「打ち合わせ」に求められる社会人としての心構え
世の中では、「打ち合わせ」が盛んにおこなわれています。ビジネスではもちろん、地域社会などでも「打ち合わせ」は必要です。しかし、時々、「打ち合わせ」や「会議」は役に立たない、無駄だなどという乱暴な意見も耳にします。
社員同士や仲間同士が仕事やイベントなどの目的に対し、各自の役割を確認したり、考え方を共有し目的が円滑に達成できるように行うのが「打ち合わせ」です。
ではなぜ、「打ち合わせ」が上手くいかなかったり、無駄だなどといわれてしまうことが起きるのでしょうか?
今回は、「打ち合わせ」という言葉の語源から、上手くいかない理由を探ってみましょう。
「打ち合わせ」でよく起きる現象
よく見る「打ち合わせ」の代表的な光景に、仕事の中心者や中心メンバーが、自分の言いたいことややりたいことだけを伝達して、他の参加メンバーは、自分が何をやればよいのかを確認するだけで終わるというものがあります。結果、その仕事に対する熱意には大きな温度差が生まれ、中心メンバーだけが一生懸命になって仕事をこなす、他のメンバーは与えられたことだけを行い、成果が今一つという評価に終わってしまう。
あるいは、レジメと称し、その日の打ち合わせ事項が書かれた紙資料が配られ、「役割分担や注意事項が書いてありますから本番までによく読んでおいてください。では、解散。」だけで「打ち合わせ」が終わる。これでは本番当日の連携もうまくいくはずがありませんね。
何故そのようなことが起きるのでしょうか。それは、「打ち合わせ」の持つ意義を当事者たちが正しく認識していないからです。
「打ち合わせ」の語源
では、そもそも「打ち合わせ」とは、どのような意味を持つ言葉なのでしょうか。その語源を理解すると「打ち合わせ」が上手く機能しない理由が解るはずです。
実は、「打ち合わせ」という言葉は、日本古来の雅楽の世界で使われる言葉だったのです。
雅楽は、笛や太鼓、琴といった異なる楽器の合奏によって成り立ちます。ですから、それぞれの奏者がバラバラに演奏していたのでは、調和のとれた合奏にはなりません。そこで、本番前に奏者が集まり、全員で合奏し音律やリズムを整えるということをする必要があります。
「本番を前に、奏者全員でそれぞれの楽器を“打ち合わせ”てみよう。」と合奏する。つまり、雅楽の世界のリハーサルのことを指す「打ち合わせ」という言葉が、イベントや仕事を行う前に行う話し合いのことを意味する言葉になっていったのです。
合奏をするのですから、一人一人の奏者は事前にしっかりと練習をしておかなくてはリハーサルはうまくいきません。
この語源を知ると、今私たちが行う「打ち合わせ」に必要なことが見えてきますよね。
「打ち合わせ」に必要な社会人としての心構え
もうお分かりですね。
「打ち合わせ」を意義あるものにするためには、参加者全員が事前に、目的の内容や基本的事項を把握し、必要と思われることを考えておかなくてはいけないということなのです。
参加者全員で、一つのことを成し遂げるのですから、当然全員の心が一つになっていなくてならないのは勿論、目的達成のためには何をすべきか、その中で自分は何が出来るだろうか、もっと良くするためには何をすればよいだろうかということを、全員が事前に考えて「打ち合わせ」の場に望み、意見交換する。それができて初めて有効な「打ち合わせ」が出来るのです。
もちろん片手間で出来ることではありません。参加者各自がそれぞれに勉強し、真剣に考える時間が必要です。更には解らないことなどは、上司や先輩に事前に教えてもらい、理解しておくことも必要になる場合もあるかもしれません。しかし、それが出来ればその仕事やイベントは成功に向かうことは約束されたようなものです。もし、何らかの理由で上手くいかなかったとしても、全員で考え実行したことですから、その失敗からは多くのことを学び、次の仕事に役立つはずです。
ビジネスや地域社会で行われる「打ち合わせ」などの時間やステップには重要な意義と役割があるということを理解してください。
まずは、「合奏のように、全体として美しい響きをつくる。」ために、参加者全員の心を合わせることから始めてください。心が統一されれば、目的に対する理想像も共有され、必ずや目的は達成されるはずです。
ただし、そこには競争社会で勝ち残る企業としての課題解決のステップや手法が必要になります。
それが、マーケティングです。
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森田 広一
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