地域力の相乗効果!ー5つの顧客経験価値を充足させる地域イベントー
先日、東京・若洲~新木場エリアを都バスで3か所巡り良い体験をしました。その体験をもとに、地域の企業・団体・施設・交通などが協同するイベントの利点をマーケティング視点で「顧客経験価値(CX)」にあてはめて考えてみたいと思います。
目次
「若洲ゴルフリンクス」東京都内のゴルフコース 海と芝の香りとスタッフのおもてなし
10月1日、都民の日に、「若洲ゴルフリンクス」(東京・若洲)が一般公開するということで、応募したところ当選したので行ってきました。
私は「カート」に乗り、「スナックゴルフ」をしました。
「カート」には最初から乗ろうと決めてきたのですが、「スナックゴルフ」は、カートに乗った際に運転してくださったスタッフの方が、「自分たちもハマる」とお薦めしてくださったので体験することにしました。
普段からゴルフをしている方々が「ハマる」とおっしゃっていただけあって、子供だけでなく大人にとっても面白い、私も「ハマりました」。
景観が素晴らしく、風が気持ちよくそよぎ、海と芝の香りで清々しい気持ちになりました。
「若洲ゴルフリンクス」の方々が、仕事とは関係ない一般人に対して、さまざまなイベントを企画して準備してくださり、親切に笑顔で対応してくださいました。
このような地元に貢献するSDGs活動を一生懸命されている姿に感動しました。
施設概要
施設名:若洲ゴルフリンクス
所在地:東京都江東区若洲3-1-2
所有:東京都
指定管理者:若洲シーサイドパークグループ(株式会社ティアンドケイ)2023.10.2現在
若洲ゴルフリンクスの生い立ち
この若洲ゴルフリンクスは、昭和40年から49年までの10年間にわたり、 家庭からの生ゴミ等の廃棄物で埋め立てられた造成地を、55億円の経費をかけて整備したものです。
三方を海に囲まれた54ヘクタールに、6,970ヤード、パー72の、ゴルフの本質にこだわった18ホールが広がります。
名称は、ゴルフ発祥の地、スコットランドでのゴルフ場の呼称「リンクス」を使用して命名しています。
なお、客土約30万立方メートルの一部には、新宿新都庁舎の建設に伴う残土も活用されています。また、散水施設の制御システムのエネルギーには太陽光を利用しています。
引用:若洲ゴルフリンクス ホームページ HISTORY
若洲ゴルフリンクス ゴルフコースの魅力
岡本綾子プロと川田太三氏の監修のもと、「老若男女、すべてのレベルのゴルファーにゴルフの楽しみを」をコンセプトに、1990年12月に誕生しました。
埋立地にもかかわらず、適度な高低差を保ち、コース間を黒松でセパレートされた戦略性に富んだゴルフコースです。
また、コースからの景観は、東にディズニーランド、南には東京湾に浮かぶ海ほたる、西には都心のビル群や天気のいい日は富士山がご覧いただけます。
良好なアクセスや埋立地跡とは思えない戦略的で美しい景観のコースのため、広く都民ゴルファーに愛されています。
引用:若洲ゴルフリンクス ホームページ ゴルフ場 一般開放デー ~コースの魅力をご紹介~
東京・新木場の古い木材倉庫をリノベーションした空間 歴史や文化を新しい見せ方や使い方で提案
木材倉庫が立ち並ぶ(東京都)新木場エリアに、木材倉庫をリノベーションした、カフェ・食事/イベント/アート/ギャラリー/スタジオがミックスした新しい空間が2店舗あります。
店名「soko station 146」と「CASICA」。2つのお店は隣接しています。
CASICA(カシカ:可視化)
東京都江東区新木場1-4-6
ショップ 03-6457-0826
カフェ 03-6457-0827
誕生ストーリー①古い木材倉庫との出会い
誕生ストーリー②古倉庫のリノベーション
soko station 146(倉庫ステーション 146)
東京都江東区新木場1-4-6 2F
03-6457-0084
press@soko-station-146.com
クリエーション・プラットフォーム
「soko station 146」コンセプト
私は「soko station 146」をランチに利用しました。
インダストリアル(工業的)な外観で、中に入ると、天井高4mの洗練された店内が広がり非常に開放的です。
「人」ー「物」ー「アート」ー「デザイン」ー「食」が同時に降り注ぎ、体験・発見・創造が繋がる空間です。
提供されているメニューにもこだわりを感じることができます。
私がいただいたランチ(ホットドッグセット、クラフトビール、リンゴジュース)で、こだわりの一部をご紹介いたします。
下記の各商品の内容は、「soko station 146」のホームページから引用しております。メニュー名をクリックしていただくと、「soko station 146」のホームページにリンクします。
SS146 DOG オリジナルドッグ
