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アンケートモニターを利用できる、セルフ型アンケート8選
前回はセルフ型アンケートに関するシリーズ第1回として、導入前の「セルフ型Webアンケートツールを選定する前に考えておくべき8つのポイント」を解説しました。
今回は「セルフ型アンケート」の中でも「アンケートに回答してくれる対象者(モニター/パネル)を自社で保有していない場合でも定量アンケートを行うことができる」ー「セルフ型アンケート」に焦点を絞って7社8サービスを紹介し、特徴を解説します。
前回のおさらい
前回は「セルフ型アンケート」を導入する前に確認すべきポイントとして、下記を解説しました。
「こちら」からご確認いただけます。
- セルフ型Webアンケートとは
- 「外注(フルサービス型)」と「セルフ型」との大きな違い
- 「セルフ型Webアンケート」を利用する際の留意点
- 「セルフ型Webアンケート」を利用する目的を明確にする8ポイント
- 「セルフ型Webアンケート」でどんなタイプのアンケートができるの?
それでは今回の本題、「アンケートに回答してくれる対象者(モニター/パネル)を自社で保有していない場合でも定量アンケートを行うことができる」ー「セルフ型アンケート」に焦点を絞って、次項より7社8サービスを紹介します。
セルフ型アンケート Questant(クエスタント)
クリックすると、Questant(クエスタント)へリンクします。
特徴
日本を代表するリサーチ会社、株式会社マクロミルが提供するセルフ型アンケート作成サービスで、初心者でも簡単にアンケートを作成・配信できるセルフ型ツールです。
デザイン性の高いアンケートフォームが特徴で、直感的に操作できるUI(ユーザーインターフェース)になっています。70種類以上の豊富なアンケートテンプレートを利用できます。
アンケート画面作成の際には、質問の条件分岐やスキップも簡単に設定できます。
回答結果は、リアルタイムでグラフに反映されます。
回答データの集計の際には、マクロミル独自開発の集計ソフト「QuickCross」を利用できます。様々なデータ加工や、多変量解析などの分析も可能です。
パネル配信
マクロミルの大規模パネル(モニタ)を利用して、ターゲット層に配信が可能です。マクロミルグループのアンケート回答パネル総数は国内最大級の約3,600万人(※)。
(※)プレスリリース(2023年8月14日)「マクロミル、モニタスを連結子会社化パネル数は国内最大級の約3,600万人に」より
料金体系
アンケートツールの利用には、無料プランがあり、有料プランは月額数千円(年間5万円)から開始できます。
セルフ型アンケートツールの年間プラン(価格)は「こちら」
パネル(アンケート回答モニター)を利用した調査には別途見積もりが必要です。
(参考)10問 ✕ 100人=1万円
アンケートパネルを利用する料金イメージは「こちら」
導入企業
カルビー株式会社、ハウス食品株式会社、ロクシタンジャポン株式会社、株式会社ジェーシービー、株式会社ダスキンほか
セルフ型アンケート GMO ask
クリックすると、GMO askへリンクします。
特徴
GMOインターネットグループ会社のGMOリサーチ&AI株式会社(旧:GMOリサーチ株式会社)が提供する、完全DIY型アンケートプラットフォームです。気軽に生活者の声を集められる、手軽なセルフ型アンケートです。
アンケート調査の回収予測から「Google Forms®」アンケートを利用した配信・回収までをオンライン上の管理画面で完結でき、煩雑なメールや電話でのやり取りは不要です。「Google Forms®」ではなくGMO Askオリジナルフォームを使用した調査は、単純集計や簡易的なグラフ表示が行えます。
会員登録すると、テーマと設問数を入力するだけで、AIが調査票の案を自動作成する「調査票AIサポート(β版)」(生成AI「ChatGPT API」を利用した、アンケート調査票の作成補助機能)を試すことができます。(2024年10月現在)
パネル配信
「Google Forms®」のアンケートと連携し、GMOリサーチが提供する国内最大級約3,073万人(※)のパネルネットワーク「JAPAN Cloud Panel」に配信することで、大規模調査や条件の難しいニッチなターゲットへのアプローチを”気軽に・簡単に”実施することができます。
(※)プレスリリース(2023年6月15日)「完全DIY型アンケートプラットフォーム「GMO Ask」にAI活用機能「調査票AIサポート(β版)」を搭載【GMOリサーチ】」より
料金体系
(参考)1問1回答10円
※最低利用金額10,000円〜 ※クレジットカード決済対応可
11項目(性別・年齢・都道府県・職種・業種・婚姻状況・子供有無・職業・勤務先従業員数・職位・世帯年収)の属性以外での配信条件がある場合はスクリーニング(事前調査)が必要になるのでお問い合わせが必要です。
アンケートパネルを利用する料金イメージは「こちら」
導入企業
花キューピット株式会社、京セラ株式会社、帝人株式会社、パーソルキャリア株式会社、株式会社NTTデータほか
セルフ型アンケート GMO Market Observer(GMOマーケットオブザーバー)
クリックすると、GMO Market Observerへリンクします。
特徴
GMOインターネットグループ会社のGMOリサーチ&AI株式会社(旧:GMOリサーチ株式会社)が提供する高機能なセルフ型アンケートツールです。他社アンケートシステム(qualtrics、クリエイティブサーベイ、SurveyMonkeyなど)との連携も可能です。
パネル配信
日本国内に、アジアに大規模なパネルを利用できます。
料金体系
料金は、利用頻度に応じてサンプル従量制と月額固定プランが選択できます。
アンケートパネルを利用する料金イメージは「こちら」
導入企業
イプソス株式会社、グンゼ株式会社ほか
セルフ型アンケート Freeasy(フリージー)
クリックすると、Freeasy(フリージー)へリンクします。
特徴
幅広いデジタルマーケティングサービスを提供しているアイブリッジ株式会社が提供するセルフ型アンケートプラットフォームです。
調査モニターの品質を管理する仕組みとして、筑波大学とFreeasyが共同開発した独自アルゴリズム(特許取得済み)を適用しています。不適切回答をAIが自動抽出し、より高度な調査モニターの品質管理を徹底しています。
パネル配信
フリージーが保有するパネル(1,300万人超のアンケートモニター※)を利用して調査したいターゲットに配信することが可能です。
(※)Freeasyホームページより(2024年10月7日現在)
料金体系
基本料金に加えて、配信ターゲットや回答者数によって変動します。見積もり制です。
(参考)1問×1人×10円。
※最低利用金額500円(税別)以上 ※支払いはクレジットカード決済も対応可
アンケートパネルを利用する料金イメージは「こちら」
導入企業
株式会社クレディセゾン、株式会社集英社、ミズノ株式会社、東洋アルミプロダクツ株式会社、筑波大学ほか
セルフ型アンケート QiQUMO(キクモ)
クリックすると、QiQUMO(キクモ)へリンクします。
特徴
最新のテクノロジーを積極的に取り入れグローバルなマーケティングリサーチを提供する株式会社クロス・マーケティングのサービスが「QiQUMO(キクモ)」です。
多様な業界に対応し、カスタマイズ可能なアンケート作成ツールを提供しているため、マーケティング調査や顧客満足度調査などに利用できます。
アンケート画面を直感的な操作(ドラッグ&ドロップ)で簡単に作成でき、アンケート作成から分析までワンストップでできます。回答データは、エクセル形式で出力し自社の集計ツールで分析することも、無料集計ツール「Cross Finder2」を利用することも可能です。無料集計ツール「Cross Finder2」では、単純集計(GT)/クロス集計、グラフ作成/レポート出力、検定・多変量解析などが行えます。
国内だけでなく、海外24か国以上の国とエリアの調査も提携モニターを利用してアンケートを行えます。
パネル配信
クロス・マーケティングが厳選した信頼性の高い国内パネル(約1,000万人※)に対して属性情報で絞り込んで配信ができます。
(※)QiQUMOホームページより(2024年10月7日現在)
料金体系
リサーチの内容や回答者数に応じた料金プランを提供しています。依頼に応じて見積もりが可能です。
(参考)本調査の料金:設問数×回収数×11円=料金(税込)
※最低利用金額(本調査は)2,200円以上 ※支払いはクレジットカード決済も対応可
アンケートパネルを利用する料金イメージは「こちら」
導入企業
東映株式会社、株式会社サクラクレパス、クラシエ薬品株式会社、株式会社ツムラ、東京地下鉄株式会社(東京メトロ)ほか
セルフ型アンケート Surveroid(サーベロイド)
クリックすると、Surveroid(サーベロイド)へリンクします。
特徴
ネットリサーチに関連するソフトウェアでネットリサーチ業務のDX化を支援する株式会社マーケティングアプリケーションズが提供するセルフ型アンケート作成サービスです。
収集したデータは、サーベロイドから高機能な集計ツール for Analysisにボタン一つで連携し、GT集計、クロス集計、グラフ出力、レポート出力を簡単操作で出力可能です。
海外調査では翻訳機能を利用してアンケートを作成することができます。
ウエイトバックや新変数作成などの統計手法にも対応しているので、日頃、集計を行われない方からリサーチを本業とされる方まで対応可能な集計ツールです。
パネル配信
全国500万人※の調査専用モニタに対してアンケート配信が可能です。
基本情報(性別、年齢、都道府県、未既婚、子供有無、職種、業種)で絞り込み配信ができます。
また、インタビュー候補者26万人(国内26万人の技術者)※からオンラインインタビューを実施できるため、定量(アンケート)調査から定性(インタビュー)調査を一気通貫に実施できます。
(※)Surveroidホームページより(2024年10月7日現在)
料金体系
無料プランもあり、有料プランは調査規模に応じて料金が変動します。
(参考)1間1サンプル 10円
※最低単価はベーシックモード:10,000円(税別)、アドバンストモード15,000円(税別)
※海外調査は1問1サンプル20円、最低利用金額2万円(税別)以上
アンケートパネルを利用する料金イメージは「こちら」
導入企業
伊藤ハム株式会社、エステ―株式会社、オルビス株式会社、大王製紙株式会社、シャープ株式会社ほか
セルフ型アンケート Fastask(ファストアスク)
クリックすると、Fastask(ファストアスク)へリンクします。
特徴
日本語入力システム「ATOK」で有名なソフトウェア開発会社の株式会社ジャストシステムが提供するアンケート調査サービスが「Fastask」です。
専任のリサーチャーによるサポート(調査上の作法やロジックのチェック)があり、セルフ型でも正確な調査を行えます。
配信対象者は基本的な属性で絞り込むほか、スクリーニング調査(事前調査)を行い特定のモニターへの配信も可能です。調査対象者を抽出するための事前調査機能を標準搭載しています。
収集した回答データは、無料の集計ツール「Fxross」を使い、グラフや集計表のビジュアル化が可能です。
「インタビュー連携」機能を使うと、アンケート調査の集計結果から深掘りしたいセグメントを指定し、1対1のインタビュー調査を実施することも可能です。
パネル配信
株式会社ジャストシステムが保持しているパネル(アクティブモニター300万人※)へのアンケート配信が可能です。
(※)Fastaskホームページより(2024年10月7日現在)
料金体系
基本料金に加え、配信するターゲットの属性や回答数に応じて変動します。数千円から数十万円規模まで対応。無料で試せるトライアルもあります。最低利用料金は5万円~。
アンケートパネルを利用する料金イメージは「こちら」
導入企業
カゴメ株式会社、YKK AP株式会社、キューサイ株式会社、ピップ株式会社、株式会社ニトリほか
セルフ型アンケート SurveyMonkey(サーベイモンキー)
クリックすると、SurveyMonkey(サーベイモンキー)へリンクします。
特徴
Momentive Inc.(旧社名:SurveyMonkey Inc.)が提供する、世界的に有名なアンケート作成ツールで、日本でも利用されています。
豊富なテンプレートやカスタマイズ機能を持ち、簡単にデータを収集し分析が可能です。
アンケートのテンプレートは、顧客満足度アンケート、Net Promoter® Score(NPS)アンケート、従業員エンゲージメントアンケート、入社後面談アンケート、トレーニングコース評価アンケート、製品開発アンケート、広告テストアンケートなど種類豊富に提案されています。
パネル配信
130ヶ国、1億7,500万人※を超える回答者がいる、グローバルなアンケートパネル「SurveyMonkey Audience」を通じて、調査したいターゲットに配信ができます。
(※)SurveyMonkeyホームページより(2024年10月7日現在)
料金体系
基本的なプランは無料で利用可能です。有料プランは月額制で、チームプラン、個人プラン、エンタープライズがあります。
プランと価格は「こちら」から確認できます。
導入企業
アディダス社、Uber社、SAMSUNG社、Kellogg’s社、HARVARD UNIVERSITYほか
まとめ アンケートモニターを利用できる、セルフ型アンケート
今回挙げたセルフ型アンケートサービスはいずれも日本で利用可能なアンケートシステムです。
各社、アンケートパネルへ配信できる機能を提供していますので、自社でアンケートに回答してくれる対象者がいない場合でも、調査したいターゲット層へ調査を実施することができます。
- アンケートの目的
- 調査したいターゲット層
- 収集したデータをどの程度分析したいか
- 定量調査の後に深掘りのためのインタビューをしたい
- 海外の市場で自社商品を調査したい
- 定点観測したい
などにより、自社に適したソリューションを選択するとよいでしょう。
今回、第2回は、「アンケートに回答してくれる対象者(モニター/パネル)を自社で保有していない場合でも定量アンケートを行うことができる」ー「セルフ型アンケート」をご紹介しました。
次回は、自社でパネルを持っている場合や購買パネルへの配信、イベント会場でできるアンケートシステムについてご紹介します。
アンケート・調査による客観的な裏付けを効果的にビジネスに活かす【Research☆Partner】
当会では、セルフ型アンケートの導入を検討している企業様/すでにセルフ型アンケートを導入しているので、リサーチ人材を育成したい企業様のサポートを行っております。また、調査業務のご依頼も承っております。
【支援型】「貴社社内の調査スキルを底上げしたい」と、【請負型】「調査を第三者機関に依頼したい」という2タイプのどちらもお任せください。
実施内容や事例は、こちらから↓
ビジネス課題を解決するアンケート設計のことならJMLAにお任せください。
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感性マーケティングの実用資格講座『JMLAマーケティング解析士プロフェッショナル 感性』
基礎マーケティングの実用資格講座『JMLAベーシックパスポート』
「商品企画NeoP7システム」の実用資格講座『JMLA商品企画士プロフェッショナル』
【無料セミナー】感性マーケティングと基礎マーケティングについて、事例を交えてわかりやすくお話しします!
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女性の感性やママの気持ち知るインタビュー調査ならお任せください
購買の意思決定に影響する女性の深層心理を捉えるインタビューは定量調査の精度も高めます。
女性はなぜそれを選ぶの? ライフステージ変わったら考え方は変わった? ママは子どもの将来の何を心配しているの? 女性の感性を深く知るならインタビュー調査をお勧めします。
どうぞお気軽にご相談ください。
参考:アンケートの重要性と課題に対応する調査方法:調査の目的と課題、アンケートの作り方、回答率を上げるコツ、集計・分析のポイント、調査結果の役立て方

