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堀内香枝 について

女性の感性を活かした調査設計や市場動向の分析により、お客さまの深層心理「感性」の解明を得意とします。コンサルティングファームで食品メーカー、外食産業、エステティック産業、通販企業、冠婚葬祭業、工作機械メーカーなど幅広い業種のマーケティング・コンサルティング業務を経験しました。これまで培った経験を元に、一般社団法人 日本マーケティング・リテラシー協会(JMLA)設立に参画し、感性マーケティング『マーケティング解析士』講座カリキュラム策定に携わりました。現在は、『マーケティング解析士』講座の講師活動を行っています。同時に、企業様のマーケティング課題解決のサポート活動を継続しています。

素直な心構えが先見の明を鍛え事業の成功確率を上げるワケ

新商品アイデアを出す心構えは?と問われた回答は「素直な心」

先日ある企業の方から、「新商品のアイデア出す心構えは?」とアドバイスを求められました。

「素直な心」です。

学生時代には、何でも思うことをストレートに発言していた人が、社会人になったとたんに思ったことを言わなくなります。

それは何故でしょうか?

発言が間違っていたら格好悪い、失敗したら評価が下がる、などという邪念が思考や発言を押さえつけてしまうからです。

素直(すなお)とは?

 

 

素直(すなお)とは?

偏見を持たない。

偏見を持たないとは、先入観にとらわれず、知らない新しいことを実際に見聞きしたまま認識する。

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典によると、

「先入観」とは、「実際の体験に先立って、ある特定の対象に対してもつ主観的価値判断。体験に先立つ歴史的、社会的、宗教的など種々の要素によって形成され、好意的な場合と悪意のある場合とがみられる。」

と解説されています。

成功体験を積み重ねた年長者ほど、「先入観」を沢山持っているので、新しいことを吸収しようとするときは、「素直」が肝要だと言われます。

 

素直(すなお)な反応とは3つのうちどれでしょう?

「カリスマでなくても誰でもヒット商品を生み出せるやり方を教えます。」

と自己紹介をした人がいます。

これを聞いて、Aさん、Bさん、Cさんが三者三様の反応をしました。

次の3人のそれぞれの気持ちの中で、「素直」なのはどの反応でしょう?

 

  • Aさん「出来るわけがない、有り得ない」
  • Bさん「へぇ、すご~い!」
  • Cさん「どうするとそれができるのだろう?」

 

素直(すなお)とは、盲信ではない

 

  • Aさん・・・批判
  • Bさん・・・盲信
  • Cさん・・・素直

 

「素直」といわれる人の反応は、Cさん「どうするとそれができるのだろう?」の反応です。
相手を一度受け入れて、そこからプラス発想に展開できる人は、自身の仕事やビジネスの成功の確率を上げると言われています。

 

 

素直(すなお)な心が先見の明を鍛え、事業の成功確率を上げる

昔から、素直に生きる大切さということはいろいろな方が言われています。
それは何故でしょうか?

素直でいると、様々な情報を吸収できます。
情報の中には自分のためになる勉強すべき情報もたくさんあります。
さらに収集された多くの情報を素直に分析すれば、世の中の出来事や、自分の身の回りに起きていることを正しく判断することが出来ます。

そのような行動を素直に継続していれば、先見の明を鍛えることができます。
社会や市場の流れを読み、それを自分の仕事や事業展開に反映させる、将来を見通す力が身につきます。
先見性が生まれると適確に計画をたてられるようになったり、適確な事業戦略を立案できるようになります。

 

 

そのポジティブなスパイラルが成功の確率を上げることにつながります。
つまり、素直であることは成功への早道であるということです。

 

マーケティングサイエンスの心構えも「素直さ」

マーケティングの目的は、社会に貢献することによって利益を生み出すことです。
今の時代は、マーケティングといってもマーケティングサイエンス時代といえます。
どんなマーケティング活動にもデータがからむからです。

データ分析と「素直」は何が関係しているのか? とお思いになるかもしれません。

データを読むときに先入観でデータを読むと、真実を見誤ります。
データを読むとき「素直さ」が非常に重要なのです。

「素直な心」さえ準備できていれば誰でも現代マーケティングに取り組み始められます。

皆さまも「マーケティング」に興味を持ってみてはいかがですか。
必ずご自分のお仕事に活かされますよ。

参考:「感性とは

自社の魅力を知らせるためのラダーリング法 3ステップ

東京オリンピック2020の新競技の解説が魅力的だった 学ぶべきこと

2020東京五輪はほとんどが無観客で、私は自宅でメディア(情報伝達を媒介する手段)を通して応援していました。
みなさまもきっと同じでしょう。
東京オリンピックは閉会しこれからパラリンピックですね。

ところで、今回は選手ではなく解説に視点をあててみたいと思います。
オリンピックの歴史に初めて登場した新競技、スケートボード、空手、サーフィン、スポーツクライミング、その他に19の新種目、BMXフリースタイル・パーク(自転車競技)、混合ダブルス(卓球)など、初めて知る競技もありましたし、ルールがわからない競技も多くありましたが、解説者たちが競技の魅力を伝えようと工夫していました。

特に解説者らしかなる解説で話題になっていた、
・女子BMXフリースタイルで「ゲシる」「キャンキャン」、解説の勅使河原大地(てしがわらだいち)さんの解説。
・スケートボードの女子ストリートで「ゴン攻め」、瀬尻稜(せじり・りょう)さんの解説。
非常に丁寧でわかりやすいと評判になっていた、空手(からて)で「きちんと立ち方を見せ~とぎれることなく~まだ終わっていません、残心(ざんしん)をとるところです~」、清水由佳さんの解説。

