「いきなりステーキ」と「ディズニーランド」と 感性マーケティング
「いきなりステーキ」の苦戦
いきなりステーキが、そろそろ苦戦を強いられてきているようです。
日本では、出店過多だとか自社競合のカニバリだとか原因がいわれていますが、ここではアメリカの苦戦に関して考えてみたいと思います。
2019年2月15日の朝日新聞によると、11店舗中7店を閉店する予定と取り上げられている。
社長の言葉として「安く売れば客が入るわけではない。」と語られているが、まさにその通りだろう。
では具体的には何が問題だったのだろうか?
アメリカ人のステーキに対する感性
そもそもアメリカ人にとってステーキとはどのような存在なのかを考えてみたい。
まず、アメリカ人はステーキが大好きであるという大前提がある。
映画などでもよく見る光景に、自宅の庭でバーベキューグリルを使ってステーキを焼いてバーベキューパーティーを開いているというものがあるだろう。
スーパーマーケットで肉を買ってきて家族や友人と気軽にステーキを楽しむという「日常の絵」である。
安く気軽にステーキを楽しみたいという「ハレとケ」でいえば「ケの感性」が満足されればよいのである。
そのような日常的にステーキを楽しんでいる人たちも、ステーキレストランに行く。そのような時は、「ハレとケ」の「ハレ」である。
そのような時は、お店に求める物は単にステーキの美味しさだけではない。
お店の内装やサービスといった自分の感性に響く雰囲気を求める。
つまり、大好きなステーキと言っても時と場合による感性が満足されなければステーキを食するという時間に不満足を覚えてしまうのである。
「単に安いステーキを提供すれば客が入る。」のではないといことである。
日本にも肉食文化の違いによる失敗例が存在する
もうかなり前の事だが、関東で成功したステーキレストランチェーンが関西に進出したら失敗したという例がある。
その理由に思い当たる方がいるだろうか。
理由は、日本の中でもエリアにより肉の文化が異なるということであった。
具体的には、「関東は豚肉文化」であり、「関西は牛肉文化」であるということにつきる。
つまり、関東では上手くいったステーキレストランであったが、関西人にとってはその肉のレベルでは満足しなかったということである。
なおかつ、関西人は「食」にたいして、直截的な感性を持っている。雰囲気だ度ではなく「食事そのもの」が美味しくて安くなくてはいけないのです。
関東の人と関西の人とでは、ステーキ一つをとっても満足する感性が異なるのである。
その感性の違いを、把握理解しなくては事業戦略を見誤っていまうのである。
ディズニーランドは、何故値上げしても客離れしないのか?
ディズニーランドの入園料は、オープン当初から継続的に引き上げられ、現在では7,400円(大人1日パスポート)となっている。
家族4人で行ったりしたら食事代を含めると軽く3万円はかかってしまう。
一大イベントである。
それでも、入園者数は過去最高を更新している。
そこには皆さんも色々なメディアで書かれているのでご存じだろうが、単に面白いアトラクションや施設で楽しみたいという単純な思いだけではなく、【夢の国】という非日常『ハレ』を楽しみたいという「人の感性」が存在するからである。
『ハレ』の日を楽しむためには、多少高くても満足できる舞台が揃っていれば文句はないのである
開園当初から不満が語られている弁当(食べ物)の持ち込み禁止も、その非日常状態をキープするためには絶対に必要なことだから、徹底して認めないのである。
どの例も、「人の感性」に響く自社のバリューを理解することが重要だということに繋がる。
「くら寿司」のハンバーガーは、過当競争の中で自社のバリューを上げる戦略と考えられる。
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森田 広一
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