顧客の本音を知る!~顧客は自分の本音を理解しているわけではない~
多くの企業が顧客アンケートを行い、自社の商品開発や施策に反映して集客や売上を伸ばす努力を行っています。
しかし、すべての施策が集客や売上を伸ばす結果に結びついているわけではありません。時には大失敗に終わっていることもあるのです。
その主な原因は、顧客の本音を把握する調査設計が出来ていなかったことにあります。
顧客自身が自分の本音を理解していないことも多いため、その裏に隠れた本音を見抜くことが、ビジネスの成功には欠かせません。
顧客の本音を理解するとはどのようなことなのか、事例をもとに学んでいきたいと思います。
マクドナルドの失敗事例に学ぶ
テレビコマーシャルも活発に行い、様々な商品開発や施策を行って、好調なマクドナルドですが、今まで失敗をしたことが無いわけではありません。
「サラダマック」という商品を覚えていらっしゃるでしょうか。
2006年のことですから、覚えていない方や若い方は認知すらしていない方もいるかと思いますが、解りやすい事例なので、今回のテーマにさせていただきたいと思います。
「サラダマック」とは、チキンと野菜を組み合わせた、いわば「ヘルシーメニュー」です。
消費者の健康志向はますます高まっていますが、当時マクドナルドがお客様に対して行った調査でも、
「もっとヘルシーなメニューを追加してほしい」
という声が多く挙がったそうです。

