★感性マーケティングブログ★ 「共創価値」マーケティング4.0は、『おもてなしの心』
フィリップ・コトラー(※1)が、マーケティング・コンセプトを「マーケティング4.0」の時代だと提唱してから数年がたちますが、
日本の企業においては、まだ3.0を実現することに奮闘しているというのが実情でしょう。
製造業などマーケティングの考え方の導入が遅かった業種では、2.0の実現がやっとという企業も多いことと思います。
それは日本という国が高度成長時代に伸びてきた企業が多く、
競争やブランディングなどという考え方をあまり必要としていなかったからであり、
仕方のないことで、今、前向きに企業努力を積み重ねればよいことだと思います。
学者というのは、一歩先のことを提唱するのがお役目ですからね。
しかし、冷静に考えると実は日本人にとっては、マーケティング4.0の考え方は、
昔から当たり前のこととして行われていたということを、今日はお話ししたいのです。
マーケティングの変遷
最初に、マーケティング・コンセプトの変遷について確認しておきましょう。
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- マーケティング1.0:製品中心
技術革新により、いかにいいものを作り・売るかが重要な時代
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- マーケティング2.0:顧客志向
顧客のニーズを付加価値として提供することが必要になった時代
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- マーケティング3.0:価値主導
製品やサービスに、機能的・感情的充足だけでなく精神の充足をも求められる時代
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- マーケティング4.0:価値共創
顧客の自己実現欲求を、企業がともに解決していく時代
以上のように、時代とともにマーケティングの考え方、コンセプトが変化してきました。
そして、今回コトラーが、マーケティング4.0を提唱したわけです。
テクノロジーが発達し、人々がネットでつながっている現代においては、
オンラインとオフラインの両方で企業と顧客がつながり、『共創価値』を創出していく時代だと定義づけしています。
そのことにより、人々の「自己実現(Self-Actualization)」が可能になると話しています。
この表現は、理解が難しいですが、言わんとしていることは共感できます。
更に、こうも言っています。
「企業ブランドにとって、最終の目的は、顧客が口コミによってブランドを推奨してくれること。」
「顧客の推奨」は、昔から企業にとっての究極の目標。
この言葉を読んですぐに思ったのが、これは日本の企業が昔から目指している究極の姿ではないかということです。
接客業に携わる人の最も優れた心構えは、「お客様が望むことを先回りして対応すること。」、
「お客様の潜在的ニーズを察知してサービスを提供すること。」です。
これは、かの「おもてなしの心」という言葉そのものの考え方です。
この「おもてなしの心」に感動するからこそ、
顧客が人に「あそこは、あの企業は、あのブランドは素晴らしい。」と紹介してくれるのです。
つまり、日本には昔から顧客と企業は「価値を共創していく」ことの大切さが身についていたということです。
以前の「感性マーケティングブログ」(※2)でも、『感性マーケティング』の重要性は解説しましたが、
日本人の心根には、ちゃんと息づいているのです。
だから、日本人はもっと自信をもって、自分たちが今やっていることを信じて、企業活動に邁進してほしいのです。
ただ、このようなことを現代のIT技術を背景にしながら、一つの理論としてまとめることは、コトラーはじめアメリカの学者は上手ですよね。そして影響力絶大。これには感服します。
「ワオ」とは、「新しい驚き」。
そして、「Wow(ワオ)」という言葉です。
直訳としては、「驚きやすごい喜びを表す、うわー!や、ああ!」となりますが、
4.0では、顧客に「驚き」を与えることにより、顧客の「価値体験」が高まり、人に推奨してもらいやすくなる。と説いています。
でも、このことは室町時代の芸能ごとの開祖『世阿弥』が、「自分たちの芸能ごとが末永く世の中の人々に愛され続けるためには、常に新しい驚きをお客様に届けるという意思と能力を組織の仕組みとして持っていることが大切。」と既に説いています。
そうです、ここでも日本人は、日本人の感性をもってマーケティングの最先端を実行していたのですね。益々日本という国が好きになりますよね。
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※1:フィリップ・コトラー「アメリカの経済学者:マーケティング論」
※2:誰でもできる『感性マーケティング』!
https://www.marketing-literacy.org/wp/blog/%e8%aa%b0%e3%81%a7%e3%82%82%e3%81%a7%e3%81%8d%e3%82%8b%e3%80%8e%e6%84%9f%e6%80%a7%e3%83%9e%e3%83%bc%e3%82%b1%e3%83%86%e3%82%a3%e3%83%b3%e3%82%b0%e3%80%8f%ef%bc%81/
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森田 広一
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