クワイエット・クイッティング(静かな退職)のメリット・デメリット

公開日:2025年01月17日最新更新日:2025年01月20日JMLA 事務局

「クワイエット・クイッティング」(Quiet Quitting)という言葉をご存じでしょうか?

2年前に、アメリカでTikTokにより発信され、話題になった言葉です。

日本語に訳すると「静かな退職」となりますが、実際には退職はしないけど仕事とプライベートの境界をしっかりと区別して、どちらかと言えば仕事以外のことに重きを置く働き方を意味します。

現在日本でもZ世代※を中心に広まっているようです。

※Z世代とは、1990年から2010年序盤に生まれた世代のことで、タイパ重視で効率を重視し、強い仲間意識を持ち、仕事よりもプライベートを重視する価値観を持った世代と言われています。

クワイエット・クイッティング(静かな退職)が広まった背景

「静かな退職」が広まった背景には以下の3つがあり、更にそれを加速化す社会問題があったと考えます。

1.ハッスルカルチャーへの反発

団塊世代を中心とした(※1)ハッスルカルチャー(※2)の上司や先輩を見て、がむしゃらに働くことへの疑問や反発心を持ったこと。

※1 団塊世代とは、第二次世界大戦直後の第一次ベビーブーム(昭和22(1947)~24(1949)年)に生まれた世代のことです。ここでは、団塊世代を中心に、第二次世界大戦後の日本の高度成長期に働き盛りを迎えていた世代をさします。

※2 ハッスルカルチャーとは、仕事を最重要項目とする考え方です。

2.ウエルビーイングという価値観

ウェルビーイング※という考えが推進され、キャリアアップや昇進に重きを置かない価値観が増えたこと。

※ウェルビーイングとは、「身体的・精神的・社会的に良好な状態にあること」と世界保健機関(WHO)で定義されています。

3.自分らしいキャリアを形成する価値観

組織に依存することなく、自身のキャリア形成※を模索しながら、自分の価値観やライフステージに合った働き方を重視する人たちが増えたこと

※キャリア形成とは、仕事を通じて経験やスキルなどを蓄積して自己実現を図っていくプロセスのことです。(東京しごとセンターHP

これらの考え方を持つ人が増えていたところに起きたのが新型コロナウィルスによるパンデミック※です。

※新型コロナウィルスによるパンデミックとは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な流行のことです。国内では2020年~2023年5月「5類」に引き下げられた約3年間をさします。
NIID国立感染症研究所HP厚生労働省HP

このパンデミックの脅威に対し、リモートワークという仕事のやり方が生まれ、定着しました。

仕事と私生活の境界線が曖昧になり、上記のような仕事に対する価値観や仕事との関わり方が、大きく変わったと考えられます。

ですから、「静かな退職」はなにもZ世代だけではなく、40代から60代のミドルシニア層にも広がっていると言われています。

人生100年時代と言われるようになった社会環境においては、ワークライフバランスや家庭、介護などマルチステージへの変化が大きく影響していると思います。

広まる「静かな退職」ですが、組織や企業に与える影響は大きいと思います。

クワイエット・クイッティング(静かな退職)のメリット・デメリット

「静かな退職」のメリット

  • 仕事のストレスやプレッシャーを感じず、楽な気持ちで働ける
  • 自分のための時間を確保でき、充実した私生活をおくれる
  • 自身のキャリア形成について余裕をもって考えられる

などがあげられるかと思いますが、これらはやはり働く側の意識的メリットです。

「静かな退職」のデメリット

1.生産性の低下

会社への帰属意識が薄くなると、従業員個々の生産性が低下し、組織全体の生産性も低下します。
更に、仕事に対する熱意が低い状態では、課題意識も低く新しい価値創造や業務改革などの発想も生まれてこなくなります。

2.職場環境の悪化

自分としての最低限の仕事しかしない従業員がいると、周囲の従業員の負担が増えたり、モチベーションを下げたり周りにも影響を与えることとなります。

3.人材の流出

元々は意欲のあった従業員もモチベーションが下がると、組織に対する不満を抱くようになり、転職を考え退職していってしまうということになりかねません。

このように、「静かな退職」は企業にとっては、マイナス面が大きいのです。

リーダーや組織に求められること

このように企業に悪影響を及ぼす「静かな退職」ですから、組織のリーダーたちは、常に従業員の声に耳を傾け、従業員の考えを理解することが従前より必要になります。

また、働く楽しさを見出してあげたり、周りの従業員と相談して職場環境の改善を行ったり、従業員の成長機会を生み出す努力も求められます。

そして、業務の期待や役割を明確にし、成果に対しては適正な評価と報酬を提供することも重要です。

企業・組織としては、福利厚生の充実やメンタルヘルスをサポートする支援やリソースを提供することも必要になります。

最近では、「騒がしい退職(ラウド・クイッティング)」という新しい言葉も生まれています。「静かな退職」とは異なり、いきなり会社を辞めてしまう人も増えつつあるようです。

