★感性マーケティングブログ★ 「もらってうれしかったプレゼント」と「もらいたいプレゼント」
もう少しすると敬老の日ですね。皆さんはご両親やおじいちゃん、おばあちゃんになにかプレゼントを用意していますか。
私は、亡くなって分かる親の何とかではありませんが、せめて墓参りに行こうと思っています。
ところで、こんなアンケートを目にしました。
敬老の日に、「もらってうれしかったプレゼント」と「もらいたいプレゼント」のランキングです。
『アンケート設計』の妙
3C分析の中でもなかなかその実態を掴むのが難しいのが、「Customer(顧客)」分析だということは、前回の「感性マーケティングブログ」で解説しましたが、まさしく、そのことを再認識するアンケートでした。
「もらってうれしかったプレゼント」は、
1位が「お花」、2位が「洋服や装飾品」、3位が「商品券・ギフトカード」でした。
一方、「もらいたいプレゼント」の1位は「一緒に過ごす時間」だったのです。
この差は、何を示すものなのかを考えるのも重要ですが、着目したいのは、「もらってうれしかったプレゼント」と「もらいたいプレゼント」の両方を設問としてアンケートを行ったことです。
うれしかったものが分かれば、喜ばれるプレゼントが明確になり、プレゼントを選ぶ際の参考になります。そして、ランキング上位のものを用意するでしょう。
しかし、プレゼントをもらった時の両親やおじいちゃん、おばあちゃんの顔を見ていると、「本当にそれが欲しかったのか?」、「本当はどんなプレゼントが欲しかったのだろうか?」と思ってしまうことがありませんでしたか。
せっかくのプレゼントなのですから、両親やおじいちゃん、おばあちゃんが心から喜んでくれるプレゼントをあげたいですよね。
「もらいたいプレゼント」こそ「本音・感性の声」
【何がうれしかったか?】と聞けば、過去の体験の中からしか回答は得られません。しかし、【何がうれしいですか?】ときけば、回答者の本音による回答が得られます。
このアンケートは、もらう側の本音を探れるように設計されたアンケートと言えます。
「プレゼントしてくれた心はうれしいけど、本当はあなたたちと一緒に過ごす時間の方がとてもうれしいのよ。」という本音を引き出しているのです。
日頃会いたくてもなかなか会う機会のない、おじいちゃん、おばあちゃんにとっては、孫と過ごす時間はかけがえのない時間なのです。
だから、夏休みの終わりごろには、「孫ロス」などという言葉まで生まれてしまっているのです。
このように、アンケートにより人の本音を把握したいときには、設計が大事だということです。アンケートにも当然目的があります。その目的を果たすためには、どのような設問を行えばよいのかを、しっかりと考える必要があるのです。
今回目にしたアンケートは、人の損得に関わらないアンケートでしたので、比較的ストレートな設問で目的が達成できましたが、これが企業や人の損得=お金が関係してくると、設問設計が難しくなります。
何故ならば、人は問いかけに「理性的・科学的」に応える場合と、「本音・感性的」に答える場合があるからです。
『感性により発せられた言葉から、次の一手が打てる。』
例えば、「ボールペン」。ちょっとデザインの良いボールペンを見せられて、「このボールペン、いくらだったら良いですか?」と聞かれたとします。
理性的に考えれば、自分の財布が痛まないほうが良いので、「安いほうが良い。」とか、「500円以下がいい。」などという回答が多くなります。しかし、「ご自分がクライアント先でも使うとすると・・」という前提を付けると、途端に「1,000円」だとか、「2,000円くらい」などと跳ね上がってしまうのです。つまりこのボールペンの本質的価値は、1,000から2,000円あるということになるのです。
企業が最初の設問で得られた回答を鵜呑みにしていたら、せっかく得られたはずの利益を自ら捨ててしまうというとんでもない間違いをしてしまうところだったのです。
おじいちゃん、おばあちゃんが、【何故】一緒に過ごす時間をもらいたいのか?
その理由が把握できれば、例え、一緒に過ごせなくても、もっと喜んでもらえるプレゼントの気づきが得られたり、代替案が考えられます。
企業にとっても同じです。既知の商品やサービスのランキングや評価を収集しても、商品改良やサービス改善には役立ちますが、新しい価値発見や新規ビジネスチャンスの発見はできません。
「本音・感性により発せられた声」を収集し、分析してこそ次の一手=企業が勝ち抜く力が得られるのです。
JMLA(日本マーケティング・リテラシー協会)では、「消費者や顧客の感性価値」をどのようにデータ収集し、分析し、戦略に結び付けるかというフレームと実行手順をお教えしています。ですから、受講したらすぐに実務で活用できます。
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