また、面白い解説で定評のあるマラソンの増田明美さんの解説には良い意味で大いに笑わせてもらいました。

 

ーYouTubeより ゴン攻め スケボー 瀬尻稜さんの解説 ー

https://www.youtube.com/watch?v=1lwd-kEMpLI

 

工夫のあるユニークな解説が、その競技の視聴を何倍も楽しいものにしてくれますし、また、その競技を知らなかった人にルールなどの知識や魅力を伝えるのに大いに貢献していると思います。

 

企業が自社の魅力を知ってもらうWEBコンテンツ コンセプトと物語

オリンピック競技で、視聴者にわかりやすい解説、競技を魅力的に伝える解説がとても大事だということを、ビジネスに置き換えて考えてみると、企業が自社の魅力を知ってもらうためには、伝えるコンテンツと伝え方が大事だということではないでしょうか。

オウンドメディア(自社で保有するメディアの総称のこと)の中で主軸の1つは、企業の公式サイトですよね。

企業の公式サイトに、掲載する情報として、会社概要、トップメッセージ、理念、沿革、事業領域、商品・サービス概要、お知らせ、イベント・キャンペーン情報などありますが、「事実の記載」に留まると事実告知のみで弱いです。

自社のWEBサイトに掲載する情報は、全体のコンセプトを設定し、コンテンツの物語が組み立てられていると、読み手に刺さる魅力を伝えられます。

 

評価グリッド法を応用したラダーリング 3ステップ

では、そのように読み手に刺さる魅力的な物語性の高いコンテンツを設計したらよいのでしょう?

ラダーリングという方法をご紹介したいと思います。

ラダーリングは梯子(ハシゴ)を昇り降りする様子に似ているのでそう呼ばれています。

「どのようなコンテンツをつくると、自社のWEBサイトで、自社の魅力を知らせられるだろうか?」

 

 

<魅力を知らせるWEBコンテンツ作りのためのラダーリング 3ステップ>

 

ステップ1 自社の強みは何ですか?

自社の強みを書き出します。
いくつ書き出せたら、縦に一列に並べます。

 

ステップ2 その強みは何に貢献していますか?

ステップ1で書き出した「強み」1つずつ、それぞれ何に貢献するか、「強み」の左側に書き出します。

 

ステップ3 その強みは具体的に何(どんな技術や独自能力)で実現していますか?

ステップ1で書き出した「強み」1つずつ、それぞれ何で実現できているか、今度は「強み」の右側に書き出します。

 

すべて書き出した後、全体を眺めてみると、会社の魅力を言葉化できたことに気づくでしょう。
全体を俯瞰しながらコンセプトの仮説をつくれるでしょう。また、ステップ1(上位概念)⇒ステップ2(中位概念)⇒ステップ3(下位概念)をつなげると「物語・ストーリー」の仮説がつくれるでしょう。

さらに、自社の強みを網羅的に精緻に洗い出し、コンセプト設定やWEBコンテンツの分類、コンテンツの物語設計に関して精度を高めるには深い分析が必要ですが、ここではリモートワーク中に一人でもできる方法をご紹介しました。

 

企業の”人となり”を知らせるWEBコンテンツは、ステークホルダーの意識の翻訳

自社の“人となり”を知ってもらうWEBコンテンツは、全体のコンセプトを設定し、コンテンツの物語が組み立てられていると、読み手に刺さる魅力を伝えられますので、ラダーリングを自分一人で行うだけに留まらず、社員数名から可能であればステークホルダーに広げてアンケート調査を実施し、ラダーリング法で整理するとよいでしょう。

自社の社員・従業員の思いを一方的に熱く語っても、ステークホルダー(自社を除く、顧客、取引先、株主、就職希望者、地域社会などの利害関係者)の期待と食い違っていれば響きませんので、両者を翻訳するコミュニケーション戦略があるべき姿です。

考え方は、マーケティングで有用な3C分析(※)と同じですが、3Cのうち競合(Competitor)分析のウエイトは低くて構いません。自社(Company)と顧客・市場(Customer)をしっかり調査・分析しましょう。

より詳しい「3C分析」はこちら

下図は、「自社(Company)」と「顧客・市場(Customer)」の概念図です。

 

 

調査分析の規模を小さくする場合は、まずは「自社(Company)」だけ実施するよいでしょう。
社員アンケートの設問は、前項「評価グリッド法を応用したラダーリング 3ステップ」を参考にしてみてはいかがでしょうか。

 

 

「どのようなコンテンツをつくると、自社のWEBサイトで、自社の魅力を知らせられるだろうか?」お悩みの方はお気軽にご相談ください。

 

CONTACTお問合せ

ご相談・お問い合わせなどお気軽にお寄せ下さい。

TEL.03-6280-4312

Mail.support@marketing-literacy.org

 

 

コミュニケーション戦略を考える際に大変役立つのがマーケティングの基本フレームワークです。
書籍で読んだことはあるけれど実際に使うには自信がないという方もいらっしゃるでしょう。
仕事を1UPさせたいという方は、「マーケティングの基本フレームワーク、3C、SWOT、STP、4Pを使えるようになるから自信に変わるJMLAベーシックパスポート(資格講座)」をご覧になってみてはいかがでしょうか。

 

明らかに買ってもらえる(=売れる)方向が見えるポジショニングマップを作成する

一般的な(よくある)ポジショニング分析

現在、自社の立ち位置はどこか?

今後、自社の立ち位置はどこへ設定するか?

自社でなくてても、事業、商品、自分自身についてのポジショニング分析を行う機会は多いでしょう。

そのとき、どのようにポジショニング分析を行っていますでしょうか?