その結果を受けてマクドナルドが開発したのが「サラダマック」だったのです。
お客様の声を反映した商品だったわけですから、当然売れるという確信を持ち販売を開始したのですが、結果は散々なものに終わりました。全体売り上げの2,3%に過ぎない売上しか稼げなかったということです。
「社会的に健康志向である」、「顧客アンケートからヘルシーメニューを望む声が多く挙がっている」のようにニーズの動向はしっかり捉えました。
顧客の健康志向に応えたはずの商品が、なぜ失敗したのでしょうか?
その答えは、顧客が抱くマクドナルドのブランドイメージにありました。
顧客は、マクドナルドに「おいしいハンバーガーやフライドポテト」を求めているため、ヘルシーなメニューには魅力を感じなかったのです。

カスタマーエクスペリエンス(顧客体験)を理解することの重要性
この事例は、カスタマーエクスペリエンス(顧客体験)※の理解がいかに重要かを示しています。
顧客は、体験を通してブランドに対する認識を形成します。
マクドナルドは「ハンバーガーとフライドポテトのおいしい店」というイメージが顧客に強く刷り込まれており、そのブランド体験を無視して新しい方向性を打ち出すことは難しかったのです。
カスタマーエクスペリエンス(顧客体験)とは
カスタマーエクスペリエンス(CX:Customer Experience)とは、商品やサービスの利用やそのブランドと接したときの顧客体験(顧客が体験して感じること)です。
経験価値マーケティングの提唱者であるバーンド・H・シュミット教授著『経験価値マーケティング』では次の5つの顧客経験価値を定義しています。
5つの顧客経験価値とは
顧客経験価値1 SENSE(感覚的経験価値)
◇顧客の感覚(五感:視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚。など)
◆審美的な楽しみ、興奮、美、満足を感覚(五感)を通して価値を感じるよう設計する。
顧客経験価値2 FEEL(情緒的経験価値)
◇顧客の内面の感情・フィーリング
◆企業やブランドに対して顧客が愛着を抱いたり、感情移入したり、ものの見方を確立したり共感したりできるように、商品・空間・人・情報を設計する。
顧客経験価値3 THINK(創造的・認知的経験価値)
◇顧客の知性
◆顧客の驚き・好奇心、挑発といった感覚を引き出すような、問題解決的な経験やクリエイティブな思考を促す経験を設計する。
顧客経験価値4 ACT(肉体的経験価値とライフスタイル全般)
◇顧客の肉体・身体、特定のライフスタイル
◆これまでとは異なる行動を起こすような体験づくり。行動パターンや特定のライフスタイルを変える経験を設計する。
顧客経験価値5 RELATE(準拠集団や文化との関連づけ)
◇個人と社会との結びつき
◆国、特定の地域・文化・グループ・仲間・企業・ブランド等に所属し、広範な社会的、文化的文脈に関連付ける経験を設計する。

顧客は自分の本音を正確に理解していないが、本音を引き出す設計から捉えられる
顧客アンケートの設計では、単に「顧客が望むもの」を聞くだけではなく、顧客が抱くブランドイメージや実際の行動パターン、体験したときの感情も考慮に入れた設問構成が求められます。
これにより、顧客の本音に基づいた商品開発や施策が可能となります。
マクドナルドが行ったアンケートに対し、お客様は自身の考えを素直に回答しただけで、ウソを回答したわけではありません。
顧客は自分の本音を正確に理解していないことや正確に表現できないことの方が多いです。
そのため、企業側が顧客の本音を分析によって把握できるように上手に設問を設計する必要があります。
顧客の本音を聴くアンケート設問づくりのポイントを、マクドナルドの健康志向メニューを題材にしながら解説します。

「どんなメニューが欲しいですか?」と問われれば、社会的にも自分自身も気になっている健康志向のヘルシーメニューが欲しいと回答するでしょう。
ですから、調査設計として、「顧客にとって、マクドナルドとはどのような存在なのか」を把握する設問と、「マクドナルドで食べたいメニュー」を突き合わせて分析できる設問設計を行います。そこから顧客の本音を理解して行きます。
行動と感情を探る
顧客が実際にどう感じ、行動しているかを理解する質問を盛り込むことが大切です。たとえば、「健康志向か?」という質問だけでなく、「どのようなシチュエーションでマクドナルドを利用するか」、「他のファストフード店と比べてどのようなイメージを持っているか」といった行動や感情に基づく質問を追加します。これにより、顧客がヘルシーな商品を本当に求めているかどうか、もしくは他の要素を重視しているかが見えてきます。
質問例:
- 「マクドナルドを利用する時、何を期待していますか?(味、スピード、楽しさなど)」
- 「健康志向のメニューが増えたら、利用頻度は変わりますか?」
- 「他のファストフードチェーンと比べて、マクドナルドに対してどのようなイメージを持っていますか?」
ブランドイメージとの整合性を確認する設問:
顧客がどのようなブランドイメージを持っているかを直接問う質問を作成します。たとえば、マクドナルドに対して顧客が「ヘルシーさ」を求めているのか、あるいは「手軽さ」や「楽しさ」を求めているのかを確認します。これにより、顧客の表面的な声と本音のギャップを発見することができます。
質問例:
「マクドナルドに来店する理由をお聞かせください。」
- ハンバーガーが美味しいから
- 安くて早いから
- 家族や友人と楽しめるから
- その他(自由記述)
顧客アンケートを設計する際の大前提は、目的を明確にすることです。何を知りたいかによって質問の内容や形式が異なります。
調査設計は「顧客ニーズの本質をあぶりだす」組み立て方が大事
調査からわかることは沢山あります。
しかし、ともすると定量的な数値で表されることばかり見て判断したり、フリーアンサー(自由回答)の設問も表層的な設問(当たり前と思ってしまう回答しか得られない設問)しか作れていないことが多いです。
それはなぜかというと、定性情報を分析する術・スキルを持っていない場合や、効率を追求しすぎてデータを探求する時間を省く場合、あるいはデータ分析(データ集計)した結果を社内へ伝えるプレゼンテーションスキルが不足しているといった要因が挙げられます。
日本マーケティング・リテラシー協会(JMLA)では、ビジネスを力強く前進させるために、調査・アンケートを効果的に活用して企業様の意思決定をお手伝いしています。
また、調査・アンケートを効果的に活用するスキルとノウハウを2日間で学べる講座も開催しています。
アンケート・調査による客観的な裏付けを効果的にビジネスに活かす【Research☆Partner】
弊協会では、【支援型】「貴社社内の調査スキルを底上げしたい」と、【請負型】「調査を第三者機関に依頼したい」という2タイプのご支援を行っています。
実施内容や事例は、こちらから↓
ビジネス課題を解決するアンケート設計のことならJMLAにお任せください。
感性マーケティング/基礎マーケティング/商品企画 実用資格講座のご案内
感性マーケティングの実用資格講座『JMLAマーケティング解析士プロフェッショナル 感性』
基礎マーケティングの実用資格講座『JMLAベーシックパスポート』
「商品企画NeoP7システム」の実用資格講座『JMLA商品企画士プロフェッショナル』
【無料セミナー】感性マーケティングと基礎マーケティングについて、事例を交えてわかりやすくお話しします!
【無料セミナー】システマティックな商品企画NeoP7について、事例を交えてわかりやすくお話しします!
女性の感性やママの気持ち知るインタビュー調査ならお任せください
購買の意思決定に影響する女性の深層心理を捉えるインタビューは定量調査の精度も高めます。
女性はなぜそれを選ぶの? ライフステージ変わったら考え方は変わった? ママは子どもの将来の何を心配しているの? 女性の感性を深く知るならインタビュー調査をお勧めします。
どうぞお気軽にご相談ください。
参考:アンケートの重要性と課題に対応する調査方法:調査の目的と課題、アンケートの作り方、回答率を上げるコツ、集計・分析のポイント、調査結果の役立て方