「soko station 146」のためにドイツ製法で作られたオリジナルの無添加ソーセージ使用。
適度な酸味のケチャップ・ピクルスは「soko station 146」がオリジナルに作製しています。
かけはしブルーイングのクラフトビール「 ASOBI 」
かけはしブルーイングは2020年に京都府与謝野町から誕生したビールブランド。
“与謝野町の地域資源を活かした事業で地方創生につなげたい”という想いから 与謝野ホップに着目したことがきっかけで、 かけはしブルーイングの構想がはじまりました。
【 ビール作りで持続可能な自然環境づくりを 】
地元の環境課題である、牡蠣の大量繁殖による景観悪化や、悪臭が発生している問題を解決するため、牡蠣の殻をビールづくりに利活用するべく、研究を進めています。
カネシゲ農園のりんごジュース
有機肥料を使用した安心・安全な減農薬栽培を行っています。
カネシゲ農園では、農家の抱える問題を解決するために、持続可能な農業の未来に真剣に取り組んでいます。
『 RE:AGRI 』 持続可能な農業の未来のために
『 RE:USE 』多少の傷により価値を失ってしまう美味しい果物をサイダーに
『 RE:PRODUCT 』地域の農産物に敬意を払い、付加価値を再構築し新しい見方、捉え方を提案
『 RE:CYCLE 』醸造、加工によって出てくる不食部分は堆肥に変え、大地に還す
「soko station 146」のスタッフの方々は、自分たちが提供しているメニューや商品について、私たちのような利用者の好みを聞きながら、自分たちはどのような思い入れを持っているか、それはそれは熱意を込めて説明してくださいました。
自分たちのShopで扱っている商品を愛していることが、こちらにとても伝わりました。
世界で唯一の博物館「木材・合板博物館」嗅覚・触覚に良い刺激を与える
10月1日は、「都民の日」と「新木場&夢の島わくわくおさんぽアートフェス2023」が重なったこともあり、街に展示されているアート作品もいくつか鑑賞しました。
その1つが、「木材・合板博物館」にも展示されているということで訪れてみたところ、アート作品を見ようと訪れたのですが、博物館の展示物の素晴らしさと、スタッフの方々の対応の素晴らしさにとても感動しました。
私が「木材・合板博物館」を訪れたのは初めてで、これまで知りませんでした。
施設概要
木材・合板博物館(Wood & Playwood Museum)
住所:東京都江東区新木場1-7-22 新木場タワー3F・4F
運営:公益財団法人 PHOENIX
日本に合板 (ごうはん) が誕生して100年の節目にあたる2007年10月に、木材・合板に関する資料を広く収集・保存・展示する世界で唯一の博物館として、東京・新木場にオープンしました。
当館は、木材および合板等に関する資料や情報等を広く収集し、広く一般の市民を対象に公開・展示を行っています。それにより、森林資源の持続的有効活用、日本の林業と木材関連産業の振興と発展を図り、もってCO2削減(温暖化防止)等に関する人々の意識を啓発し、より良い地球環境の創生と国民生活の向上に寄与することを目的としております。
引用:木材・合板博物館ホームページ
檜(ひのき)の間伐材を薄く長くスライスする実演ー檜の良い香り
上の機械は、株式会社名南製作所からの寄贈で、下記のように記載されていました。
「ロータリーベニヤレース」といい、丸太のかつらむき機です。
薄くむいて単板を作る装置で、合板(ごうはん)やLVL(単板積層材)の構造に欠かせません。
世界初の外周駆動方式により細い丸太や短い丸太をむくことが可能になりました。
上の写真は、博物館のスタッフの方が、「ロータリーベニヤレース」の実演で、檜の短い丸太を薄く削った後、長い長いミリ単位の薄さの檜スライスを、手で割いて、見学に参加した来館者たちに配ってお土産にくださったものです。
檜(ひのき)のとても良い香りが館内中に充満していました。
博物館のスタッフの方々はどのスタッフの方も情熱に溢れ、ベニヤと合板(ごうはん)の違いや、合板の強み・メリットを、一生懸命に、来館者たちに伝えていらっしゃいました。
展示資料も充実しており、とてもわかりやすい内容となっていました。
CX(カスタマー・エクスペリエンス)づくり―顧客経験価値・顧客体験価値5ポイント―
この日は、都営バス一日乗車券(500円)を、都バスに最初に乗車したときにバス内で購入しました。
そして、地域のイベントに便乗して、「若洲ゴルフリンクス」⇒古い木材倉庫をリノベーションした空間「soko station 146」⇒「木材・合板博物館」と、乗り降りしながら巡ったので感動体験が線でつながりました。
このような地域連携力、地域の自然環境・歴史・文化・食・地域のビジネス・アクティビティ・交通インフラ・自治体などが連携することによって、「顧客経験」の価値を増幅させることに成功することを実感しました。