『エントロピー増大の法則』というものがあります。たった一人の退職者があっという間に増大する可能性を含みます。注意しましょう。
※『エントロピー増大の法則』に関しては、次回もう少し考えてみたいと思います。

組織の運営には、『顧客の本音をあぶりだす』マーケティングの仕組みづくりと『従業員の本音をあぶりだす』仕組みと努力も必要だということですね。

企業が生き残っていくには、大変な時代ですが、皆様前向きにポジティブに対応していきましょう。

JMLA(日本マーケティング・リテラシー協会)では、『顧客の本音をあぶりだす』『従業員の本音をあぶりだす』ことを得意としています。耳を傾けて収集したヒトの声を体系立てて分析し組織に活かす方法や、マーケティングの仕組み作りをお手伝いできますので、少しでもお力になれればと思います。

「企業の強み」と「顧客ニーズに応じる」をつなぐリサーチパートナー
アンケート・調査による客観的な裏付けを効果的にビジネスに活かす【Research☆Partner】

弊協会では、【支援型】「貴社社内の調査スキルを底上げしたい」と、【請負型】「調査を第三者機関に依頼したい」という2タイプのご支援を行っています。

実施内容や事例は、こちらから↓ 

ビジネス課題を解決するアンケート設計のことならJMLAにお任せください。

感性マーケティング/基礎マーケティング/商品企画 実用資格講座のご案内

定性データを量的に分析してビジネスに活かす実用資格講座_JMLAマーケティング解析士プロフェッショナル感性_日本マーケティング・リテラシー協会(JMLA)主催
マーケティングの基本フレームワークを使いこなす能力を養う基礎マーケティング実用資格講座_JMLAベーシックパスポート_日本マーケティング・リテラシー協会(JMLA)主催
系統的で再現性のある商品企画法NeoP7システムのスキルを習得する実用資格講座_JMLA商品企画士プロフェッショナル_日本マーケティング・リテラシー協会(JMLA)主催

感性マーケティングの実用資格講座『JMLAマーケティング解析士プロフェッショナル 感性』

基礎マーケティングの実用資格講座『JMLAベーシックパスポート』

「商品企画NeoP7システム」の実用資格講座『JMLA商品企画士プロフェッショナル』

「感性マーケティング」から見えてくるもの。_定性データを量的に分析してビジネスに活かす実用資格講座「JMLAマーケティング解析士プロフェッショナル感性」とマーケティングの基本フレームワークを使いこなす能力を養う基礎マーケティング実用資格講座「JMLAベーシックパスポート」を紹介する無料セミナーです_日本マーケティング・リテラシー協会(JMLA)主催
失敗しない!商品企画・開発の進め方~NeoP7システム~無料セミナー_系統的で再現性のある商品企画法NeoP7システムの紹介およびNeoP7のスキルを習得する実用資格講座_JMLA商品企画士プロフェッショナルを紹介いたします_日本マーケティング・リテラシー協会(JMLA)主催

【無料セミナー】感性マーケティングと基礎マーケティングについて、事例を交えてわかりやすくお話しします!

【無料セミナー】システマティックな商品企画NeoP7について、事例を交えてわかりやすくお話しします!

女性の感性やママの気持ち知るインタビュー調査ならお任せください

購買の意思決定に影響する女性の深層心理を捉えるインタビューは定量調査の精度も高めます。

女性はなぜそれを選ぶの? ライフステージ変わったら考え方は変わった? ママは子どもの将来の何を心配しているの? 女性の感性を深く知るならインタビュー調査をお勧めします。

どうぞお気軽にご相談ください。




参考:「感性マーケティングとは」「アンケートの重要性と課題に対応する調査方法:調査の目的と課題、アンケートの作り方、回答率を上げるコツ、集計・分析のポイント、調査結果の役立て方」

The following two tabs change content below.

JMLA 事務局

一般社団法人 日本マーケティング・リテラシー協会(JMLA)は、「マーケティング」および「商品開発/事業開発」において、人財育成(認定資格講座、企業研修)および企業様の事業支援・開発支援を行っています。また、商品開発/事業開発の系統的なメソッド「Neo P7」を用いて企業の社員様が自分たちで持続的に開発を実現できるようにするための内製化支援を行っています。