書籍「お客さまの声から見つける売り伸ばし戦略『感性マーケティング』」を出版します!
9月4日に当協会(JMLA:日本マーケティング・リテラシー協会)が執筆した書籍「お客さまの声から見つける売り伸ばし戦略『感性マーケティング』」を出版します!
先だって目次をご紹介します。
新刊書籍の紹介
お客さまの声から見つける売り伸ばし戦略『感性マーケティング』
現代は”もの溢れ”の時代で多数の競合商品が市場にひしめいています。
そのような社会においても、売り上げを拡大させ続けている企業があります。
売れ続けるためには、消費者の”心の充実”の追求が欠かせません。
「成熟社会においても、お客さまの声から売り伸ばせる!」
このやり方が『感性マーケティング』です。
誰でもいつでもはじめられるやり方、この本を片手にあなたの仕事ですぐに使えます!
お客さまの声から見つける売り伸ばし戦略『感性マーケティング』
単行本(ソフトカバー)212ページ
著者:森田 広一、堀内 香枝
出版社:同文舘出版株式会社
言語:日本語
価格:¥2,200(税込)
CONTENTS「お客さまの声から見つける売り伸ばし戦略『感性マーケティング』」
Part1 「感性マーケティング」で見える未来
1章 「感性マーケティング」で企業の未来を創造する
ー「ものづくり」ではなく、感動、共感を生む「もの語り」が価値を創出す
1 100円アイスクリーム大ヒットの秘密
人は欲求を内在している
2 今は競争力強化が不可欠な時代
モノが充足している今、人は心の充実を求めている
3 理性と理論だけでは人は動かない
人は「感性価値」によって判断し動く
4 つくり手と使い手のこだわりによる「感性の融合」が「感性価値」を生む
感性を取り込むマーケティング活動の必要性
2章 「感性マーケティング」って何?
ーマーケティングに人間の感性を取り込む
1 感性って何?
刺激を受け取ってから表現するまでの能力
2 日本人の感性の象徴「湯のみ」
日本人と西洋人の感性の違い
3 マーケティングデータについて
「定量」と「定性」の2種類、顧客を知る4つの変数
4 「感性マーケティング」とは何か
お客さまの声から見つける売り伸ばし戦略
5 モヤモヤとした霧を晴らしながら前進する
勝ち抜くために必須の「感性マーケティング」
3章 マーケティングは何の役に立つのか?
ーマーケティングの目的はシンプル
1 マーケティングの目的とは何か
経営学者コトラーの言葉
2 マーケティングをシンプルに捉えよう
確立された基本理論
3 フレームワークを使う場面に注意しよう
基本理論を体系立てて覚えておく
4 「マーケティング」と「フレームワーク」と「感性」の関係
「感性」を投入する場面を確認する
5 感性を商品に投入しないとどうなる?
顧客が何を思っているのかわからないから、売り方を間違える
Part2 事例で学ぶ「感性マーケティング」
1章 ソフトクリームの本質的価値とは何?
ーミニストップのオリジナル商品が売り上げ2倍に
1 プロジェクトの課題
ソフトクリームの売り上げを2倍にする
2 あなたにとってソフトクリームとは何?
定性情報を量的に分析
3 ソフトクリームの市場環境
事前の情報整理
4 潜在顧客は40代女性
新規ターゲットの発見
5 「物語」が消費者の感性に訴える
母と娘が連れ立って来店し、売り上げ2倍に
2章 ちゃんぽんをどんな時に食べたい?
ー商品の強みを再認識して売り上げV字回復
1 プロジェクトの課題
売り上げV字回復に向けて
2 たくさん種類のある麺類の食べ方
いつ、どこで、誰と、どんな理由で
3 栄養バランスを考えて食べる健康意識が高い顧客
ちゃんぽんを食べるニーズ
4 「食べたい」と「入りやすい」
顧客が”自分向き”と感じるお店
5 「何か変だぞ?」から「いつものお店」へ
付加価値戦略によるV字回復
3章 美容施術を受ける動機は何?
ー自由診療で新規患者を獲得する
1 プロジェクトの課題
新分野に参入し新規顧客数を一気に拡大させる
2 施術を受けたい人は多いが、受けた人は少ない
施術経験者と未経験者の違いを知るために
3 未経験者は美容皮膚科を理解していない
存在は知っているけど、何をしているところかわからない
4 施術を受けたい気持ちと行動のギャップ
ボトルネックの軽減
5 期待感を高める3要素
新規患者獲得の道筋づくり
4章 高齢者は以外なことを望んでいた
ーシニア向け事業開発のヒント
1 プロジェクトの課題
高齢者向け新規事業開発
2 「もらってうれしかったプレゼント」と「もらいたいプレゼント」
喜んでくれたと思っていたら・・・
3 60歳はシニアではない
いつからシニアを意識するか
4 シニア世代の特徴
高齢者の実態把握
5 収益を上げるために準備すべきサービス
シニア向けサービス開発の優先課題
5章 超忙しい子育てママには健康アプリもお手上げ
ー健康アプリのコンセプト評価
1 プロジェクトの課題
新製品健康アプリのコンセプト評価
2 定量調査によるコンセプト評価
評価は上々! と思いきや・・・・・
3 定量調査では見えなかった本音
生活者の深層心理を浮かび上がらせる
4 市場投入戦略の大幅修正
マーケティングの基本と生活者の本音の融合
6章 多種多様な企業における「感性マーケティング」事例
ー業種業態にとらわれない「感性マーケティング」の活用
1 プロスポーツチーム
スタジアムの観戦者数の向上
2 葬祭事業
葬儀からシニアマーケットへの事業拡大
3 外食事業
売り上げ不振の理由解明
4 薬品メーカー
風邪薬のシェアアップ
5 乳飲料メーカー
幼児向け飲料の競合対応策
Part3 これからのマーケティングに必要なこと
1章 真の競合を理解する
ー溢れる商品やサービスの中から見極める
1 「パソコン」の競合は「旅行」
争う相手は意外なジャンルにいた
2 「高級鉢花」と「ペット」に共通するキーワード
「癒される」ではない・・・・?
3 街の本屋さんが消えた理由
「考えてみれば、確かに・・・・」がヒントになる
4 企業には、「見えない競合」が存在する
「見えない競合」を見つける「感性分析」の真骨頂
2章 日本人の感性
ー四季のある国に育った豊かな感性
1 今、改めて考えたい日本人の「感性」
科学技術もAIも想像できない人間の思考
2 農耕民族と狩猟民族
ルーツ、本能が働きかける
3 「湯」という言葉
日本語が持つ豊かさ
4 「顔パンツ」と「鬼滅の刃」
世相を映す「感性」
5 日本語の変化
言葉は時代を表す
6 「感性」も変化する
「感性」は世の中の変化に呼応する
3章 よいアンケートのつくり方
ーアンケート設計の基本知識
1 「感性データ」の位置付けについて
マーケティングデータの中の感性データ
2 アンケート設計の際、何に気をつければいいか
アンケート設計の3ポイント
4章 すぐできる「感性マーケティング」のやり方
ーやってみよう! 誰でもいつでもはじめられる!
1 アンケート設計
取り組みのテーマについて
2 フリーアンサーのコーディング
アンケート回収後から集計までのステップ
3 キーワードを集計する
フリーアンサーを定量的に集計する
4 集計結果を読み取る
顧客のニーズを的確に把握する
5 フリーアンサーの役立て方の再確認
フリーアンサーは「キーワードとフラグ」に変換して分析
6 フリーアンサーはマーケティング活動に大いに役立つ
顧客の声を活用しよう
この書籍はこのような方に役立ちます
本書の内容は、「感性マーケティング」をヨコ串で通し、「マーケティングとはそもそも何か?という考え方や基本フレームワーク」と「マーケティングに必ず登場するリサーチ」をタテ串に加え構成しています。
本書の内容レベルは、次の3層をターゲット層に想定し、親しみやすい文章と体裁に致しました。
想定ターゲット層(1)~(3)の優先順位はございません。
(1) マーケティング1年目に向けた準備段階の方
(2) マーケティング2年目くらいの方で、点と点が線でつながっていない段階の方
(3) 定性データの分析に課題をお持ちの方
- 顧客の声といったフィードバック情報や社員の意見などの定性情報を、読んで終わりにしていまっている方(そのような企業様)
- 顧客の声といったフィードバック情報や社員の意見などの定性情報を、ワードクラウドやテキストマイニングツールで処理して分析結果を出力しているものの、目視で捉える意見の内容と出力結果に隔たりを感じている方(そのような企業様)

