キードライバー分析(3)比較対象を準備する

公開日:2020年07月30日最新更新日:2020年08月06日堀内香枝

キードライバー分析の目的は、目的を達成するために最も影響力の強い要因(問題または課題)を見つけることです。
そのために、前回まで構成概念と要因について準備する必要があることをお話してきました。
準備する事項としてもう一つ、比較対象があります。今回は比較対象についてお話しします。

比較対象とは

比較対象とは、
・自社のキードライバー分析を行いたい場合は、自社と競争関係にあるとみなす他社
・自社の事業部のキードライバー分析を行いたい場合は、自事業部と競争関係にあるとみなす他社(他社事業部)
・自ブランドのキードライバー分析を行いたい場合は、自ブランドと競争関係にあるとみなす他社ブランド

自社あるいは自事業部、自ブランドを、単独で調査するとそれなりの優先課題は抽出できますが、抽出できた課題が他社より劣っているのか否かは判断できません。
すると、「本当にこの課題はやらなければならないことなのか?」と追及されても、強い根拠を示すことができません。

モニタリングすべき対象企業・ブランドを決め、自社の優劣を定期的に測定することは、目標とする指標が明確になり、組織やメンバーの意識ベクトルを合わせる原動力にもなります。

 

 

モニタリング対象の決め方

では、どの会社・ブランドと自社を比較しましょう?

決まっていない場合、しっかり検討する必要がありますね。

比較しようとする他社が、自社より圧倒的に強い会社だけとか、圧倒的に弱い会社だけに偏ると、調査する意味がありません。

検討する視点の候補としては、
・経営目標や会社の事業計画の中で留意されている他社
・社内で過去に実施した競合他社比較を含む調査データ
・ファンづくりが上手な同業他社
・企業規模の違いはあっても、自分たちの普段の業務を通じて、あそこはうまくやっているなと感じている他社
などがあります。

 

比較対象を決める際の注意点

実は、よかれと思って設定した比較対象なのに、調査を実施し分析を行っても、優劣の差異を明確に判断できない結果だった、なんてことが稀に起こりえます。

分析結果に優劣の差異を見いだせなかった要因は、いくつか考えられます。
・個別評価項目に問題があった
・調査サンプル数に問題があった
・分析手法に問題があった
などです。

キードライバー分析を成功させるために、前項の「モニタリング対象の決め方」の「検討する視点の候補」に挙げた、「社内で過去に実施した競合他社比較を含む調査データ」と「企業規模の違いはあっても、自分たちの普段の業務を通じて、あそこはうまくやっているなと感じている他社」の視点は大事です。

まず、「社内で過去に実施した競合他社比較を含む調査データ」がある場合は、しっかり見返します。
そのデータを見返して、自社と競合と比較したデータに違いがない場合、「企業規模の違いはあっても、自分たちの普段の業務を通じて、あそこはうまくやっているなと感じている他社」の視点を加えてください。

「社内で過去に実施した競合他社比較を含む調査データ」がない場合は、それ以外の視点「経営目標や会社の事業計画の中で留意されている他社」や「ファンづくりが上手な同業他社」、「企業規模の違いはあっても、自分たちの普段の業務を通じて、あそこはうまくやっているなと感じている他社」という視点で検討してみてください。

今回は、「比較対象」についてもしっかり準備が必要であることをお話しいたしました。

キードライバー分析シリーズつづく

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キードライバー分析シリーズ
会社・事業部のキードライバーは?(1)
キードライバー分析(2)測定する尺度
キードライバー分析(3)比較対象を準備する
キードライバー分析(4)評価項目をイメージできない方の参考に
顧客評価を高めるためのキードライバー分析(5)

 

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女性の感性を活かした調査設計や市場動向の分析により、お客さまの深層心理「感性」の解明を得意とします。コンサルティングファームで食品メーカー、外食産業、エステティック産業、通販企業、冠婚葬祭業、工作機械メーカーなど幅広い業種のマーケティング・コンサルティング業務を経験しました。これまで培った経験を元に、一般社団法人 日本マーケティング・リテラシー協会(JMLA)設立に参画し、感性マーケティング『マーケティング解析士』講座カリキュラム策定に携わりました。現在は、『マーケティング解析士』講座の講師活動を行っています。同時に、企業様のマーケティング課題解決のサポート活動を継続しています。