時代遅れのビジネスを復活させるヒント その1
近年、書店が減少し、喫茶店の倒産も多く見受けられます。世の中の変化したからだと言えばそのとおりですが、生き残る道はなかったのでしょうか?
後継者問題など一部の要因を除けば、従来のビジネスモデルから変革しなければならないということに気付くのが遅すぎた結果かもしれません。
問題点を整理していきましょう。
喫茶店の倒産が過去最大に
2019年上期の喫茶店倒産数が42件もあったそうです。下期も同様と推測すると過去20年で最多となるようです。
商談や友人との待ち合わせ場所、時間つぶしなど喫茶店は様々な利用のされ方をしてきました。
ですが、大手チェーンやCVSのテイクアウトコーヒーなど手軽にコーヒーを楽しめるサービスの出現により喫茶店の役割が次第に減少していったことは周知の事実でしょう。
では、喫茶店の役割はもうなくなったのでしょうか?
それは違うと思います。
喫茶店には、「淹れ立てのおいしいコーヒー」と「くつろげる空間」という二つの大きな武器がありました。
そして、その最大の武器を追及している喫茶店は、今も多くの人に利用され生き残っています。
経営状況が厳しくなった喫茶店は、喫茶店としての武器(自分たちの強み)、お客様が望む「美味しいコーヒー」の提供を追求することを忘れ、効率を追ってしまったとか、居心地の良さを提供するホスピタリティーの低下を起こしていたとか、知らず知らずに何らかの問題が発生していたかもしれません。
お客様が多く来店してくださっていた時期に、自店の強みや特徴を(お客様目線で)理解せずに経営を行っていてはだめだということです。
書店の明暗を分けた理由
書店の倒産数が過去最大になりそうだと述べましたが、それは町の小規模書店だけでなく大手書店でも同じ現象が起きています。
文教堂という大手書店は、債務超過を起こし不採算店の閉店が続いています。
では、全ての書店が業績不振化というとそうではありませんね。
大手で言えば、丸善の業績は堅実に推移しています。それには理由があります。丸善は、書店事業だけでなく、大学などの文教施設向けの事業や図書館のサポート事業という、自社の強みを活かした新規事業を強化し、3つの事業を展開することにより総合的に収益を上げる体制を構築したのです。大手だからできたのだと思ってしまってはいけません。
今、色々な地方で、「独自の品ぞろえ」や「くつろぎの空間サービス」など自分たち書店に求められることを一所懸命考えて堅実に運営されている書店を見聞きします。
社会環境は変化し続けます。そのことにより人々の生活様式も変化し続けます。
同じビジネスモデルが何年持つでしょう。3年に一度、5年に一度、10年に一度、変化する社会環境に適合しているかどうかの見直しと、新しい何かを生み出すことへのチャレンジが必要です。
自社の財産・強みを時代に適合させる努力
現在人は何を求めているのか?どのような商品やサービスを求めているのか?そこには自分たちが提供できることはないのか?
常にお客様のことを思い、お客様に「いい思い」をしてもらえることはないのかということを考え続ける努力をしていないと、時代から取り残されてしまうのです。
多くの人から愛し続けられている「虎屋」さんんも、一見昔から変わらぬ羊羹を売っていると捉えられがちですが、実はその味は時代と共にお客様の嗜好の変化に合わせ、微妙に変化させています。進化する努力を続けているからこそ、上顧客に共感され愛され続けることができるのです。
時代の変化に自社のビジネスを適合させるために、マーケティングやコミュニケーション、分析力、交渉力といった知識や技術が必要になります。
常にアンテナを張り、何が起こっているのかを正しく情報収集し、分析を行い戦略を立てアクションを起こす必要が出てくるからです。
次回、時代遅れのビジネスを復活させるヒント その2では、復活のヒントを探ります。
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時代遅れのビジネスを復活させるヒント その2
環境の変化に対応する新事業開発~レガシーマーケット・イノベーション~
森田 広一
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