著者略歴 この本を書いた人

堀内 香枝(ほりうち かえ)
一般社団法人 日本マーケティング・リテラシー協会(JMLA)理事
新商品新事業企画・開発「WAKU WAKU 創造 LABO(ワクラボ)」マーケティングコンサルタント
日本感性工学会正会員
20年以上にわたりマーケティングの最前線で経験と実績を積み重ね、食品メーカーの顧客満足度調査、小売業PB商品の売り伸ばし戦略策定、ECモールの販売促進戦略立案のためのターゲティング、日用品メーカーの販促効果測定支援、マーケティング会社のリサーチ人材育成など、顧客起点のマーケティング推進をサポートする。
得意分野は、マーケティング課題における「人間の感性を見える化」するノウハウ。感性とシステマティックさを融合させた手法を駆使し、企業の競争力向上、商品開発、新規顧客獲得、新市場参入などにおけるマーケティングサポートや研修講師として活動中。
日本マーケティング・リテラシー協会(JMLA)主催の感性マーケティング講座では、定性データを量的に分析するスキルとその結果を戦略や施策に活用する方法を体系的に解説。
共著に『図解と事例でわかる 事業戦略実践ブック』(日本実業出版)がある。
●JMLAでの主な担当講座
・「JMLAベーシックパスポート」基礎マーケティング実用資格講座
・「JMLAマーケティング解析士プロフェッショナル 感性」感性マーケティング実用資格講座
・「感性マーケティング」から見えてくるもの。声から「深層心理」を分析するーマーケティング解析士受講前に、聞いて納得!オープンセミナー」
ご購入方法:
書籍「お客さまの声から見つける売り伸ばし戦略『感性マーケティング』」は、書店およびAmazonなどにてお買い求めいただけます。
アマゾン Kindle:2024/12/6
紀伊國屋書店 Kinoppy:2024/11/30
楽天Koboほか:2024/12/6(楽天Kobo)

「ことば」の音から意味を連想する音象徴の性質~キラキラ・ギラギラ~顧客の感性に働きかけるコミュニケーションやネーミングにも役立つ
私たちが人に何かを伝えるとき、自分が表現したいことが伝わる「ことば」を選んで会話をすることがありますね。例えば、「(気持ちが)ワクワク(弾んでいる)」、「(雨空の日に)ジトー(好ましくない)」、「(太陽が)ギラギラ(暑すぎる)」、「(太陽が)キラキラ(すがすがしい)」などです。
今回は、「ことば」の音の響きから受ける印象が違うことをテーマに、マーケティングに活用するメリットを考えたいと思います。
「音象徴」(おんしょうちょう)とは
「音象徴」とは、音そのものが連想させる意味のこと。
「音象徴」は英語ではsound symbolismになりますが、これは「音から意味の連想が直接起きる現象」のことを言います。
音象徴の研究で有名なのは、Wolfgang Köhlerが1929年に行った研究です。
出典:「旅する応用言語学:音象徴とは何か:タケテ/マルマ効果・ブーバ/キキ効果」
「音象徴」とは、「音によって喚起される特定のイメージ」
出典:「音象徴の言語学教育での有効利用に向けて―ウルトラマンの怪獣名と音象徴―Journal of the Phonetic Society of Japan, Vol. 21 No. 2 August 2017, pp. 43–49 Shigeto KAWAHARA and Tomoko MONOU」
「音象徴」とは、音と語があらわす意味との間に、強い結びつきがあることです。
出典:「感性AI:2024年度 人工知能学会全国大会(第38回)で発表【内容を説明】」
具体的に、「音象徴」とはどういうものか次項でみていきましょう。
言語の恣意性と音象徴
「⾔語の⾳と意味の関係」ということについて考えてみましょう。
ここから6つの項は、感性AI社(弊協会は同社製品である感性AIアナリティクスの販売代理店)が紹介しているコラム(※)から引用または参照した内容を、みなさんにご紹介します。
(※)2024年度 人工知能学会全国大会(第38回)で発表【内容を説明】
言語の恣意性(しいせい)とは
言語の音と意味の間に必然性を持たない性質のことを「言語の恣意性」と呼びます。
例えば「夜」という⾔葉は、「よる」という⾳で構成されますが、それと「⽇没から⽇の出までの時間」という意味との間に何らかのつながりはあるでしょうか。

そこにつながりは⾒出せず、⽇本語でたまたま昔からそのように取り決めて発⾳しているということに過ぎません。
このように⾔葉の記号(⾳)と意味との間に必然性を持たない性質のことを「⾔語の恣意性」と呼びます。
言語の音象徴(おんしょうちょう)とは
定義は冒頭の項「「音象徴」(おんしょうちょう)とは」をご参照ください。
⼼理学研究において、下図のような2つの図形を被験者に⽰し、どちらが「ブーバ(Bouba)」でどちらが「キキ(Kiki)」であるかという質問すると、⾼い確率で以下のように回答することが分かりました。