一般的には、上図のように、縦軸と横軸を何らか経験上で決め、

例えば、横軸に「品質」、縦軸に「価格」とし、

右に行くほど品質が良くなり左に行くほど品質が悪くなる

また、上に行くほど価格が上がり下に行くほど価格が下がる

そして、品質が良さそうで価格も高いのは右上に、

品質があまり良くなさそうで価格も安めなのは左下に、

と感覚的に丸を置いていく、

こんな具合にポジショニングマップを作成しているケースをときどき見かけます。

 

N個の評価項目の中から2つを取る組合せの数C

ポジショニングマップを描く軸の組合せ(=評価項目)は、「品質」と「価格」だけで良いでしょうか?
そんなことはないですね。
例えば、消費財を考える場合、ちょっと想像しただけでも下記のようにどんどん出てきます。

楽しそう
便利そう
意欲が沸きそう
効果がありそう
健康になれそう
続けやすそう
取り組みやすそう
ラクにできそう
機能が良さそう
性能が良さそう
目新しい
画期的
面白そう
役に立ちそう
ファッション性が高そう

すると、何通りもの組み合わせでポジショニングマップを描くことができてしまいます。。。

 

 

明らかに買ってもらえる(=売れる)方向が見えるポジショニングマップ

何通りものポジショニングマップを描いても、結局どれがいいの?
と迷って結論が出せません。

また、ポジショニングマップを1つに絞ったとしても、どの方向に進めばよいか判りません。
「こっちの方向へ行きたい」という意志は示せますが、それが、顧客のニーズと合致している方向=売れる方向か?わ判りません。

まとめると、
1.評価軸を何らかの意味で全体を代表させられる項目を使って作成できないか?
2.「売れる方向」=「購買意向を最も大きくする方向」を判るようにできないか?
そうすれば自社が位置取りする場所が判る。
この2点をポジショニングマップ上で明らかにできないか?

 

 

結論から申し上げますと、1と2を同時に実現する理想ベクトル入りポジショニングマップの作成は可能です。

 

1.評価軸を何らかの意味で全体を代表させられる項目を使って作成できないか?

については、複数項目を指標化し2指標で表現できるようにします。

 

2.「売れる方向」=「購買意向を最も大きくする方向」を判るようにできないか?

については、購買意向をどれくらい大きくするか寄与度を判るようにします。

この理想ベクトル入りポジショニングマップは、特に、商品企画・開発のとき、また、事業戦略やマーケティング戦略、経営戦略の立案においても、現状の把握ができることだけでなく、目標も設定できるので、非常に有用なポジショニング分析です。

 

競合商品に負けている理由は?勝つためには何をしたらよいかが判るポジショニング分析

理想ベクトル入りポジショニング分析は、自社の既存商品と競合商品の比較、あるいは、3者比較(自社の既存商品、自社の新商品案、競合商品)にも役立ちます。
今の既存商品はこの位置で、競合商品はここにあり、新商品案は売れる方向にあるから、自信を持って売り出そう。
あるいは、競合商品が売れているのはこういう理由からだ、自社が売れていないのはこういう理由からだ、ならば、自社はどう対応するか。ポジショニングマップを見ながら対策をしっかり検討でき、客観的な分析結果であるので、意思決定もしやすくなります。

 

系統的な新商品/新事業の企画開発メソッド『Neo P7』においては、この理想ベクトル入りポジショニング分析が、標準手法に組み込まれています。

新しいチャレンジ、新しい人と知り合う、新しい物事を考える、そういう行動が、今、大事ですね。

何か新しい創造に着手したいが、何から始めたらよいかと思案している方は、私共、商品開発を支援する専門チーム、WAKU WAKU 創造 LABO (略称:WAKULABO ワクラボ)へ、お気軽にお問合せください。

 

参考:「STP、ターゲティングの成功事例」「ファイブフォース分析とは」「3Cとは、SWOTとは」「3C、4P、使いこなしていますか?!」「提案をする立場になる人や営業が必要なスキル

新商品の仮説を検証する~開発・営業・広告に役立つ~

新商品仮説6件を検証する

開発する新商品または新規事業は、どのように決めていますか?

いくつか案がある場合、客観的に評価できれば、意思決定を行いやすくなります。

その客観的に評価する方法について、ご紹介したいと思います。

系統的な開発を実現する「Neo P7」というメソッドがあります。

前半が定性的な発想のステップ、後半が定量的な検証のステップで構成されていて、全体は7工程あるのでP7という名前が付けられています。PはPlanのPです。

後半の検証ステップは3つに分かれており、その最初の内容を、先日、講座(JMLA商品企画士プロフェッショナル6ヶ月コース)の実習の中でトレーニングをしましたのでご紹介します。

細かいことより、俯瞰する大切さをまず覚えるとよいでしょう。

下図は、200件以上の新商品の候補(新商品仮説)を創出した後、最終的に6つに絞り込んだA~Fの案について、定量的な評価結果をスネークプロットを描き比較した図です。

6案を俯瞰して見ると、でっこみ引っ込みあるのが解りますね。

 

 

 

評価してくれた顧客をグループ分けし層別に評価の違いを比較する

次に、評価者をいくつかのグループ(層)に分けて、各層ごとに新商品仮説6案を比較してみます。

 

 

グループ1よりグループ2の方が全体的に評価点(平均値)が高そうです。

グループ1の購入したい1位は、新商品仮説Aであるのに対して、グループ2の購入したい1位は、新商品仮説Eと違います。

なるほど。

こんな具合に、全体的な傾向を把握することがとても大切です。

新商品・新事業の系統的な開発メソッド「Neo P7」の検証の工程は3つに分かれており、最初の工程ではまだ結論を出さなくてよいのです。

新商品仮説A~Fがどのように評価されたのか、比較をしながら特徴を理解します。検証の結論を出す準備工程ともいえます。

 