経験価値マーケティングの提唱者であるバーンド・H・シュミット教授著『経験価値マーケティング』の5つの顧客経験価値(下記)を、今回の体験に当てはめてみると、5つすべてを網羅していました。
5つの顧客経験価値とは
顧客経験価値1 SENSE(感覚的経験価値)
◇顧客の感覚(五感:視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚。など)
◆審美的な楽しみ、興奮、美、満足を感覚(五感)を通して価値を感じるよう設計する。
顧客経験価値2 FEEL(情緒的経験価値)
◇顧客の内面の感情・フィーリング
◆企業やブランドに対して顧客が愛着を抱いたり、感情移入したり、ものの見方を確立したり共感したりできるように、商品・空間・人・情報を設計する。
顧客経験価値3 THINK(創造的・認知的経験価値)
◇顧客の知性
◆顧客の驚き・好奇心、挑発といった感覚を引き出すような、問題解決的な経験やクリエイティブな思考を促す経験を設計する。
顧客経験価値4 ACT(肉体的経験価値とライフスタイル全般)
◇顧客の肉体・身体、特定のライフスタイル
◆これまでとは異なる行動を起こすような体験づくり。行動パターンや特定のライフスタイルを変える経験を設計する。
顧客経験価値5 RELATE(準拠集団や文化との関連づけ)
◇個人と社会との結びつき
◆国、特定の地域・文化・グループ・仲間・企業・ブランド等に所属し、広範な社会的、文化的文脈に関連付ける経験を設計する。
CX(カスタマー・エクスペリエンス)を設計する際は、上記の5ポイントを考慮しながら、5ポイントすべてを網羅しなければならないと考えるよりは、自社の得意な分野をより強化する設計を行うと良いでしょう。
まとめ
東京・若洲~新木場エリアを1日巡って得た体験を、CX(カスタマー・エクスペリエンス)5つの顧客経験価値にあてはめてみました。
顧客経験価値の高め方は、1企業で取り組むことも当然大事ですが、経験価値を増幅させ、顧客経験価値5ポイントをすべて網羅させる相乗効果を生むような、複数の企業・団体間のコラボレーション(協同の活動)イベントの企画もとても大事であるといえます。
一方、個別には3か所を取り上げました。
どの施設も、スタッフの方々が情熱を持ってイキイキとしていて、そして、自分たちが提供している強みを十分理解し、上手に発信していたことが印象深かったです。
このことは、他の企業や組織においても2つの点で参考になると思います。
①スタッフの情熱や活気は顧客やクライアントに好印象を与えます。
②地域の歴史や文化に触れ、それをビジネスに取り入れることは、地域社会との一体感を築くだけでなく、顧客との結びつきを深めます。
また、嗅覚や触覚の刺激が多数あったことも印象的でした。
嗅覚や触覚、五感全体を活かすことは、商品やサービスのデザインやマーケティングにおいて大きな要素です。顧客が感じる体験を豊かにし、記憶に残るような感性的なアプローチのお手本として参考にできると言えるでしょう。
以上、自然に触れ、各施設のスタッフの方々と会話し、地域の歴史や文化を再認識し、新しく再構築され生み出されたモノやコトに触れた一日を通して、持続可能な社会・地域の実現に向けた活動とはこういうこと!、という貴重なリアル体験ができました。
マーケティングや感性マーケティングの視点から、自社の強みを理解し活かすことや、顧客の感性に響き共鳴することは、売上拡大・利益拡大のための戦略や商品開発に欠かせません。
私たちJMLA(日本マーケティング・リテラシー協会)は、より目的に沿ったデータ分析・感性分析をご支援していますので、ビジネスに活用できる分析アウトプットをご提供することを常に心がけております。
今回は、私たちのデータ分析が最終的につながるゴールの形を体験したように思います。ビジネスに有用なデータ分析をするべく精進を続けます。
私たちJMLA(日本マーケティング・リテラシー協会)は、企業がデータ駆動の意思決定を行い、市場での競争力を向上させることができるお手伝いをしております。
自社のデータをもっと活用したいなどの課題をお持ちでしたら、お気軽にご相談ください。
お気軽にご相談ください
e-mail:
support@marketing-literacy.org
TEL:
03-6280-4312(平日9:00-18:00)
- 自社のデータをもっと活用したいなどの課題をお持ちでしたら、お気軽にご相談ください。
- 過去にアンケートを行い、定性情報(フリーアンサー)は読んだだけという状態でしたら、非常にもったいない!定量化して分析することで、次のようなさまざまな課題解決に活用できます。経営のビジョン、収益拡大のための戦略立案、商品開発、ブランディング、業務改善、コスト削減など。お気軽にご相談ください。
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