この実験は、⾔語⾳と図形に何らかの関連性があることを⽰しており、ブーバ/キキ効果と呼ばれます。
ブーバ/キキ効果は図形の場合ですが、このように⾔語⾳が特定の感覚を想起させる現象のことを⼀般に「⾳象徴(おんしょうちょう)」と呼びます。
なお、⾳象徴はこの実験の通り、オノマトペに限らず⼀般的に当てはまる現象だといえます。
しかし、オノマトペはこの⾳象徴性の⾼さが⼀番の特徴だといえるでしょう。
参考: Ramachandran, V. S., & Hubbard, E. M. (2001). Synaesthesia–a window into perception, thought and language., Journal of consciousness studies, 8, No. 12, 2001
「ゴロゴロ」と「コロコロ」というオノマトペはどんな印象? -音象徴の性質
例えば、重くて大きい物が転がるさまをあらわす「ゴロゴロ」、軽くて小さい物が転がるさまをあらわす「コロコロ」というオノマトペがあります。
2つを比べると「ゴ」と「コ」、つまり濁音と清音で違いがありますね。
ここから
濁音には「重いイメージ」・「大きいイメージ」
清音には「軽いイメージ」「小さいイメージ」
があるとわかります。
このようにオノマトペの多くには、音象徴の性質があります。
音象徴は人間の身体による感覚がもととなると言われています。音を聞いたときに持つ感覚や、音を言ったときに持つ感覚が、その音に持つイメージのもととなっていると言われているのです。
人間の「キラキラ」「ギラギラ」に持つイメージ -音象徴の性質
「キラキラ」と「ギラギラ」はどちらも、明るく光り輝くさまをあらわすオノマトペです。みなさんはどちらに良いイメージを持ちますか?
既存研究(※)によると、無声子音(キラキラなど)のほうが有声子音(ギラギラなど)のオノマトペより良い印象を持つことが多いとわかっています。
つまり「キラキラ」のほうが「ギラギラ」より良いイメージを持ちやすいです。
次の例を見るとわかりやすいかもしれません。
「星がキラキラ光る」は優しく綺麗に輝くイメージ【良いイメージ】
「太陽がギラギラ光る」は眩しく不快に光るイメージ【悪いイメージ】
(※)[Iwasaki 07] What do English speakers know about gera-gera and yota-yota?: A cross-linguistic investigation of mimetic words for laughing and walking [Pantcheva 06] 日本語の擬声語・擬態語における形態と意味の相関についての研究
身体を持たないAIは音象徴を持つでしょうか?
感性AI社の研究発表から、AIも人間と同じように「『ギラギラ』より『キラキラ』のほうが良い印象」という情報を持つとわかりました。
詳細はこちら:「感性AI:2024年度 人工知能学会全国大会(第38回)で発表【内容を説明】」
音象徴の研究は将来どう活きる?
AIを対象とした音象徴の研究が進むと、AIが人間の感性を理解したように振る舞える可能性があります。
この研究はコミュニケーション分野やクリエイティブ分野での応用が期待できます。
コミュニケーション分野
研究が進むと、ユーザに寄り添った対応をAIができる可能性があります。そのため寄り添った対応が求められる業務、例えばコールセンター業務、UXライティング(※)業務などで活用できる可能性があります。
(※) UXライティング……ユーザにとってわかりやすく、心地の良い文章を書く技術
クリエイティブ分野
研究が進むと、AIが人間の感性に沿ったものを作れる可能性があります。例えばネーミングやキャッチコピーです。与えたい印象を決め、AIがそれに沿ったネーミングやキャッチコピーを生み出すといった活用が期待できます。
音象徴の研究は将来どう活きる? 『感性AIアナリティクス』への活かし方
『感性AIアナリティクス』には「音韻感性評価」機能があります。
この機能ではオノマトペなど、ことばの音の響きに持つ印象がわかります。

身体を持たないAIにも音象徴の情報を持つことがわかった調査結果を、今後、『感性AIアナリティクス』へも活かせる可能性があります。
例えば印象項目を増やすことです。
調査の結果から、「幸福ー不幸」「清潔ー不潔」「ぼんやりーはっきり」など、『感性AIアナリティクス』にはない印象項目の結果がわかっています。
これまでの(AIにおける音象徴の)調査に加えさらに調査を深めることで、印象項目を追加できる可能性があります。

また『感性AIアナリティクス』には、文の意味的な印象から評価をする「テキスト感性評価」機能があります。
「音韻感性評価」は音象徴的な特徴、「テキスト感性評価」は単語や文の特徴を使っています。
そのためAIにおける調査により、それぞれの得意な点を理解して適切な利用シーンを判断できる可能性があります。ただし、応用できるようになるまでには、さらなる調査が必要です。
「ことば」の音の響きから受ける印象をマーケティングに活用するメリット
ひらがなで「ふわふわ」、カタカナで「フワフワ」と書いた際、印象は変わりますね。
私の印象は、
●ひらがなで「ふわふわ」・・・柔らかく 空気がたくさん含まれる ふわっとした綿菓子のような印象
●カタカナで「フワフワ」・・・「ワクワク」と読み間違えてしまう印象
みなさんはどのような印象を抱きますか?
ちなみに、「ワクワク」というオノマトペは、明治以前は気持ちが乱れて落ち着かない様⼦を表していたそうです。時代によって「ことば」の意味、音の印象は変わります。
マーケティングにおいては、例えば、商品のネーミングによって良い印象を与えるかそうでないか影響が出ます。与える印象をポジティブなものにするためには、調査は欠かせないでしょう。
マーケティング調査の留意点と使い分け
マーケティング調査の中で以下のような2つの視点があります。
1.ニーズ全体を俯瞰し方向を決めたいという調査と
2.具体的な対象が決まっていて仕様などのディテールを決めたいために行う調査
今回のテーマのように「ことば」の「キラキラ」と「ギラギラ」はどちらが良い印象を受けるか/与えるかといった印象評価は、上記2番の調査が該当します。

上記1のように、ニーズの全体を俯瞰する調査は、AI評価ではできません。
また、AIを用いなければ2番の調査ができないわけではなく、目的と用途により、従来の調査においても充分満足できる結果が得られます。
上記1番と2番の違い(特徴)を、ここでおさえておきます。
特徴をとらえやすいように次のそれぞれに焦点をあて、
・2番「ディテールを決める調査」における「AI調査」の特長、
・1番「ニーズを俯瞰的にとらえ戦略を決める調査」における「インターネット調査」の特長
を挙げます。
2番の「ディテールを決める調査」における「AI調査」の特長
データ処理能力:
AIは膨大なデータを迅速に処理し、パターンやトレンドを分析する能力があります。これにより、マーケティング調査で集めた具体的なデータを効率的に解析し、仕様の詳細を決めるための洞察を得ることができます。
パーソナライズ:
AIは個別の顧客データをもとに、パーソナライズされた提案を行うことができます。これにより、ターゲットとなる顧客層のニーズや好みに基づいて製品やサービスの仕様を調整することが可能です。
予測能力:
AIは過去のデータをもとに未来のトレンドや需要を予測する能力があります。これにより、新製品の仕様や機能が市場でどのように受け入れられるかを予測し、より精密な仕様決定をサポートします。
反復的な分析:
AIは何度も分析を繰り返し実施できるため、仕様の異なるバージョンをシミュレーションし、最適な仕様を見つけ出すことができます。これにより、細部までAI評価に基づいた製品開発が可能になります。
1番の「ニーズを俯瞰的にとらえ戦略を決める調査」における「インターネット調査」の特長
一方で、マーケティング調査によるニーズの全体俯瞰については、直接的な人間の洞察が必要とされることが多いです。大規模な俯瞰調査では、文化的背景や社会的動向など、AIが捉えにくい要素を含むため、人間の専門家による分析が重要です。
広範なデータ収集能力:
インターネット調査は多様な人々から広範なデータを集めることが可能です。地理的な制約が少なく、多くの参加者を短期間で募ることができるため、マーケット全体のトレンドやニーズを包括的に把握できます。
コスト効率:
大規模なサンプルを収集する際、従来のオフライン調査よりもコストを抑えることができます。これにより、限られた予算内で広範なデータを取得し、ニーズ全体を俯瞰することが可能になります。
スピードと柔軟性:
インターネット調査は迅速に実施でき、調査内容を容易に変更することができます。これにより、市場の動向や競争環境の変化に素早く対応し、方向性を決めるための適切な情報を得ることができます。
トレンドのリアルタイム把握:
インターネットを活用することで、リアルタイムでのデータ収集が可能となり、現在のトレンドや消費者の関心事を迅速に把握することができます。これにより、ニーズ全体をより正確に捉えることができます。
多様な調査手法を活用し、それぞれの特徴を理解することは大事です
今回の記事のテーマは、「ことば」の音の響きから受ける印象が人によって変わることを話題にしました。
人によって評価が変わるということは、自社の商品を伝える「ことば」の使い方に注意しなければならないということです。そのためには、どのような「ことば」が顧客・ユーザーの心に響くのか、調査することはとても大事なことといえます。
インターネット調査が普及した現在では、さまざまな調査手法の特徴を理解しながら、いくつかの調査手法を組み合わせることが増えています。
まとめ
「ことば」の音の響きから、「人の感性によって受け取るイメージが変わる」ということは、商品の売上にも影響します。
「ことば」の意味は、時代によっても変わります。また、ひらがな表記かカタカナ表記、あるいは、漢字やローマ字など、表現方法によっても印象が変わります。
商品を顧客に届ける際のコミュニケーションでは、「ことば」が欠かせません。「ことば」の意味、音、表記方法などより深く考え、より良いコミュニケーションを目指したいですね。
本記事でご紹介しました『感性AIアナリティクス』に関するお問い合わせはコチラから
顧客の感性を分析し「もっと売れる!」を実現する感性マーケティング
ここからは、弊会の感性マーケティングの内容に変わります。
感性マーケティングは、企業側(つくり手)の思いだけではなく、顧客側(使い手)の価値観を理解する、共に創る「共創」という考え方が欠かせません。「共創」という考え方を実践すると「付加価値」が高まります。その「付加価値」が「経済価値」を生み出します。
<感性が経済価値を生む>

