【真のデジタルマーケッターとなるために】第9回:STP
標的(ターゲット)を明確にすることにより商品が売れる
前回の『SWOT』で、戦略の代替案を複数抽出できたはずです。その代替案の中には、「誰」に売るのかという要素も含まれている場合があるかと思います。
しかし、それらは、ある意味代替案の中の想定であり、自社の優位性を活かし現実的に販売数量を稼げるターゲットであるのかを検証し、改めて「真のターゲット」を決める必要があります。
『STP』は、自社が「誰に対して」「どのような価値を提供するのか」を決定するための方法論です。
STPとは
S(segmentation:市場の細分化)
T(targeting:標的市場)
P(positioning:自社の優位性の明確化)
の頭文字をとった言葉で、
「自社が、誰に、どのような価値を提供するのか。」を明確にするために行います。誰にでも受け入れられる製品やサービスを販売することは、顧客の満足度が低くなり、必ずしも良い結果を得られるとは限りません。自社の優位性を活かし、提供する価値を望んでいる顧客を見定める必要があります。
「Segmentation」
市場調査により、顧客のニーズ毎にグループ化する、つまり市場をセグメントすることです。
意味合い的に勘違いしないでもらいたいのは、セグメンテーションは、あくまで「市場の細分化」です。セグメントされた複数の塊の中から標的を決めるのは次のTargetingのステップです。
「人口動態変数(Demographic Variables)」
「地理的変数(Geographic Variables)」
「心理的変数(Psychographic Variables)」
「行動変数(Behavioral Variables)」
の4つが主に使用されます。
自社が販売しようとしている商品に対して、どのような要素が購買意欲に対して影響を及ぼすかを考え、セグメントする軸を決定していく必要があります。
年齢なのか、性別なのか、或いは可処分所得なのか、それとも趣味趣向が影響を及ぼすのか。様々な要因を調査からあぶり出し、もっとも強い要因をセグメンテーションのための軸に決定します。
「Targeting」
セグメントした結果、自社の強みを活かせたり、競合する他社が居ないセグメントを選択することです。
自社が提供する商品価値を最も強く受け入れてくれる顧客を絞るのです。
何歳くらいの女性なのか、アウトドアが好きな人か、健康に気を使う人なのかなどセグメントした塊の中から自社の商品価値を受け入れるターゲットを決定します。
「Positioning」
選択した顧客にとって、自社の提供するものにどのような「価値(優位性)」があるのかを明確にすることです。
「機能」ではなく、「ベネフィット(利益・恩恵)」でなくてはいけません。
STPの分析の順番
STPは、S→T→Pという流れで決定しなくてはいけないというものではありません。
自社の優位性(Positioning)と価値を受け入れてくれる顧客像(Targeting)を交互に考え行ったり来たりして、決めていけばよいのです。
Segmentationに用いる指標(軸)も自社の優位性(Positioning)と大きく関連性がありますから、STPそれぞれを個別に考えるのではなく、複合的にとらえ決定していきます。
※広告宣伝に使用される「キャッチコピー」は、自社の優位性を表現する言葉ですから、「ポジショニングを象徴する」言葉と言えます。
自らが求める目標達成には、それなりの準備と戦略が必要です。ただやみくもにやればよいというものではありません。
ビジネス社会で成功させるためには、マーケティングの知識と活用力は重要です。
皆さまも「マーケティング」に興味を持ってみてはいかがですか。
必ずご自分のお仕事に活かされますよ。
【真のデジタルマーケッターとなるために】シリーズ
第1回:マーケティングとは
第2回:現代マーケティングに重要なデータ
第3回:ブランドが果たす役割
第4回:マーケティングの仕組み
第5回:3C
第6回:PEST
第7回:5F
第8回:SWOT
第9回:STP
第10回:ブルーオーシャン戦略
第11回:リサーチの役割
第12回:集計と分析
第13回:戦略ドメインとコンセプト設計
第14回:競争戦略と隠れた競合
第15回:百年ブランドとなるために
参考:「3Cとは、SWOTとは」「強みを生かす!『SWOT』分析」「3C、4P、使いこなしていますか?!」「STP、ターゲティングの成功事例」「ファイブフォース分析とは」「JMLAベーシックパスポートの魅力」
森田 広一
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