高くても売れる商品にはそれなりの理由がある~ポジショニングの大切さ 知覚品質と知覚価値~
世の中には、同じカテゴリー商品の中でダントツに高価格なのに売れ続ける商品が存在します。
掃除機のダイソン、ヤクルト1000、車でいえばベンツなどでしょう。
もちろん、それぞれ技術力により高機能の製品であるからという理由はあります。
しかし、それだけの理由で売れ続けるのではありません。
このようなことを考えている方・探している方に役立ちます。
- ポジショニング戦略の成功事例を探している
- 自社商品のポジショニング戦略を考えている
- マーケティングの基礎知識を使いこなせるようになりたいと考えている
- 失敗しない商品開発法を探している
目次
「吸引力の変わらない、ただひとつの掃除機」ダイソン
「吸引力の変わらない、ただひとつの掃除機」、ダイソンの売り出し当初のコピーです。
コピーとは
企業や商品のイメージを印象付ける訴求メッセージ。
当時、掃除をしていて、吸引力が落ちてしまう掃除機に不満を抱いていた人たちにとっては、待っていましたとでもいうべき商品が登場したのです。このニーズを持っていた人たちは飛びついたことでしょう。
肝心なのは、そのイメージを訴求し続けたことです。イメージを損なうことがないように、パーシブド・バリュー(知覚価値)を維持・向上させ続けたことでです。
パーシブド・バリュー(知覚価値)とは
perceived value、直訳すると知覚価値です。
知覚価値とは、ユーザーが商品やサービスに対して抱く「品質」や「費用」に対する総合的な価値をさします。費用には金銭的コストだけでなく時間的コストや心理的コストなどを含みます。知覚価値を平易に表現すると、コストパフォーマンス感や納得感です。
知覚価値と顧客満足度は強い相関があると言われています。
安売りして販売台数を伸ばそうなどと考えず、ニーズの強い人たちに向かって、「吸引力の変わらない、ただひとつの掃除機」という商品を作り続けて、イメージ(知覚品質)を維持し続けているのです。
パーシブド・クオリティ(知覚品質)とは
Perceived Quality、直訳すると知覚品質。
知覚とは、五感などの感覚器官を通じて外界からの刺激を受け取り意味づけをする働き。
パーシブド・クオリティ(知覚品質)とは、(ユーザーが)商品やサービスを利用した際に感じる品質への評価。(企業目線でいうと)ユーザーの感性※に訴えかける品質。機能・性能だけでなく信頼性や雰囲気も含む。
Youtube ダイソン公式 Dyson Digital Slim™コードレスクリーナー 「変わらない吸引力、25%軽量化。」より
「ヤクルト1000」とは少し違うターゲットを獲得する「ピルクル400」
一方、少し違った戦略により、顧客を捉えている商品もあります。
「ピルクル400」という商品。
「ヤクルト1000」という商品が人気です。品切れで買えない事態が起きていますが、毎日飲むには少しばかり高いという印象を持っている生活者は多くいます。
そのような人たちへ向かって価格を抑えて販売されているのが「ピルクル400」。
「ピルクル400」は手軽に買える価格帯なので、疲れている自分のため、子供の健康のためなど、主婦が持つ欲張りなニーズをしっかりキャッチして売れています。
Youtube 日清食品グループ公式チャンネルより
日清ヨーク ピルクル400CM「錦鯉 篇」30秒 / 錦鯉
生きた乳酸菌NY1301株が400億個入った「ピルクル400」は、腸内環境を改善するトクホです。
顧客のニーズを分析し、独自のポジショニングを構築
企業がビジネスを推進していくうえで、競合の存在は避けては通れません。
強豪がひしめく世界では、いかに強豪に対し差別化を行い、競争優位のポジションを築くかを考えなくてはなりません。
大きな付加価値により、高級路線を行くのか、同じような機能を持ちながら価格を抑えて、コスパで勝負するのか。
自社の持つ優位な要素(バリュープロポジション)を見極め、かつ消費者のニーズを的確に捉え、自社商品のポジションを決めることが大事です。
バリュープロポジションとは
Value Proposition、直訳すると提供価値です。自社独自の提供価値のことを意味します。抽象的ですが、自社の”強み”と近い言葉です。
まとめ
ポジショニングとは、一言で表現すると「〇〇と言えば□□」のように純粋想起されることが理想です。
- ダイソンと言えば吸引力が落ちることに不満を持っている人向け掃除機
- ヤクルト1000と言えば疲れたビジネスマン向け乳酸菌飲料
- ピルクル400と言えば健康に気をつかっているファミリー向け乳酸菌飲料
- ベンツと言えば根強いファンを裏切らない高級感のある頑丈な車
消費者のニーズを分析し的確に捉えること、自社の優位性を見極めること、これらのために、マーケティングの基本知識は大いに役立ちます。知識として知っているだけでなく「使いこなせる」ことが肝要です。
JMLAでは、そのようなマーケティングの基本を学べる『JMLAベーシックパスポート』という講座をご用意しています。本で読んだことがあるという方も、使いこなせなければ役に立ちません。知識をスキルに変えてみませんか?
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堀内香枝
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