一人一人違う顧客の感性を理解しながら適切に対応することにより、「もっと売れる!」を実現することが出来ます。商売繁盛をもたらすものが『感性マーケティング』です。
具体的には、「声」から深層心理を分析し、分析結果をマーケティング戦略立案や事業目標達成に有効活用します。
「声」には、顧客や消費者、社員、事業のリーザ―、経営者など様々ありますが、目的に沿って必要な「声」という感性データ(定性データ)を収集し分析します。目的に沿ってどのような「声」を収集するかという最初の設計がとても重要です。
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参考:アンケートの重要性と課題に対応する調査方法:調査の目的と課題、アンケートの作り方、回答率を上げるコツ、集計・分析のポイント、調査結果の役立て方

セルフ型Webアンケートツールを選定する前に考えておくべき8つのポイント
本記事では、「セルフ型Webアンケート」の基本的な意味や「セルフ型Webアンケートツール」を選定する前に考えておくべきポイントについて解説します。
次回、おすすめの「セルフ型Webアンケートツール」それぞれについて強み・特徴を解説します。

セルフ型Webアンケートとは
セルフ型Webアンケートの前にWebアンケートについて解説します。
アンケートを実施する方法は、Webアンケート(調査対象者にWeb上でアンケートに答えてもらう調査方法)だけではありません。
従来は、郵送アンケート(アンケート用紙を郵送し、回答後、返送してもらう方法)などが主流の方法でした。
しかし今では、費用面、時間的な側面、労力的な側面からもWebアンケートの方が効率的であるため、主流のアンケート方法として選択されています。
また、インターネット利用が社会に浸透し、Webを介した調査でも回答者の年代(年齢)などに偏りが少なくなってきたことも、Webアンケートが主流の調査方法となった背景のひとつといえます。
「Webアンケート」の呼び方は、「ネットリサーチ」と呼ばれることが多いですが、「Web調査」「オンラインサーベイ」とも呼ばれています。
ネットリサーチの調査方法は、2007年頃から急速に発展しました。インターネット調査専門の調査会社が設立されたのもその頃です。ですから、Webアンケートを行う場合は、インターネット調査会社へ調査を依頼する方法がとられていました。
その後、Webアンケートが進化し、現在は「セルフ型」のご自身でWebアンケートができるサービスの提供が拡がっています。
セルフ型Webアンケートは、外注するよりもコストを下げて安くアンケートを実施できることが魅力的です。

Webアンケート 「外注(フルサービス型)」と「セルフ型」との大きな違い
ネットリサーチを外注(フルサービス型)した場合は、欲しいデータが正確に納品されます。
依頼主は、アンケートの配信から回収までの手間をかけることなく、回収後のデータクリーニング(無効な回答データなどを除外などする作業)にも手間をかけることなく、依頼した通りの回答者データを、正確な(きれいな)形で受け取ることができます。
一方、セルフ型Webアンケートは、アンケート配信の準備、回収状況の確認、データクリーニングをご自身で行います。
このように、「外注(フルサービス型)」は労力を大幅に削減できる点が最大のメリットで、「セルフ型」はコストを削減できる点が最大のメリットです。

「セルフ型Webアンケート」を利用する際の留意点
「セルフ型Webアンケート」は初心者でも直感的に操作しやすいように、テンプレートをはじめ様々なサービスが提供されています。
操作説明書を読みながら操作を進めれば、アンケートの知識がまったく無くても、アンケートを実施することができます。
Web上でアンケートの作成、配信、集計が完結しますので、アンケートデータを見ることは無しに自動集計されたグラフだけを見て結論づけることもできてしまいます。
そのため、注意する点もあります。
アンケートの知識がゼロの段階から「セルフ型Webアンケート」に取り組む場合は、簡易的なアンケートから実施し、アンケートに慣れるために回数を重ねることと、段階的にアンケートの精度を上げる知識を身に着けることと、スキルを養い磨くことをお勧めします。

「セルフ型Webアンケートツール」を選定する前に考えておくべき8つのポイント
昨今は、「セルフ型Webアンケート」の種類が増え、いずれのサービスも適切に選択すると、便利に使えるようにつくられています。
会社や組織の利用目的に合ったサービスを選択しましょう。
「セルフ型Webアンケート」の強み・特徴とする部分については、次回、解説しますので、今回は、個々のツールを比較する前段階として、自分たちの会社や組織が何を実現したいのか整理するポイントを挙げます。
「セルフ型Webアンケート」を利用する目的を明確にする8ポイント
- アンケートの活用目的を決める
- アンケートの実施頻度を確認する
- アンケートの対象者(誰に回答してもらう調査を実施するか)を確認する
- どのようなアンケート機能があると何に役立つかを確認し整理する
- Webアンケートに回答してもらう対象端末を決める(回答率や回収率にも影響する)
- セキュリティ対策の必要レベルを確認する
- 「セルフ型Webアンケート」にかける予算を決める
- 担当者の業務量を見積もる

「セルフ型Webアンケート」でどんなタイプのアンケートができるの?
選定するツールによってできることは変わりますが、目的に合ったツールを選定すれば、知りたいことを調査するどんなタイプのアンケートも実施可能です。
- 新商品に対する評価を得るアンケート
- 自社サービスの認知度調査
- 顧客満足度調査
- 会員限定アンケート
- 特定の顧客に絞ったアンケート
- 特定の条件に該当する対象者に対するアンケート
- 不特定多数に対するオープンアンケート
- 広告効果測定のためのアンケート
- 広報のためのアンケート
- 従業員満足度調査のための社内アンケート
- 論文のための学術調査
など、あらゆるアンケートがセルフ型(ご自身)で実施可能です。