新商品の仮説ごとの改善点を把握する

続いて、仮説ごとにCSポートフォリオを描きます。

下図6枚を見比べると、各仮説で評価項目の位置付けが違うことが解ります。

 

 

平面を直交する二直線で仕切って4つに分けたうち右下象限に入っている項目が、その仮説の改善項目であると読み取ります。

上図をより見やすく拡大したものが下図です。仮説Aと仮説Dについてのみ掲載します。

拡大してみると、ますます違いが明らかです。

 

 

CSポートフォリオに点在する●が、右肩上がりに分布している仮説は上位の仮説です。

通常、売れている商品をCSポートフォリオ分析すると、評価項目がきれいな右肩上がりに分布します。

一方、スネークプロットで下位評価だった仮説DのCSポートフォリオは、きれいな右肩上がりになっていません。

このように、仮説ごとにCSポートフォリオを描き、それぞれの特徴と改善点を確認します。

先にも申し上げた通り、検証の工程の最初のステップは、「急いては事を仕損じる」、結論を出す工程ではなく、6つの仮説を比較しながら特徴を頭に入れておくということが重要な工程でした。

 

新商品や新規事業の開発に向けて複数案を検討する際は、客観的にそれらの案を「検証する」ことを取り入れてみてはいかがでしょうか。開発商品の特長が客観的評価から明らかになることで、社内説得力が増すだけでなく、開発の拠り所になり、また開発後に世の中に知らしめていく際にも検証した事柄を用いて伝達することにより顧客に特長を届けやすくなります。

 

新しいチャレンジ、新しい人と知り合う、新しい物事を考える、そういう行動が、今、大事ですね。

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作詞家の感性とアスリートの感性~松本隆氏とサニブラウン選手~

マーケティングに人の感性が不可欠な理由、好きだから選んだ

松本隆氏が作詞活動50周年を迎え、7月14日にトリビュートアルバムがリリースされました。昨日はNHKでその50周年を記念した番組が放送されていました。

仕事の先輩と話題にして、

 私にとっては、『はっぴいえんど』という伝説的バンドに始まって、現代の日本音楽を引っ張ってこられた一人だと思っています。
若い方々はご存じないバンドかもしれないが、細野晴臣、大瀧詠一、鈴木茂と4人で組んでいたバンドだと聞くと、音楽を好きな方は「へぇー!すごいじゃん。」とでも言ってもらえるのでしょうか。
大瀧詠一の『NIAGARA MOON』大好きだったな。カセットを聞きながらドライブしてた思い出があります。

と、思い出話をお聞きしました。

その松本氏の詩を聞きながら考えたことをお話しします。
サニブラウンは?・・・はい、その後お話しします。

KinKi Kidsの二人を見て「硝子(ガラス)」と感じる感性

様々な歌手の作詞を手掛けてきた松本氏が、作詞に大きく悩んだ時の逸話として、KinKi Kids(キンキ キッズ)の作詞を依頼された時の話をされていました。どんな詩を作ればよいのか悩みに悩んでいた時、KinKi Kids(キンキ キッズ)の二人を見て、「硝子(ガラス)だ」と感じたそうです。

人を見て「硝子(ガラス)」という言葉が頭の中に浮かぶとは、自分の仕事である言葉を紡ぐことに日々真正面から向き合っている松本氏だからこそでしょう。

 

 

自分の感性を仕事に向けて精一杯研ぎ澄ましていくとそのようなことが可能になるという良い事例だと思いました。

 

自己の成長と環境の変化によって目標も変化したサニブラウン選手

いよいよ目の前に迫ってきた東京オリンピックですが、陸上競技の中では、私はやっぱり何といっても400メートルリレー(100ⅿ×4)が第一の注目競技です。

昨日も、どのような選手を起用するかというスポーツ番組の特集がありましたが、日本の選手選考はコーチが頭を悩ませるくらいに充実しています。
日本選手権で優勝した多田修平選手、日本新記録を出している山縣亮太選手、日本人初の9秒台を出した桐生祥秀選手など、9秒台を出している選手がひしめき合っています。その中にサニブラウン選手がいます。

私は、その番組を見ながら当初は、サニブラウン選手は候補に入らないのではないかと考えていました。それは何故かというと、以前サニブラウン選手へのインタビューで、彼が「まずは個人の記録ですよね。」といったリレー競技に対する興味のなさを表した回答を聞いていたからです。個人記録が良いからと言って、リレーに興味のない選手を入れては、バトンタッチがうまくいかないだろうという憶測からでした。

しかし、その後の映像でその考えは一変しました。
サニブラウン選手が、2019年に行われた世界選手権で400メートルリレーに出場したときに、感じたそうです。リレー競技のすばらしさを。

リレー競技のすばらしさを一言でいうと「絆」だそうです。
一緒に走る選手との絆、コーチ、サポートしてくれる周りの人たちとの絆。
言いようのない感動とうれしさを感じたようです。
そんな彼ならチームに入ってもうまくいく。そのように私の考えが一変したのです。どんなメンバー構成になるのか、本番が楽しみです。

 

 

 

人間は感性を持ち、感性によって行動が変化する

松本隆氏は、自分の感性を研ぎ澄ますことによって、多くの人を感動させる歌詞を紡いできました。

サニブラウン選手は、リレーに出場したことによって、研ぎ澄まされた感性により、周りの人々との絆を感じ、感じたことで目標が変わりました。

人は、外界・周囲からの刺激によって感性を磨き続けています。

コロナが流行れば、それに対する考え方や行動様式を学び対応して生きていきます。

そのような人間を対象にするのがマーケティング(≒事業活動、ビジネス)です。
人々の感性の変化を的確に把握し、日々、世の中に起きている事象の本質をよく理解し、それを自社のマーケティング活動に取り入れること、自分ごとでいえば自分の仕事に落とし込むこと、この一連の繰り返しを意識的に訓練することが大変重要だと思います。

