環境の変化に対応する新事業開発~レガシーマーケット・イノベーション~
時代遅れのビジネスを復活させるヒント その2
書店が減少し、喫茶店の倒産も多く見受けられるという現象の問題点を先だって書きましたが、今回はもう少し具体的に、では何を考え、どのようなことを行えばよいのかを考えていきましょう。
自分たちの強みの整理
書店や喫茶店に共通する本質とは何でしょうか?
書店は、書籍を売るところ、喫茶店は飲み物を提供するところ。
確かにそうです。しかし、それらは表層的なことではないでしょうか。
本を読むのは、勉強という場面もありますが、小説などは自分の余暇を楽しむものです。また、喫茶店も本当にのどが渇いたり、おいしいコーヒーが飲みたいという時もあるでしょうが、多くは空いた時間を落ち着いた雰囲気の場所で過ごしたい。という欲求によって利用することが多いのではないでしょうか。
共通するのは、余暇の充実です。
書店を利用するとき、目的の本があって買いに行くこともありますが、書店に置かれている本の中からお気に入りの一冊を見つけるというのも、書店を多く利用する人にとっては楽しみの一つでしょう。
であるならば、書店も喫茶店も顧客がゆったりと楽しく時間を過ごす場所という場所を提供できるということが大きな強みであるはずです。
まず自分たちの強みの本質を理解するところから課題解決は始まります。
個性で勝負する時代(誰にでも愛される時代は過ぎた)
一億総中流時代には、中級レベルの同じ商品、同じサービスを提供しておけば、多くの中流層が利用してくれました。しかし経済格差が生じ、ニーズも多様化した現在では、何か「自分に響くコト」でなくては利用してもらえない時代になっています。
東京の下北沢には、ビールを飲みながら本を選べる書店があるそうです。
お酒が飲めるから利用客の年齢層は自然と高めになる。
しかし、この比較的高年齢層こそ本をよく読む世代です。
その年齢層をターゲットとしたときにどのような付加価値を提供すればより利用してくれるだろうかと考えた結果が「BOOK&BEER」だったのだと思います。
また、北海道には、「走る本屋さん」があるそうです。
『街の書店がなく、公共図書館もない地域。子供たちはジャンルごとに陳列された本を見たことがない。子供たちの頭の成長を則す知的欲求を満たすためにはたくさんの本が並ぶ場所を提供して手に取り、触れてほしい。』という思いから始められたそうです。
結果、子供たちはもちろん、親たちも積極的に利用する姿が見られるようになり、地元の人たちのコミュニケーションの場としても活用されるようになったということです。
更に、著名な作家が薦める本だけを中心に提供して、大学生や社会人、子連れの女性にも人気のお店や、喫茶スペースを設けたお店、ベッドを置いてしまったお店まであるそうです。
共通しているのは、地域の特性を見極めてターゲットを絞り、地域の人たちが望む空間を作り上げたということです。
技術を持っている会社であれば、その技術が転嫁できる商品はないか考えるということです。
町の看板屋さんが、ウインドウディスプレイのNo.1企業になったという例もあります。
自分たちの財産・強みを顧客に提供する努力
自分たちがサービスを提供している地域で何が求められているのか?
求められていることの中に、自分たちが提供できるものはないか?
常に周りの出来事や情報にアンテナを張り、分析し、実行に移す。ということが重要なのです。
最近話題の、台湾から上陸した「誠品生活」も『暮らしと読書のカルチャーワンダーランド』をコンセプトそしているそうです。現在規模は大きくなっていますが、基本は、消費者の暮らしを豊かにするがサービス・空間を提供しようという考えです。
今回は、書店、喫茶店を例にしましたが、現代社会においてはどのような業種・業態も、そして企業の大小も関係なく自分たちが保有する財産・強みをどのように加工すれば現代の消費者に響くのか、冷静に考え、情報を分析することを継続しなくては生き残れない時代だということです。
そのためには、やはりマーケティングの知識が役に立ちます。
皆さまもマーケティング力を向上させ、ご自分の活躍の場を広げてください。
時代遅れのビジネスを復活させるヒント その1
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森田 広一
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