておきます。
(補足)対象者を設定する5グラフィックス
対象者の設定は、下記5つの特性を参考にしながら検討されるとよいでしょう。
1、人口統計的特性
- 性別
- 年齢
- 未既婚
- 学歴
- 職業
- 職種
- 役職
- 家族構成
- 同居家族数
- 住居形態
- 年収(世帯/個人)など
2、地理的特性
- 居住地
- 最寄り駅
- 出身地 など
3、経験的特性
- 購入の有無
- 体験/経験の有無
- 認知の有無
- 購入金額のレベル など
4、心理的特性
- 考え方
- ライフスタイル
- 関心事項
- 性格 など
5、特殊な特性
- 医薬研究や学術研究など調査テーマに応じて分析に必要な特性
「アンケート調査」にもう一歩踏み込んでみてはいかがでしょうか。
(つづく)
マーケティングの基本理論を使いこなすJMLAベーシックパスポート
顧客の潜在ニーズを引き出し商品開発を行う商品企画
人をワクワクさせる感動商品を想像する商品開発プロジェクト
顧客ニーズ(定量データ)からセグメンテーション→ターゲティングアナリスト
人の感性を定量的に分析し戦略立案を行う感性マーケティング
堀内香枝
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