生活者の環境や文化による感性の違いを的確に分析し戦略を立てることはマーケティングを実施する上で忘れてはいけないことです。
BtoBであれば、顧客の事業環境や企業風土は意思決定に強い影響を与えますので、それらに配慮した戦略立案が肝要です。

 

皆さまも「マーケティング」に興味を持ってみてはいかがですか。
必ずご自分のお仕事に活かされますよ。

参考:「感性とは」「3Cとは、SWOTとは」「3C、4P、使いこなしていますか?!」「STP、ターゲティングの成功事例」「ファイブフォース分析とは」「提案をする立場になる人や営業が必要なスキル

リアル二刀流に沸くMLBだがこんなことも~日米野球界に見る文化の違い~

ダルビッシュ投手のSNS発信力

大谷選手(大谷翔平、おおたに しょうへい)の活躍には、ただただ感心するばかりです。
よく、「何とかの申し子」という言葉が使われますが、本当に野球をやるために生まれたような人ですね。

そんな大谷選手の活躍に目が行きがちですが、忘れてはいけない日本人選手はほかにもいますよね。皆さん気になる選手は異なるかもしれませんが、私は何といってもダルビッシュ有選手です。(ダルビッシュ ゆう、英語: Yu Darvish、本名:ダルビッシュ・セファット・ファリード・有)

 

 

 

野球選手としての活躍はもちろんですが、SNSにおける情報発信力、その内容には感心させられています。

今日はそのダルビッシュ選手にまつわる話題が、マーケティング力を磨くうえにも大きく関係があるということをお話しさせてもらいます。

ティム・ヒル投手の逸話

先日の試合で先発したダルビッシュ投手は、6回を投げ1失点に抑え、勝ち投手の権利を持ってマウンドを降りましたが、2番手で出場した投手が失点をしてしまい、ダルビッシュ投手の勝利はなくなってしまいました。

そんな日の出来事です。

一度は逆転されたチームですが、その裏に再逆転したことに安心して、ウキウキお風呂に入っていたダルビッシュ投手のもとに、ダルビッシュの勝利投手権利を無くしてしまったティム・ヒル投手がやってきて、こういったそうです。

 

「ユウ、、、本当にごめん。頑張ってくれていたのに。。」

 

 

日本のチームであれば、当然のような話ですが、ことMLB(メジャーリーグベースボール)においてはとても珍しいことなんだそうです。MLB(メジャーリーグベースボール)の選手は謝ることなどめったにしなく、物凄く珍しいことだそうです。

MLB(メジャーリーグベースボール)の選手にしてみれば、「ダルビッシュは頑張ったから評価を受ける。」「打たれた自分の評価は下がる。」あくまで個人の問題だという捉え方だからでしょう。

「なるほど、日本とアメリカではそんな違いがある」で終わってはいけません。
このような出来事をマーケッターとしては、自身の仕事に活かすヒントを得ることができた、と喜びましょう。

環境や文化が違えば、物事に対する価値判断が違ってくる

かなり以前に、マクドナルドが問題を起こした際の代表者の初動対応は、日本人の感性を理解していないから、逆効果を生み大炎上をしたのだという話をしました。
まさにその話と同じことが今回の話題のなかにもあるのだと理解し、ご自身がマーケティング戦略を考える際には、適切な情報収集と分析が必要なことを学んでほしいと思います。

日本の中においても、文化の違いにより、異なる行動様式や判断の違いは山のようにあります。
例えばカレーライスに入れる肉の種類の違い、即席ラーメンの味の違い・パッケージの色の違いなど、身の回りにはいくつもの例があります。

更には現在オリンピックを目前に控え、宗教上の理由による食べ物の違いなどが話題に取り上げられています。
つまり、人間は環境の違いや文化の違いにより物事に対する意識や判断が大きく異なるのだから、商品やサービスを提供する側は顧客や生活者のことを的確に理解し、商品戦略やマーケティング戦略を考えなくてはいけないということです。

なによりも、最後のダルビッシュ投手の言葉が大好きだ

世の中を何気なく見ていると自社にとっても大きなヒントとなることを見逃してしまいます。
マーケッターとして、常に意識をもって世の中の出来事を把握することが大切です。

MLB(メジャーリーグベースボール)における些細な出来事から何気なく深い話をサラッと紹介してくれるダルビッシュ投手の情報発信力は素晴らしいと思います。
そして何より、私がダルビッシュ投手を大好きな理由は、文章の最後の言葉にあります。

 

そんな謙虚でピュアなティム・ヒル投手を是非応援してあげてくださいね。
今日も応援ありがとうございました!

 

ダルビッシュ投手の人柄を表す、心温まる言葉ですよね。

人の感じ方の違い(=感性の違い)を見つけて価値に翻訳する力はマーケティング力を構成する重要な要素です。意識的にトレーニングしてスキルを磨きたいものですね。

 

 

皆さまも「マーケティング」に興味を持ってみてはいかがですか。
必ずご自分のお仕事に活かされますよ。

参考:「感性とは」「3Cとは、SWOTとは」「3C、4P、使いこなしていますか?!」「STP、ターゲティングの成功事例」「ファイブフォース分析とは」「提案をする立場になる人や営業が必要なスキル

アンケートの間違い探し【クイズ】

次の設問のどこが間違いでしょう?