次回(第2回)は、さまざまな「セルフ型Webアンケートツール」がある中で、「アンケートモニターを利用できる、セルフ型アンケート8選」をご紹介し、それぞれの強み・特徴について解説します。
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参考記事:「アンケートの重要性と課題に対応する調査方法:調査の目的と課題、アンケートの作り方、回答率を上げるコツ、集計・分析のポイント、調査結果の役立て方」

ついに解明!ヒット商品の秘密~20年間のヒット商品ランキングから読み解く~【後編】
皆さん、こんにちは、神田です。
今回は、4月5日にアップ(ご紹介)した「ついに解明!ヒット商品の秘密~20年間のヒット商品ランキングから読み解く~【前編】」の後編です。
前編をお読みになっていない方はこちらをお読みください。
前編で、ヒット商品を生み出すためには、
- 「潜在ニーズの発掘」
- 「創造性」
の2つの要素が重要だということを学んでいただきました。
そして、この要素を概念としてではなく、商品として具体化する方法論として「Neo P7(新・商品企画七つ道具)」を紹介させていただきました。
今回の後編では、ヒット商品がカテゴリー別に「創造性」と「潜在ニーズ発掘度」の両要素とどのような関係性にあるか構造マップを描いてご説明します。
ヒット商品の構造マップ(日経TRENDY「ベストヒット商品30」20年分を分析)

上図は多変量解析の数量化理論Ⅲ類という手法を使って
- 商品カテゴリー分類(12分類)
- 総合評価順位(◎、○、△)
- 潜在ニーズ発掘度(◎、○、△)
- 創造性(◎、○、△)
- 年区分(04~08年、09~13年、14~18年、19~23年)
の合計25の項目の関係を25の点としてマップ化したものです。
手法の詳細は専門書、専門サイトに譲るとして、この図は地図のように、「近い点同士は関連性が高い」と読みます。この手法のメリットは「多数の項目間の関連性を一度に見る」ことができる点です。
例えば、右上の潜在ニーズ発掘度(△)、創造性(◎)、分類(エンタメ・ゲーム・イベント)は接近した位置にありますね。
この3項目が同時に実現している可能性が高い、と解釈します。
これは前編のクロス集計からも確かなことですが、2つずつのクロス集計を重ねても多数同士の関係はよくわかりません。
ただ、接近していると言っても図の上で距離を測って「こちらの距離の方が3mm近い」などと厳密に解釈できる手法ではありませんが、大体の傾向は読み取れます。
なお、「創造性」、「潜在ニーズ発掘度」はそれぞれ高い方に向かって、また「年区分」は新しい方に向かって矢印→で推移を示してありますので、より傾向が見やすくなっています。
上図再掲

数量化理論Ⅲ類のアウトプットにおいては、横軸・縦軸に物理的に明確な意味はありませんが、各点の位置関係から大まかな解釈が可能です。
つまり、
横軸
- 右方向に進むほど「創造性」が△→○→◎と変化し、「潜在ニーズ発掘度」が◎→○→△と変化しています。
- 右方向は「創造性」高い、左方向は「潜在ニーズ発掘度」高いという解釈になります。
縦軸
- 上方ほど「創造性」、「潜在ニーズ発掘度」は共に低く、「年区分」は古いエリア、
- 下方ほど「潜在ニーズ発掘度」高く、「年区分」は新しい傾向があります。「創造性」は中間になります。
これらの横軸と縦軸の解釈を入れ、更に、商品カテゴリーを2大別して図に描き入れてみたのが下図です。

太い赤点線で囲んだ「創造性」の高い商品群
「創造性」の高い商品群は、「エンタメ・ゲーム・イベント」、「趣味嗜好・アー
ト・書籍」、「観光・交通・施設」です。
太い青点線で囲んだ「潜在ニーズ発掘度」の高い商品群
「潜在ニーズ発掘度」の高い商品群は、「飲食品」、「家電・IT」、「文具・生活用品」、「健康・医薬」、「化粧・美容」、「衣料品」、「自動車」です。
「社会現象・制度」は「潜在ニーズ発掘度」の方が高いのですが、商品数が少なく(8件)図の上でもかなり外れていますので、2分類からは除外しました。
「創造性」の高い商品群と「潜在ニーズ発掘度」の高い商品群、その他分析結果からわかること
以上のアウトプット図から、次のことが推察できます。
(1) 「創造性」、「潜在ニーズ発掘度」、各々の優れた商品グループは離れて位置しています。重なることはありません。性質がかなり異なることがわかります。
(2) 最も「創造性」の高いカテゴリーは「エンタメ・ゲーム・イベント」で、「潜在ニーズ発掘度」の極端に高いカテゴリーは「文具・生活用品」です。この両者は図上で真反対の位置にあります。
(3) 横軸方向の動きから、「創造性」と「潜在ニーズ発掘度」の点の動きは逆方向になっています。「創造性」は右上方向に向かって、「潜在ニーズ発掘度」は左下方向に向かって高くなっています。「創造性」◎の点の近くには「潜在ニーズ発掘度」△の点が、「潜在ニーズ発掘度」◎の点の近くには創造性○の点があります。
(4) 総合評価順位はほぼ中心に位置し、「創造性」とも「潜在ニーズ発掘度」とも余り関連を持ちませんが、強いて言うと、創造性の高くなる方向と合っています。
(5)年区分は新しいほど(左右軸から)創造性、(上下軸から)潜在ニーズ発掘度共に高い方向に向かっています。
まとめ:「創造性」と「潜在ニーズ発掘度」の両要素が必要
商品カテゴリによって、「創造性」の要素が高いカテゴリーと、「潜在ニーズ発掘度」の要素が高いカテゴリーのあることが分かりましたが、近年ではその両要素とも必要性が高くなっているのです。
つまり、ヒット商品を生み出すためには、「創造性」と「潜在ニーズ発掘度」の両要素が必要なのです。
ヒット商品を生み出すには?商品企画法NeoP7~マーケティングサイエンティストとして活動を行っていく上で大きな威力を持つ
さて、いかがでしょうか?
日経TRENDYの公表したベストヒット商品30の20年分を分析して、私のかねてからの主張、
【感動価値=創造性×潜在ニーズ発掘度】
がある程度裏付けられた、と思っています。
商品カテゴリーにもよりますが、多くの分野で特に「潜在ニーズ発掘度」の重要性が明らかになったように思います。
では、これらの要素を概念としてではなく、商品として具体化するにはどうしたら良いでしょうか?そのための方法論こそが、Neo P7(新・商品企画七つ道具)です。

・最初の仮説発掘法は潜在ニーズ発掘のツールであり、
・次のアイデア発想法は創造性発揮のためのツールです。
この2大手法の活用により、皆様は数百もの優れた仮説・アイデアを手に入れることができます。
そこから下図のように徐々に検証を重ねて絞り込み、最後は「コンジョイント分析」により最高の感動商品(購入意向5段階で4.0以上!)のコンセプトを築くことができます。しかも「どのくらい買ってもらえるか」をきちんとした数値で、発売前に予測できるのです。これを使わない手はありません。

顧客ニーズに立脚したシステマティックな商品企画を目指している、
モックアップを製作する前に売れるかどうか検証したい、
商品企画を再現性あるシステマティックなプロセスにしたい、
商品企画に課題をお持ちの企業様は、お気軽にお問合せください。
◎「商品企画NeoP7システム」に関する実用資格講座のご案内
「商品企画NeoP7システム」に関する実用資格講座のご紹介です。
「もっと良い商品企画プロセスにできないか、とお考えの方」、「今までと違うやり方をお探しの方」は必見です。「商品企画NeoP7システム」のスキルは資格講座「JMLA商品企画士プロフェッショナル」にて習得いただけます。マーケティングサイエンティストとして活動を行っていく上で大きな威力を持つスキルです。
商品企画NeoP7システム 「JMLA商品企画士プロフェッショナル」資格講座を見る
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