Q. あなたが本商品を購入した理由は、次のどれですか?

 

  1. 形、色
  2. 価格
  3. 機能、使いやすさ
  4. 何となく
  5. 店員のすすめ
  6. 友人のすすめ
  7. 信頼感がある

 

【クイズ】の正解

 

1つ目 設問文に「回答の仕方の記載がない」

2つ目 ダブルバーレル質問(性質の異なる項目を1つの選択肢に織り込む)が含まれている

3つ目 回答結果を役立てられない質問(選択肢)が含まれている

4つ目 時間軸と対象の違う質問(選択肢)が含まれている

 

1つ目 設問文に「回答の仕方の記載がない」

正しくは、

 

Q. あなたが本商品を購入した理由は、次のどれですか?
あてはまるものに〇をつけてください。(〇はいくつでも)

 

(〇はいくつでも)の部分は、(〇はひとつだけ)でも構いません。どちらも正しいです。どのように分析したいかによって自由に設定できます。

 

2つ目 ダブルバーレル質問(性質の異なる項目を1つの選択肢に織り込む)が含まれている

まず、どこがダブルバーレル質問かというと、選択肢の「1. 形、色」と「3. 機能、使いやすさ」です。

正しくは、4つに分けます。

1.形 (形が気に入った or 形が良い or 〇〇な形状が良い など)

2.色 (色が気に入った or 色が良い or 〇〇な色が良い など)

3.機能 (機能が豊富で良い or 機能が少ないのが良い or 〇〇な機能が良い など)

4.使いやすそう (購入時点で使いやすいかどうかわからないので、使いやすそうに見えた)

 

 

3つ目 回答結果を役立てられない質問(選択肢)が含まれている

まず、どこが回答結果を役立てられないかというと、「4.何となく」と「7.信頼感がある」です。

「何となく」という回答が出ても、何を改善してよいのか判断に困りますね。

「信頼感がある」という回答が得られても、会社の歴史なのか、商品の評判が良いからなのか、広告宣伝の印象からなのか、何から信頼感があると思ったのか判断に困りますね。

「信頼感がある」は、企業ブランド評価ではよく用いられる項目です。2つ目で述べた「使いやすそう」は商品の使用満足度評価の際によく用いられる項目です。ご覧になると分かると思いますが、「信頼感がある」も「使いやすそう」も、何でそう思うのか?とさらに追及しないと要因が見えてこない抽象的な表現です。アンケートに用いる際は、抽象的でも用いた方がアンケート結果が理解しやすいかどうか、回答を活用しやすいかどうかを検討してから、「信頼感がある」や「使いやすそう」など抽象的な言葉を含む項目を用いるとよいでしょう。

 

4つ目 時間軸と対象の違う質問(選択肢)が含まれている

選択肢を眺めるとなんとなく質の違う項目が混じっていると感じるでしょう。

 

  1. 形、色
  2. 価格
  3. 機能、使いやすさ
  4. 何となく
  5. 店員のすすめ
  6. 友人のすすめ
  7. 信頼感がある

 

商品そのものこと と 購入の動機に関わること

ですから、1つにまとまっている設問を、2つに分けましょう。

 

良い設問にしてみましょう

まとめると、下図の聴き方にすると良いアンケートになります。

 

 

 

さらに改良すると 評定尺度法を用いる

さらに改良して精度の高い分析をできるようにするには、下図にあるように5段階評価(7段階評価でも構いません)、評定尺度法を用いましょう。

 

 

 

良いアンケートを作れるようになりたい方、起因事項を明らかにしたい方、お気軽にご相談ください。

新しいチャレンジ、新しい人と知り合う、新しい物事を考える、そういう行動が、今、大事ですね。

何か新しい創造に着手したいが、何から始めたらよいかと思案している方は、私共、商品開発を支援する専門チーム、WAKU WAKU 創造 LABO (略称:WAKULABO ワクラボ)へ、お気軽にお問合せください。

 

定性データの整理方法3ポイント

定性データとは、数値化が難しく、言葉や画像などで表現されるデータのことを指します。 主観的な意見や感情、経験などが含まれることが多いのが特徴です。

例えば、下記のようなものがあげられます。

  • アンケートの自由記述欄
  • インタビューでの回答
  • フォーカスグループでの議論
  • 日記やブログ
  • 商品レビュー
  • 写真
  • 動画
  • 音声データ

定性データは、人間の行動や心理を理解する上で非常に重要な情報ですが、定量データとは異なり、統計的な分析方法を用いることができません。扱いは慣れないと難しいものです。

数値化しやすいデータを収集し、統計学的に分析する調査方法を「定量調査」と言いますが、定性データのような数値化が難しいデータを収集し、内容分析などの手法で分析する調査方法のことを「定性調査」と言います。

この記事は、Neo P7で用いる評価構造図を例に、定性データの整理の仕方の一例を解説します。

Neo P7とは?

『Neo P7』とは、マーケティングにおける定性的(感覚的、言語的)手法と、定量的(論理的、数値的)手法の両面を融合した、バランスのとれたマーケティング手法体系です。

多くの企業で実践され、経験と研究成果を生かして改良を繰り返し完成した、システマティックな体系です。

詳しくはこちら

評価グリッド法を用いた評価構造図作成の例

まず、商品開発の系統的な進め方「Neo P7」の3工程目、インタビュー調査の1手法である「評価グリッド法」を利用してインタビューを実施します。
インタビュー実施後、「評価構造図」を作成します。

評価構造図を作成すると、複数ある新商品の仮説案を、インタビューで得られた評価項目を用いて評価することができます。

評価構造図の最終形の例が下図です。
「上位概念」ー「評価項目(中位概念)」ー「下位概念」といったかたちで、顧客ニーズである定性データを構造的に整理しています。

評価グリッド法を用いてインタビューをした結果は、定性データなので、まとめ方にコツがあります。

まず、上中下=②①③に、インタビューの回答を振り分けます。

※評価構造図にまとめるための評価グリッド法を用いたインタビューシート(質問票)づくりについては、こちらをご覧ください。

  1. 評価項目(下図/上図の中央列)
  2. 上位概念(下図/上図の左端列)
  3. 下位概念(下図/上図の右端列)

最も重要な「評価項目」(下図①)から、定性データのとりまとめを行います。

評価項目の整理方法 2ステップ

3列の中央が「評価項目」となります。
左に上位概念、右に下位概念です。

図中央の「評価項目」が最も大事です。詳しく解説しましょう。

まとめ方のイメージは下記の図の通りです。

イメージができたら、もっと細かく見ていきましょう。
評価項目は、大きく2ステップに分けて整理します。

  1. カテゴリーに分類する
  2. 各カテゴリーごとに集約して項目数を減らす

大まかにカテゴリーに分類した後、似た意味合いの複数の言葉を、代表する一つの言葉に集約し、可能な限り項目を減らします。

上位概念のまとめ方 3ポイント

次に、「上位概念」をまとめます。

  1. 図中央の「評価項目」と同じ方法で、似た意味合いの複数の言葉を、代表する一つの言葉に集約し、可能な限り項目を減らす
  2. ネガティブな表現をポジティブな表現にする
  3. 語尾を「~したい」の表現に統一する。

特に「~したい」という表現に統一すると、理解がしやすくなります。

下位概念のまとめ方の視点

最後に、「下位概念」を整理します。

整理の方法はこれまでとほぼ同じです。
下位概念はあまりまとめず、細かい具体的な言葉を利用しましょう。
なぜなら、新商品アイデアに追加できる「斬新な意見」が出ている可能性が多く、それを発見できたらアイデアに追加ができるからです。

整理が必要な視点は、「下位概念」と「上位概念」が逆転しているような言葉です。
非常に細かなニーズが「上位概念」に入っている場合は、「下位概念」に入れ替えてもいいでしょう。
また、その逆も入れ替えできます。

定性データの重要性

このような手順で整理を進めると、すっきりとした評価構造図に仕上がります。

評価構造図を利用すると、訂正データを整理でき、顧客ニーズについて共有・理解しやすくなります。
有用な新商品の仮説(アイデア)は複数ある場合がほとんどです。どの仮説の受容性が高いか、検証する必要があります。
検証の際、どういう評価項目で、どういう指標で、複数の仮説を評価すればよいかは、評価構造図の中央列「評価項目」を見ればよいので、社内コンセンサスがとりやすくなります。

定性データは、意味合いを理解しながら言葉を振り分け、集約していかなければならないので、扱い方に慣れが必要です。慣れることが出来れば、ツールがなくても、誰でも取り組める有用な情報となるでしょう。

定性データの扱いに慣れると、略的に非常に重要な情報を読み取れるようになります。
将来を切り開く宝を発見して有効活用しましょう!!

新しいチャレンジ、新しい人と知り合う、新しい物事を考える、そういう行動が、今、大事です。

何か新しい創造に着手したいが、何から始めたらよいかと思案している方は、私共、商品開発を支援する専門チーム、WAKU WAKU 創造 LABO (略称:WAKULABO ワクラボ)へ、お気軽にお問合せください。

人の感性(定性情報)を事業の戦略に活用する方法をお知りになりたい方は、JMLAマーケティング解析士 プロフェッショナル 感性をご覧になってみてください。

巣ごもりマーケティング

「巣ごもり」による『食』に対する意識変化

あなたは現在強いられている巣ごもり状態においてどのような食生活を送られていますか?

外出できない、ショッピングやエンタメも自由に楽しめない、となると、楽しみは食べることだけだ、というような方も多いのではないでしょうか。

すると、当然『食』に対する意識も変わってきますよね。

社会変化に対応するのは、マーケティングの基本

マーケティングの基本的な分析方法として「3C分析」があります。
3C分析とは、「顧客・市場(customer)」「自社(company)」「競合(competitor)」の頭文字をとった言葉で、自社がどのような経営環境に置かれているのかを分析します。

「Customer」は、顕在・潜在顧客のニーズや購買能力を把握します。
顧客ニーズは社会の変化に大きく影響を受けます。ですから、社会の変化が顧客に対しどのような影響を与えているかを的確に理解することが重要となってきます。現在は、人々は巣ごもり生活を余儀なくされていますから、家の中での楽しみを求めています。ゲームや手軽な健康器具などももてはやされているようですが、なんといっても「食」は生きるための栄養摂取ではなく、生活を楽しむためのイベントとして重要度が大きくなっています。ということで、外食産業界においても、様々な変化がみられています。

 

 

バーガーキングや牛丼チェーンの動向

このような状況を反映して、バーガーキングの人気が挙がっているようです。
バーガーキングは世界的には、世界第2位のチェーンですが、日本における歴史では紆余曲折があり、売上が低迷したりした時期も長くありました。

しかし、数年前に立地戦略を大きく変更し、広告戦略もSNSを駆使し『なんだかおもしろいチェーン』という印象を持ってもらうことに成功し、印象を一変させました。おかげで売上を伸ばし、2020年度は既存店ベースで4.1%増、2021年度も二桁増となっています。

もともと価格が高めということもあり、コアな客層は40代男性だったとのことですが、SNS戦略の成功により若いファン層を獲得してきているようです。

しかし、好調な理由はそれだけではないと思います。「巣ごもり」により『食』に対する意識が大きく変化した生活者たちは、「おいしいもの」、「食事時間を楽しめるもの」に対しては多少高くても購入するようになっています。そこにきて、立地戦略の変更により、「自宅から近い」場所にお店があるという好条件が重なったことが、好業績に貢献していると思います。

 

 

思い込みではなく、3C分析を行う

売れているときこそ、売れている理由を理解することが大変重要です。
では、どうすればよいのでしょうか?

そうですね。
常に3C分析を行い、自社の置かれたポジションを正しく理解し、戦略を立て変化させることが必要です。

牛丼チェーンなども立地戦略により、現在売り上げに影響が出ているようです。テイクアウト、デリバリー専門店舗なども拡充しているようで、今後より一層生活者の変化を的確に分析し戦略を立てるチェーンが強くなるでしょう。

 

 

世の中を何気なく見ていると自社にとっても大きなヒントとなることを見逃してしまいます。常に意識をもって世の中の動きを把握することが大切です。

皆さまも「マーケティング」に興味を持ってみてはいかがですか。
必ずご自分のお仕事に活かされますよ。

参考:「3Cとは、SWOTとは」「3C、4P、使いこなしていますか?!」「STP、ターゲティングの成功事例」「ファイブフォース分析とは」「提案をする立場になる人や営業が必要なスキル

大量のアイデアから優れたアイデアを絞り込む選択法

新商品や新事業のアイデア創出の段階では、いくつくらいアイデアを出すのがよいでしょう?
そして、どのようにアイデアを絞るのがよいでしょう?

アイデアの量と質は比例する

新商品や新事業のアイデアは、数が多ければ多いほどその中に優れたアイデアが入っている可能性が高まります。
数が多ければ多いほどという数の目安は、200~300個くらいです。

2個や3個では、優れたアイデアになりません。

アイデアが出せないと悩んでいる方は、「仮説発掘法」と「アイデア発想法」を参考にしてみてください。

仮説発掘法

「仮説発掘法」とは、商品企画の初期段階で、顧客の潜在ニーズを掘り起こし、商品開発に活かせる仮説を導き出すための、「Neo P7」1番目の手法です。
潜在ニーズ仮説を創る「フォト日記調査」や「仮説発掘アンケート」を利用します。

アイデア発想法

「アイデア発想法」とは、Neo P7 の第二段階で、仮説発掘法で得られた潜在ニーズを満たすための商品・サービスのアイデアを大量に創出するための手法です。

「焦点発想法」「アナロジー発想法」「ブレインライティング」などを利用します。

大量のアイデアから優良アイデアへ絞り込む2ステップ

では、大量のアイデア(200~300以上)を創出した後、どのように優良なアイデアを絞り込んだらよいでしょう。

大きく2ステップを踏みます。

ステップ1

予備評価を行い、この段階で約20~50件に絞ります。

ステップ2

本評価を行い、約6件~最大でも20件に絞ります。

大量のアイデアから優良アイデアへ絞り込む2ステップ


※上図はWAKULABO6ヶ月コースのテキストを加工したものです。

アイデア選択法 2ステップ9ポイント

各ステップの具体的な方法は次の通りです。

ステップ1 予備評価

最初のステップで、不要な案を削除します。
削除する視点は3ポイントです。

  1. 抽象的で夢のようなもの、技術的に実現可能性のないもの
  2. 従来品、他社品に類似するもの
  3. 会社(の定款から外れるもの)やプロジェクトの方向とあまりにも異なるもの

ステップ1で大量のアイデア(200~300以上)から約20~50件に絞ります。

ステップ2 本評価

ステップ2で、優れたアイデアを残します。

優れたアイデアを残す、アイデア選択手順は次の1~6の通りです。

  1. 複数の評価項目を用意する

    ex. 実用的そう、面白そう
     
  2. 考え方、視点の異なる2人以上で評価

    ex.男性+女性、事務系+技術系
     
  3. 1~5点、あるいは、1~10点などでアイデアを評価する

     
  4. 評価項目にウエイトを設け、総合点を求める

    ex. 役立ちそう(30%)、楽しそう(50%)、ユニーク(20%)
    役立ちそう(7点)、楽しそう(4点)、ユニーク(8点)
    総合点=7×0.3+4×0.5、8×0.2 =5.7点
    総合点の高い/低いという説明ができるのがメリットです。
     
  5. 残すアイデアを決定する

    総合点で、上位数件~20件前後で打ち切る。
    下位アイデアでも、これだけはどうしても検証プロセスまで進ませたいというアイデアは残してもよい。
     
  6. 必要に応じて担当者間でディスカッションを行い、アイデアをブラッシュアップする。

    上位の複数アイデアを統合して1つにまとめてもよい。
    上位アイデアに尖がった下位アイデアを加えてアイデアをブラッシュアップしてもよい。

※上図はWAKULABO6ヶ月コース実習内容を加工したものです。

商品企画士プロフェッショナル〔6ヶ月間コース〕第3回

前項の10ポイントは、本日(商品企画士プロフェッショナル〔6ヶ月間コース〕第3回)の講義の中で、講師の神田(神田範明・成城大学名誉教授)が解説しました内容をポイントを絞って編集した内容です。実習で6つの優れたアイデアに絞り込み、次に、その6つのアイデアを仮検証するインタビュー調査に進みます。

ここまで仮説発掘アンケートから順に進めてきた中で、評価は人それぞれだと知ることができ、商品開発や事業開発を目指すすべての工程で、顧客のニーズを知ることの大切さを学んできました。

新しいチャレンジ、新しい人と知り合う、新しい物事を考える、そういう行動が、今、大事ですね。

何か新しい創造に着手したいが、何から始めたらよいかと思案している方は、私共、商品開発を支援する専門チーム、WAKU WAKU 創造 LABO (略称:WAKULABO ワクラボ)へ、お気軽にお問合せください。